2019年09月06日

アメリカの学生の結婚改姓への考えかた

9月3日エントリの続き。

「アメリカ合衆国の女性は90%以上が
夫の苗字に結婚改姓する」と主張する
「おはよう東京」ですが、ほかにも根拠となる
資料だと言っているものがあります。

 

これはアメリカ合衆国の中西部と東部の
大学生を対象にした、結婚改姓に対する
意識についての調査に関する記事です。

「Keeping Name After Marriage Makes Some See Wife As Less Committed To Husband, Study Says」

According to a new study,
one of the few to look at name-changing attitudes over time,
Midwestern college students were three times more likely to say
that women who don’t take their husbands’ names are less committed
to the relationship in 2006 compared with
when the same question was asked in 1990.
Midwestern women are also less likely than women
living in the Eastern U.S. to say they want to keep their birth name at marriage.

In both groups, name-keepers are the minority, however.
No national statistics are kept,
but previous research suggests at least 90 percent,
and possibly up to 98 percent,
of American women change their names upon marriage.


改姓に対する態度の変化を調べる研究は少ない。
その中のひとつの新しい研究によると、
中西部の大学生で、結婚改姓しない女性は
相手への依存が少ないと答えた割合は、
1990年に同じ質問をしたときに比べて
2006年は3倍になっていると考えられる。

合衆国中西部の女性は、東部に住む女性より
結婚しても生来の苗字を維持したい
という可能性が低いことも考えられる。

それでも中西部、東部のいずれも
結婚改姓したくない女性は少数派である。
全国的な統計は存在しないが、これまでの研究より
少なくとも90%から98%のアメリカ女性は、
結婚して苗字を変えることが示唆される。


「おはよう東京」はべつのところで、
「アメリカ合衆国では90-98%の女性が
夫の苗字に改姓する」とも言っています。

「アメリカで非改姓結婚を選ぶ割合」


90-98%という数字は、「おはよう東京」の
最初のツイートでリンクしている、
中西部と東部の学生対象の調査についての
記事を参照したものと思います。


この調査は学生に対して、結婚改姓したいと
思うかどうか、そして結婚改姓しない女性を
どう思うかについて訊いています。
かならずしも実際に結婚改姓したかたに、
訊いているのではないようです。

So they took data from two surveys at a small Midwestern university
with fewer than 1,000 students, one conducted in 1990 and the other in 2006.
The first survey queried 258 men and women,
and the second 246. Though the sample is not representative of America at large,
it has the advantage of allowing for a comparison across time.

The researchers also collected 369 student surveys from their own university in 2006.
The surveys asked the students whether they planned
to keep their last name upon marriage and
whether or not they thought that women
who kept their name were less committed to their husbands.


学生が1000人以下の中西部にある小さな大学で、
1990年と2006年に行なわれた
ふたつの調査からデータを得た。
ひとつ目の調査は男女の学生258人に、
ふたつ目の調査は246人に質問している。
アメリカの広範を対象にしたデータではないが、
時系列変化を調べられるという利点がある。

研究者たちは2006年に自分の所属する大学で、
369人の大学生を対象にした調査をしている。
この調査では、学生に対して結婚改姓しないと
考えているか、および結婚改姓しない女性は
夫に依存していないと思うかを訊いている。

記事本文でも示唆する(suggets)とあって、
実際に改姓しているとは書いていないです。
それゆえ「90~98%の女性が夫の姓に改姓します」と、
言うことはできないでしょう。

最初の「おはよう東京」のツイートでは、
「示唆されています」ともとの英語の文章の
直訳に近い表現をしています。)


アメリカ合衆国は日本よりは
学生のうちに結婚するかたが多いです。
また社会人を経験してから大学に入るかたも
アメリカ合衆国は日本より多いです。

「学生結婚の割合の国際比較」

それでも記事の内容から判断して、
まだ未婚で結婚はこれからという、
若い世代の学生が回答者に多いと考えられます。

それゆえ調査で回答した学生の中には、
自分が実際に結婚する場面になったら
結婚改姓したくないと、考えが変わる人がいる
可能性も考えられます。
posted by たんぽぽ at 23:20
"アメリカの学生の結婚改姓への考えかた"へのコメント
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