2016年05月21日

男性差別論者の精神構造(2)

5月11日エントリ5月14日エントリの続き。
男性差別論者の精神構造と思考構造のお話です。

「男性差別は何処?」

このエントリには「2.日本は男尊か、女尊か」という節があります。
日本が女性差別の社会であることは、厳然とした事実でしょう。
検証するまでもなく陽を見るより明らかだと思うのですが、
なぜに彼らは見えないのかという問題が出てきます。



上述のエントリでは、日本が女性差別の社会であるという次の例を挙げています。

賃金のジェンダー格差
国会議員の数のジェンダー差
大学進学率のジェンダー差
研究者の数のジェンダー差
民法改正
 再婚禁止期間婚外子差別同性結婚が認められない
 選択的夫婦別姓が認められない
世界経済フォーラムのジェンダーギャップ指数

数ある女性差別のうち、民法改正に関することを
入れてくれたのは、わたしとしてはうれしいです。
(これらは数値化されないので、ジェンダーギャップ指数では
調査対象になっていないものなのですが。)

一番わかりやすいのは賃金格差でしょう。
厚生労働省『平成26年賃金構造基本統計調査の概況』によれば、
平成26年度の平均給与は男性約330万円に対し
女性約238万円と、かなりの差があります。
この格差を生んでいるのが、女性が働きづらい環境なのか、
女性の労働に対する過小評価なのかは不明ですが、
どのみち女性差別であることに変わりありません。

またグローバルノートというサイトによれば、
国会議員に占める女性の割合は9.5%だそうです。
これも、国会議員のなりやすさの問題なのか、
有権者の意識の問題なのかはわかりませんが、女性差別の一端を表しています。
同時に、女性議員の少なさは女性の要求が
国会で通りにくいという現状を指してもいます。

教育部門にあっては、大学進学者の男女比率の問題が挙げられます。
内閣府によれば、男性約56%に対し女性約46%でした。
また研究者の男女比はさらに著しいものがあり、
研究者に占める女性の割合は14%にすぎません。

社会保障に関しても、女性は男性に比べ不利益を被りがちです。
民法における再婚禁止規定は未だ改正されていませんし、
婚外子の遺産相続における差別も最近ようやく解消されたばかりです。
同姓婚は未だ認められておらず、
多くの女性が姓の変更を迫られているのが現状です。

4つの分野で例を挙げたのは、 世界経済フォーラムが毎年発表している
ジェンダーギャップ指数に一応のっとったからです。
日本BPW連合会のサイトに行けば詳しい内訳も見れます。
これはあくまで相対的な指標の1つですが、
世界全体に比べて性差別が温存されていることは間違いないでしょう。

こんな列挙をされなくても、それほど社会常識がなくても
日本が女性差別の社会であることは、自明のようにわかるだろうと
思いたいところですが、世間一般は案外こうした現状を
適切に認識していないのかもしれないです。

女子学生でさえも、ジェンダー問題のお話を聞いたり
就職活動でジェンダー差別の壁に当たるまでは、
日本はかなりジェンダー平等が進んでいるほうだと
思いこんでいることは珍しくないようです。
「世間一般レベル」の認識がこれくらいということなのでしょう。

「学生のジェンダー平等認識」


こうした女子学生たちに対しては、
賃金や国会議員の数のジェンダー格差を調べてもらうと
日本は実は女性差別の社会だと納得してもらえるとあります。
上述のエントリも賃金と国会議員の数は挙がっています。
これらはジェンダー差別の現状を理解する上で
わかりやすいということだと思います。

「「女性が輝ける社会」に女性はイラッとしている 日本の”男女平等”への違和感」
ジェンダーや男女平等の問題に興味を持って私たちのところに
やってくる学生の方々も、そのギャップに驚くようです。
日本におけるジェンダーの問題を語ろうとすると、
「海外のことを聞きたい」と言うんです。
初めから日本は平等だと思っているんですね。

それで、このジェンダーギャップ指数について話して、
日本は何位だと思うかと尋ねると「30位」と答えたり、
中には「1、2位かな」と答えたりする子も(笑)。

それで、国会議員の女性比率や男女の賃金格差を実際に調べてもらって
初めて、日本が「男女平等」ではないと気づく学生が多いのです。
あるいは、就職活動のときに募集要項では書いていないけれど、
男性優先の採用などの現実を目の当たりにして、
フェミニズムに興味を持つ女子学生もいるように感じられます


「男性差別論者」もジェンダー問題に対する理解は、
「世間一般レベル」の認識がベースにあるだろうと思います。
それに加えて、人一倍自分の経験と周りのことしか眼中になく、
被害者意識が強くて認知バイアスがかかやすく、
「自分は差別されている」と思えることばかり認識しやすいです。

賃金や国会議員の数のジェンダー格差についても、
現実より自分が思いたい信念が優先だろうと思います。
事実から眼をそらしたり、「これは女性差別でない」と
独りよがりに納得できる「理由」を探そうするだろうと思います。

彼らは男性ゆえに、就職活動で差別の壁に当たるといった
女性差別を実感する経験をすることもないことになります。
知識からも経験からも、女性差別社会という現状を
認識や理解することがないということです。


日本は諸外国と比べて女性差別的であるにもかかわらず、
「男性差別論者」が出てくるのかという問題もあるでしょう。
日本の国際社会における相対位置は、たとえば先に出てきた
ジェンダーギャップ指数は先進国中最下位で、
しかも毎年順位は下がり続けていることがあります。

日本と同程度にジェンダー差別の社会である韓国でも
男性差別を訴える人はいますから、どのような社会でも
「男性差別論者」は現れるということだろうと思います。

「男性差別を主張して投身」

彼らは自分の経験や周りのことだけしか見えないので、
自分の住んでいる社会ありきなのだろうと思います。
国際社会における相対位置が見えるような視野なんて
とても持てない、ということなのかもしれないです。


日本に特有なことがあるとしたら、前時代からの先進国意識が
いまだに抜けないということがあるかもしれないです。
拷問禁止委員会の審査で日本の「人権人道大使」が
「日本は人権先進国のひとつだ」と息巻いたことがあったのでした。

「日本の人権外交の実態」

日本は教育の公的支出が少なく不公平な国なのに、
北ヨーロッパの福祉国家並みの公平な国だと思い込んでいる人が
多いという、衝撃的な調査もあったのでした。

「社会的不平等・現実と認識」

ジェンダー問題に関しても「日本はジェンダー平等が
進んでいるほう」と思う人が少なくないことが予想されるし、
上述のように実際にそう思っている女子学生も多いのでした。

そこへもってきて「男性差別論者」ともなれば、
「日本にもう女性差別はない、あるのは男性差別だ」
などと考えるようにもなる、ということなのでしょう。
posted by たんぽぽ at 21:46
"男性差別論者の精神構造(2)"へのコメント
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