「失われた20年」にともなう若年層の貧困化である、
ということを指摘する記事があるのでご紹介します。
「日本の若者の貧困化が「パラサイト・シングル」を増加させる」(1/2)
「日本の若者の貧困化が「パラサイト・シングル」を増加させる」(2/2)
著者は舞田敏彦氏、おなじみブログ『データえっせい』の作者です。
ニューズウィーク紙への寄稿です。
記事ではパラサイトシングルの割合の国際比較の表をしめして、
経済状況の悪化によって自立したくても自立できない
若い人たちが増えたからだとしています。
若者のパラサイト化の進行の背景には、
この20年で急激に悪化した経済状況がある。
現実には自立したくてもできない人が少なくない。
若者がこうした現状から脱却できるよう、
自立を促す様々な条件を整える政策が急務だ
このブログの9月23日エントリと、メインブログの9月23日エントリで
わたしがお話したことと、同様の分析だと思います。
「パラサイトシングルの割合」
「パラサイトシングルの国際比較」
記事では若年層の貧困化の根拠として、
25-34歳の男性有業者のワーキング・プア率を示しています。
1992年と2012年を比較して、20年間でワーキング・プアが
増えていることを示しています。
山田昌弘氏が『パラサイトシングルの時代』を書いた
1999年と当時とは、状況がだいぶ変わったことになります。
このころはパラサイト・シングルに自立を促すために、
「親同居税」の導入を提唱していたりしたのでした。
2015年のいまはパラサイト・シングルは
「貧困問題」として扱う課題になっていると言えます。
課税なんてしたら逆効果でしょう。
パラサイト・シングルに自立を促すには、
福祉で生活を支援することが、むしろ必要になっていると言えます。
優雅なすねかじりから貧困によりやむにやまれずと、この言葉の前提がここまで変化するとはね。同時にこの社会がいかに貧しくなっているかということでもあるんだけど。:日本の若者の貧困化が「パラサイト・シングル」を増加させる https://t.co/P6S1PbOJtD
— sainas (@sainas_jp) 2015, 10月 23
そうね。99年に出た山田教授の『パラサイトシングルの時代』(ちくま新書)では,若者を追い出すべく,親同居税が提唱されていた。でも今は,出たくても出れないんやな。
— 舞田敏彦 (@tmaita77) 2015, 10月 23
記事では具体的な支援策として、住宅の整備を挙げています。
このような経済状況の変化が、若者の自立を阻んでいることは間違いない。
若年層に対する経済的支援、とりわけ生活の基盤である「住」に
重点を置いた支援策が必要だろう。
ヨーロッパでは政府が低家賃住宅を提供している国もあるが、
日本ではそうした物件は少なく、賃貸住宅のうち
公営住宅が占める割合も極めて低い。
若年層が新居を構えることができれば、それが家財用品の消費の増加や、
結婚・出産の増加につながり、社会全体の経済活動が活発になる
最近は少子高齢化の影響で空き家も増えています。
若年層の住宅支援にうまく役立てることができないかとも思います。
「「空き家」戸数 過去最多を更新」
(はてなブックマーク)
「五輪ブームの陰でゴースト化忍び寄る郊外、人口減で空き家増加も (1)」
(はてなブックマーク)
付記:
記事ではパラサイトシングル率が高い国についても分析があります。
こうして見ると、日本のパラサイトシングル率が高い理由は
かなり特徴的ということになりそうです。
日本は42.2%で7位となっている。儒教社会の韓国も比率が高い。
上位にはチュニジアやモロッコなど北アフリカの国があるが、
これらの農牧社会では家族労働が多いのが理由だろう。
「親に依存する独身者」という表現は適さないかもしれない。
シンガポールは、国土が狭いので住宅の取得が困難なのではないだろうか。
なお欧米諸国では、親と同居する未婚者の比率は概して低い。
ドイツは15.1%、アメリカは9.6%、スウェーデンはわずか4.6%だ。
成人後は親元を離れるのが一般的な欧米諸国から見ると、
日本の現状は奇異に映るかもしれない。
関連エントリ:
「パラサイトシングルの国際比較」

