事実婚夫婦は不妊治療の助成を、自治体から受けられないという記事です。
いまもって根強く残る事実婚に対する差別です。
「不妊助成 事実婚は枠の外(家族なのに…法と社会の壁)」
「事実婚夫婦 不妊治療「助成できない」と区役所」
朝日の記事は登録しないと全文が読めないです。
紙面版を探したのですが、なぜか見つからなかったです。
記事に出てくる自治体は神戸市です。
もっとも、事実婚夫婦に対しては不妊治療の助成を
行なっていない自治体が、ほとんどだと思います。
朝日の記事に役所の対応が書かれています。
申請のときに法律婚をしているのでよさそうに思いますが、
治療のときが事実婚だったので助成できないというのです。
このあたりの杓子定規さは、さもありなんかもしれないです。
http://www.asahi.com/articles/ASG3X6VLMG3XPTFC01F.html
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「不妊に悩む方への特定治療費助成のご案内」。
医院に、そう書かれた神戸市発行のパンフレットが置いてあった。
体外受精と顕微授精の治療費の一部について、国と自治体から助成が受けられる制度だ。
ただ、対象者は「法律上の婚姻をしている夫婦」と明記されていた。
なかなか妊娠に至らず、治療費が80万円を超えた。
「背に腹はかえられない」と同年12月、助成を受けるために婚姻届を出した。
申請時に法律婚をしていれば受けられると思っていたが、
市の担当窓口で「婚姻前の治療は助成できない」と告げられた。
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『AERA』の記事を見ると、助成できないことについて、
役所はこんなことも言っていたりするとあります。
http://dot.asahi.com/aera/2013090900014.html
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「事実婚はいつ別れるかわからず、そうした人たちの子の誕生は
支援できない」旨の説明もあったという。
一方、神戸市こども家庭支援課は「生まれてくる子どもの幸せを
考えなくてはいけない」と話す。
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「事実婚は離婚しやすい」とか「事実婚だと子どもがかわいそう」とか、
さんざん言い古された根拠のない偏見ですよ。
こんな理由で役所が公的サービスの資格を決めているのですね。
メインブログで以前、未婚親でも不妊治療を受けられる対象にするという、
日本産科婦人科学会の指針変更のお話をしたのでした。
これと事実婚では不妊治療の助成が受けられないこととの関係は
どうなっているのかと思うところです。
「未婚親の体外受精容認」
「未婚親の体外受精容認(2)」
指針を変更して未婚親を不妊治療の対象にしたのは、
日本産科婦人科学会、すなわち病院や医師の判断ですね。
そして事実婚親に対して助成しないのは自治体の判断ということです。
医師は不妊治療を行なうけれど、自治体はお金を出さないということです。
婚外子の相続差別に違憲判決が出て、産科婦人科学会は
(いちおう保守的とされている)、すぐに指針変更に動いたのでした。
ところが自治体は違憲判決などどこ吹く風とばかりに
旧態依然ということのようです。
事実婚に対して不妊治療に助成を出すのが一般的となるのは、
このぶんではまだまださきということになりそうです。
付記1:
事実婚に対して不妊治療の助成を出さないという自治体の関係者は、
少子化対策との関連はどう考えているのかと思います。
事実婚の子どもなんて数がすくないから、
無視しても差し支えないということでしょうか?
ここには「どんな事情であっても産まれてきた子どもはみな歓迎する」
という意識が問われているように、わたしは思いますが。
付記2:
『AERA』の記事に出ている、事実婚夫婦に対しても
不妊治療の助成を行なう塩尻市については、前にエントリに書きました。
「事実婚にも体外受精(3)」
2014年05月18日
事実婚の不妊治療助成
posted by たんぽぽ at 18:32
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