2021年10月01日

日本の神は夫婦別姓に反対しなかった

9月30日エントリの続き。

日本は神の国だから、選択的夫婦別姓に
反対だというなら、日本は古来から
夫婦同姓しか存在しなかったことになります。

日本の神さまは古来からいたからであって、
比較的新しい時代に考え出された
というわけではないからです。

 
日本は古来から夫婦同姓だった、
結婚改姓して夫婦で同じ苗字を名乗った、
という事実などないことは、
さんざん議論されていると思います。

現在の苗字につながる習慣として、
「氏(うじ)」「姓(かばね)」「苗字」がありますが、
これらはもともと別の概念でした。

「夫婦別姓4部作」
「名字の歴史と夫婦別姓」


「氏(うじ)」と「姓(かばね)」は、
大和朝廷の時代にはじまる、
天皇からさずかる名前でした。
「姓(かばね)」は役職を表していました。
それゆえ結婚によって変わることはないです。

氏(うじ)は出自を表していて、
父親の氏(うじ)が子に引き継がれました。
女性は結婚しても、婚家の氏(うじ)を
名乗って「夫婦同氏(うじ)」とせず、
生来の氏(うじ)を名乗りました。


「苗字」はもともとサムライたちが
一族の名前として名乗ったものです。
それゆえ「家の名前」でした。
戦国時代までは結婚後の女性は
婚家の苗字を名乗っていて
「夫婦同苗字」だったと言えます。

江戸時代になると、苗字は「氏(うじ)」と
同じように「出自」を表わすものと、
意識することが多くなります。
かくして生家の苗字を結婚後も
名乗り続ける女性が出てくるようになり、
「夫婦別苗字」が広まっていきます。

「女大学の道徳は夫婦同姓を象徴としたか?」
「江戸時代の結婚後の氏姓と苗字」


明治に入ると、「苗字」「姓(せい)」が
同じものとなり、これらの法律用語が
「氏(し)」として、現在の苗字の概念と
同じように整理されます。

明治の最初のころは苗字は出自を
表すと、考えられました。
それゆえ女性は結婚しても、
改姓せず生来の苗字を名乗りました。
つまり「夫婦別姓」です。


こうして見ると、日本は古来から
いたるところで「夫婦別氏(うじ)」
「夫婦別姓(かばね)」「夫婦別苗字」が
あったことになります。

日本の神さまが夫婦別姓に反対しているなら、
こんなことにはならないでしょう。
日本の歴史の大部分において
「夫婦同氏(うじ)」「夫婦同姓(かばね)」
「夫婦同苗字」が主流だったはずです。

選択的夫婦別姓に反対する日本の神さまは、
どこにいるのかと思います。


posted by たんぽぽ at 22:21| Comment(0) | 民法改正一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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