2016年06月04日

性暴力の被害者の特徴


性暴力の被害者の特徴について簡単に示しておきます。
どんな人が性暴力の被害者になりやすいかということです。

簡単に言うと
1. 被害者が性的な服装で挑発したのではない
(挑発的な服装が原因であることは比較的少数)
2. 若い女性とか外見的魅力がある人だけが、被害者となりうるのではない
(あらゆる年齢層、そして男性も被害者になる可能性がある)
3. 被害者に選ばれやすいのは、おとなしく抵抗しなさそうな人
という特徴があります。



>1.について

性暴力情報センターのコンテンツによると、
被害者が「挑発した」と加害者が主張するケースはわずか4%です。

http://www.macska.org/saic/myth.html
迷信1『レイプは被害者が加害者を挑発した結果起きる。』

多くのレイプは部分的、あるいは全体にわたって計画的に行われています。 
挑発的な服装や言動が原因として起こるなら、
レイプの多くが突発的に起きているはずでしょう。 
また、多くの被害者は「抵抗したら殺してやる」と脅されています。 
なぜわざわざ暴行され、殺されるかもしれないようなことを
被害者がするというのでしょうか? 
この「迷信」の問題は、責任を加害者でなく被害者に求めるところにあります。

報告されたレイプ犯罪のうち、被害者が「挑発」した、
と加害者が主張しているのは4%ほどにしかすぎません。 
そして、その「挑発」のほとんどが、特に何かをしたわけではなく、
単にセクシーな服装をしていたというだけのことなのです。

少し古いですが、1997-1998年に行われた
科学警察研究所の調査では、被害者を選んだ理由として
「挑発的な服装」と答えたのは5%でした。

「性犯罪−大人しそうな女性が狙われる」
なぜその被害者を襲ったのか、という容疑者に対する質問では、
「前からつけ回していた」「相手が納得していると思った」など
16の理由の中から容疑者が複数選択で選んだところ、
「挑発的な服装をしていた」は全体で5%に過ぎず、
「好みのタイプ」「だれでもよかった」は約1割だった。

被害者が性的な服装で挑発したから、というのは、
性暴力の加害者の動機としては、かなり少ないほうと言えます。


>2.について

赤ちゃんから高齢者まで、また男性であっても
性暴力の被害者になる可能性があります。

http://www.macska.org/saic/rape.html
被害者は…

特定の容姿や服装をしている人だけが狙われるわけではありません。
若い女性だけが狙われるわけではありません。 
通報された事件の被害者の年齢は6ヵ月から93歳に及びます。 
また、男性や男の子も被害にあっています。

http://www.macska.org/saic/myth.html
迷信2『レイプにあうのは美しく若い女性だけだ。』

性暴力の被害者は暴力の被害者です。 
レイプ犯の多くは被害者を外見的魅力で選ぶわけではありません。 
年齢や社会的地位に関わらず誰でもレイプの被害にあう可能性があります。

警視庁による、2010年の強姦と強制わいせつの
認知件数の資料を見ると、被害者は10代と20代の女性に
集中してはいますが、すべての年齢層おいて被害者は存在するし、
男性の被害者もいることがわかります。

「強姦・強制わいせつに関する統計」

被害者の年齢・性別(平成22年中の認知件数)

男性も被害者になりうるということに関しては、
アメリカ軍では過半数のレイプ被害者が男性という
きわだった事実があります。
これはまわりに女性が少ないので、加害者の矛先が
男性に向かうということにほかならないです。

「「男だっていうのに、まさか」とはいうけれど……米軍“レイプ”事情」
軍内レイプ被害者の過半数が男性なのだ

もちろん、女性の方がはるかに被害には遭いやすい。
だが、軍隊には女性などそうそういない。
そのため、人数では男性の方が多くなる。
2012年だけで1万4000人近い男性米軍兵士が
レイプ被害に遭っており、1日あたりでは38人という数になる。


>3.について

こちらも科学警察研究所の調査があります。
加害者は犯行を安全かつ確実にしようとして、
抵抗しなさそうな人を狙うということです。

https://web.archive.org/web/20081209161230/http://www.crdc.gifu-u.ac.jp/cerd/scs/resume2k7/scs20070706sugimura.pdf
強姦犯罪においては、少年の79.0%、成人の61.2%が、
計画を立ててから犯行に及んでいる。
また、その女性を「被害者」として選択した理由は、
「警察に届け出ることはないと思った」37.5%、
「おとなしそうに見えた」36.1%であり、
「挑発的な服装をしていた」を選んだものは5%に満たなかったという。

「性犯罪−大人しそうな女性が狙われる」
最も多かった「理由」は罪種で違い、
強姦事件では「警察に届け出ることはないと思った」(45%)。
強制わいせつ事件では「おとなしそうにみえた
(抵抗されないと思った)」(48%)が多かったという。


性暴力の被害者にこのような特徴があるということも、
性暴力の加害の動機は性欲であることは少なく、
「力の誇示」がより大きいことを示していると言えます。

「性暴力の加害者の特徴」
「性暴力加害者の研究」

http://anond.hatelabo.jp/20090417170833
性暴力の動機
目的は、性的欲求の充足ではない。
攻撃、支配、優越、男性性の誇示、接触、依存など
さまざまな欲求を、性という手段を用いて
自己中心的に満足させようとする「暴力」の一種。


アメリカ軍の中で起きるレイプのように、
まわりに女性がいないと、加害者の矛先が男性に向かうことは、
「性欲より力の誇示」であることをよく示していると思います。

アメリカ軍の中で起きるレイプの加害者は、
同性愛者というわけではないです。
よって「性欲の処理」ではなく「力の誇示」のために、
弱い立場にある「仲間」をレイプするということです。

軍隊は上意下達の組織で、権力構造がはっきりしています。
それゆえその構造を利用した「力の誇示」がやりやすく、
レイプが起きやすい素地が強いことになります。

http://gqjapan.jp/column/global-view/20150107/men-dont-get-raped/page/2

軍隊の文化は、攻撃性と服従性の微妙なバランスの上に成り立っている。
そのどちらかが過剰になると、性暴力が発生しやすくなる。
そのため、軍に所属する男性は民間人に比べて、
レイプされる危険性が10倍にもなるという。

新兵は自由意思を剥奪され、上官に抗弁するなどもってのほかだ。
将校のなかには、俺の洗濯物を取ってこい、と言うのと
同じくらいの気軽さで部下に性行為を強要する者がいる。
また兵卒にも、軍の権力構造を使って、兵卒仲間を犯す輩がいる。

「レイプ犯はゲイだから男を犯すのだと誤解する人が多いのですが、
たいていゲイではないのです。
これはセックスの問題ではなく、力と支配の問題なのです」と語るのは、
ソルトレイクシティの退役軍人向け医療施設で
PTSD(心的外傷後ストレス障害)診療チームに所属する
精神分析医ジェイムズ・アズブランドだ。



付記:

わたしのメインブログで性暴力の加害者の特徴について
書いたのですが、それでもコメント欄で性暴力の加害者の動機は
ほとんどが性欲であるとしきりに主張するかたがいるので、
今度は被害者の特徴について書いたしだいです。

「ポルノと性暴力との関係(3)」

性欲に関係なく性犯罪を実行する異常者が
極めてマレに居たとしても、犯罪統計には影響しません。

(2016年05月22日 08:18)
インタビューの言葉を文字通り解釈して性欲とは関係ないと
結論するのが正しい態度とも思えませんけどね。
加害者が意識していない性欲について疑わないのは何故ですか。

(2016年05月22日 08:18)
たんぽぽさん紹介記事のどこを見ても、
性犯罪の動機が性欲ではないと結論できません

(2016年05月29日 01:31)
連続殺人犯のような異常犯罪者は別として、
大部分の性犯罪者の動機は性欲であるというのが私の見解です。

(2016年05月29日 01:31)
posted by たんぽぽ at 15:15
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