どのような過程で、参政党の「信者」と
なったのかについて、お話してきました。
「“辞め参”「目が覚めた」の語り口に思う 安倍政権とコロナ禍が生んだ参政党の危うさ 北原みのり」
その記事ですが、日本にはこれまでカルト教団が
起こした、ふたつの最悪の事件に触れています。
この国はカルトによる史上最悪のテロを90年代に体験した。
その後、政権と深い関係にあった
別のカルト集団の被害者によって元首相が暗殺された。
2つのカルトが起こした事件は、
この国を生きる私たちにトラウマとして
刻まれながらも、私たちはカルトに真正面から
向き合ってきたといえるだろうか。
前者は「オウム真理教」のサリン事件のことです。
後者はなにかは言わずもがなだと思います。
「統一教会」の被害者による安倍晋三の銃撃事件です。
これらの事件にふまえつつ「カルトに真正面から
向き合ってきたと言えるだろうか」と
北原みのり氏は、問いかけています。
わたしに言わせれば「あまり向き合っていない」です。
オウム真理教のほうは「カルトが悪い」
「カルトだからああなんだ」という感じで、
一般の人たちのおおかたは「自分とは関係ない」
という意識だったと思います。
統一教会も、積極的に対処しようという姿勢は、
世論の中にあまり見られないないよう思います。
「統一教会と癒着した議員を落選させよう」
といった動きは、ウェブでもかなりローカルです。
ネット以外の社会全体には、この手の運動は
顕在化していないと思います。
30年以上、政権与党についてきた政党の所属議員の
相当数が癒着をつづけていながら、それにまったく
気づかなかったのは、本来なら衝撃的なことです。
この種の「衝撃」も、世論が受けて
いるようには、あまり思えないです。
「こんな荒唐無稽なことが長いあいだ
続いていたのに、まったく知らなかった」
という場合にありがちな、「くやしさ」とか
「自責の念」が世論の中にないと思います。
「なぜ統一教会のことを報道しなかった?」と、
マスコミを批判する論調も、世論の中から
ほとんど出てきていないようです。
日本社会の一般の人たちのおおかたは
「自分は統一教会と関係ない」と言えればそれでいい、
という感じではないかと思います。
「オウム真理教」も「統一教会」も、
世論は「切断処理」ですませようとしている、
という感じではないかという気が、わたしはしています。
一般の人たちにとっては、カルトなんて
「自分たちとは別世界のお話」であり、
カルト問題を「自分たちの問題」として
とらえる意識が薄いように思います。
カルト教団が社会的に深刻な問題を起こしても、
どこか「くさいものにふた」的な解決で
すませようとしている、そんな感じです。

