2021年03月13日

結婚改姓が当然とされる創作への批判

前のエントリの続き。

選択的夫婦別姓の実現を望む人たちは
同姓夫婦を差別するようになるなどと言う人の
匿名ダイアリーを引き続き見ていきます。

https://anond.hatelabo.jp/20210311030526

 
最初の例は『STAND BY ME ドラえもん』に
出てくる、のび太としずかの結婚ストーリーに
ついての読売新聞に掲載された広告です。

「「選択的」夫婦別姓なのに「野比」しずかに疑問」

しずかは結婚してあたりまえのように、
「野比しずか」になっています。
このような女性の結婚改姓になんら
疑問がなく当然とされるストーリーでは、
選択的夫婦別姓を望む人たちが
受け付けないのは当然のことです。


現実問題として、結婚改姓したい女性は
そんなに多くないということがあります。
2016年のはじめごろのウートピの調査では、
選択的夫婦別姓が認められた場合、
63%の女性が非改姓結婚を望むとあります。

「非改姓結婚希望が6割以上」

早稲田大学の棚村政行教授と
「選択的夫婦別姓・全国陳情アクション」の
合同アンケートでも約4割程度のかたが
非改姓結婚を望んで答えています。

「選択的夫婦別姓のアンケート・夫婦別姓の希望」

フランスの家族を研究するかたの
インタビュー調査によると、結婚改姓を喜んだ
既婚女性はいなかったです。
改姓はとても面倒と答えたかたはとても多く、
女性ばかりが改姓するのは疑問
というかたも一定数いました。

「結婚改姓を喜ぶ女性はいないらしい」


現実の女性の結婚改姓に対する
気持ちや考えはこのようです。
結婚改姓したい女性、結婚改姓に疑問のない女性は
あまり多くないと考えられます。

となれば創作で「結婚改姓することに
疑問のない女性」を登場させれば、
「この作者は現実を知らない」と思われても、
無理もないことになります。
単に現実から乖離しているだけでも、
この作者の見識は批判対象になるでしょう。

ましてや作者が「多くの女性は結婚改姓に
疑問を持たず受け入れる」などと思っていては、
なおさら批判の対象というものです。
そうした意識こそ、女性に望まない
改姓をさせる圧力として働くことになり、
無神経かつ差別的であるからです。


結婚改姓に疑問のない女性が
広告に出てくることに対する批判として、
「気持ち悪い」という感情的な
拒絶を示すものが多くなっています。

これも望まない結婚改姓で苦労したり
傷ついた女性の受け止めかたとしては、
一般的かつ無理もないものだと思います。

田母神俊雄氏や竹田恒泰氏が、
「女性は結婚改姓が嬉しいものだ」などと
言ったりすると、とくに女性から「気持ち悪い」
という反応がたくさん出てきます。
これと同じということだと思います。

「田母神俊雄の思い込み」
「竹田恒泰の結婚改姓幻想」


のび太としずかの結婚ストーリーの広告は、
結婚改姓に関して偏った認識にもとづく
という点で批判されるのは
無理もないということになります。

トゥゲッターで並べられている
ツイートの反応も、どれもごもっともで
問題ないものがほとんどだと言えます。


posted by たんぽぽ at 22:45| Comment(14) | TrackBack(0) | 民法改正一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
人格を否定しない限り批判は自由だと思いましす
Posted by 改姓した男の人 at 2023年10月28日 01:35
どんな作品でも批判する自由はあります。
それは映画でも同様です。


映画に対する批判の内容は
「女性は結婚改姓するのが当然という
意識を蔓延させている」です。

批判に反発する人は「結婚改姓して
夫婦同姓になりたい人を否定している」と
主張をすり替えています。
Posted by たんぽぽ at 2023年10月28日 22:35
映画は見ていないし当時の炎上もリアルタイムでは見ていないのですが、「野比のび太」と「野比しずか」、もしくは「のび太」と「しずか」と名前だけならそこまで炎上はしなかったんじゃないかという気がします。
フィクションになぜそこまで騒ぐんだと言われればそれまでなのですが、フィクションを作るのは人間なので、意識無意識に関わらず、作者の考えや意識、願望などが作品に現れてしまう。
それにドラえもん映画は子供に向けて作っている作品なので、子供にそういう意識を無意識に植え付けてしまうのはあまりよろしくないのでは、と思います。
Posted by Kyon-C at 2023年12月01日 01:18
私も、映画は見ていないし当時の炎上もリアルタイムでは見ておりません。
私も「のび太」と「静香」と名前だけなら炎上はしなかったんじゃないかという気がします。
映画の作者は女性が改姓することが無条件で喜ばしいことと思っているような気がします。
映画について映画の作者が批評されることは問題ないと思います。

ドラえもんの原作者が「公表された作品については見る人全てが自由に批評する権利がある。」と言っていました。
映画については人格を批判しない限り批評は自由にすべきだと私は思います。
Posted by あいうえお at 2023年12月01日 15:48
女性としては、自分の夫が自分の知らないところで改姓について「ネチネチネチネチグチグチグチグチ」言っていたらどう思うのでしょうか。
Posted by あいうえお at 2023年12月01日 18:18
Kyon-Cさま、おひさしぶりです。
コメントありがとうございます。

「のびた」「しずか」と名前だけなら、
批判もなかったと思います。
しずかは結婚改姓していないかもしれないと
考える余地もあるからです。

「野比のびた」と「野比しずか」なら、
やはり女性が改姓するのかという
批判はあったと思います。
それでもご指摘のように、それほど強い批判は
起きなかったかもしれないです。


>意識無意識に関わらず、作者の考えや意識、願望などが作品に現れて

それがこの批判の中心だと思います。
広告作者の結婚と苗字に関する
意識や願望が問題視されるということです。

「のびた」は名前だけなのに、
「しずか」は「野比しずか」という
偏ったことをするので、この広告の作者が
考えていることがあからさまなわけです。


>ドラえもん映画は子供に向けて作っている作品

受け手が子どもであることを考えると、
「子どもへの影響」というのも、
問題にすることだと言えますね。
Posted by たんぽぽ at 2023年12月01日 23:09
あいうえおさま、
コメントありがとうございます。

>映画の作者は女性が改姓することが無条件で喜ばしいことと思って

のびたは名前だけなのに、しずかは
「野比しずか」と「婚氏」まで書く
偏った表記をわざわざしていますからね。

「女性が結婚改姓するのが当然」
「女性は結婚改姓をうれしいと思っている」と、
この広告作者は思っているのでしょう。


>「公表された作品については見る人全てが自由に批評する権利がある。」

くしくも『ドラえもん』の原作者が、
作中で述べたことばは大事ですね。
https://hokke-ookami.hatenablog.com/entry/20150608/1433811625

結婚と苗字の関係についての
広告作者の意識、願望を問題視して批判をするのは、
「自由に批評する権利」のうちだと思います。

公表されたフィクションである以上、
「受け手への影響」があります。
その「影響」が好ましくないと思えば、
批判が出てくるのはとうぜんです。


>女性としては、自分の夫が自分の知らないところで

「どうせそんなことだろうと思った。
ここまで執拗で陰湿だとは思わなかったけれど」
あたりではないかと思います。
(わたしなら、こう思うと思います。)
Posted by たんぽぽ at 2023年12月01日 23:11
たんぽぽさん アドバイスありがとうございます。
私は妻にこのブログに投稿していることを秘密にしようか悩んでいましたが秘密にし続けようと思います。

たんぽぽさんのブログに書き込む行為が、過去の改姓について「ネチネチネチネチグチグチグチグチ」言っているも同然なので、妻に見せたら「どうせそんなことだろうと思った。ここまで執拗で陰湿だとは思わなかったけれど」と思われるような気がします。

私とたんぽぽさんは利害が一致しているため私の書込みの大多数はたんぽぽさんに不快と思われないと思います。しかし妻は特に夫婦別姓に興味を持っている様子はないので私の書込みが不快に思うかもしれないのでこのブログに書き込んでいることは伏せようかなと思います。長文失礼しました。

Posted by あいうえお at 2023年12月04日 21:53
前いただいた質問のコンテクストですが、
あいうえおさまが念頭にあったことを、
わたしは取り違えていました。

この点についてはもうしわけなかったと、
おわびしたいと思います。


わたしが想定していたのは、
選択的夫婦別姓の反対派(非共存派)の男性が、
他人の女性の結婚改姓について
「ねちねちぐちぐち」言っている状況です。

わたしがこのブログで取り上げて
いるような反対派(非共存派)の男性を
女性が見たらどう思うかを考えて、
わたしは前のコメントをしました。

自分が改姓した男性が、このような場所で、
改姓のことをお話している状況のことだとは
まったく思わなかったです。

なので、わたしの前のコメントの
「どうせそんなことだろうと思った」うんぬんは、
あいうえおさまのようなかたの
ことではないと、もうしあげておきます。
Posted by たんぽぽ at 2023年12月13日 22:03
わたしに言わせれば、あいうえおさまは、
改姓に関して「ねちねちぐちぐち」
言っているとは、ぜんぜん思わないです。
さしつかえがあることを、
コメントで書いてはいないと思います。

改姓した以上、結婚と苗字の関係や
関連するジェンダー問題について
いろいろと思うところが出てくるのは、
とうぜんだと思います。

あいうえおさまの妻さんも、
それくらいは承知だと思います。
このブログのコメント欄に
書いていることを妻さんに見せても、
べつだん問題はないだろうと思います。


わたしが「問題ない」と思っても、
実際に妻さんに見せたときに
起きる事態に対して対処するのは
あいうえおさまです。
なにかあったときの責任は、わたしは取れないとも
もうしあげてはおきます。
Posted by たんぽぽ at 2023年12月13日 22:04
>前いただいた質問のコンテクストですが、あいうえおさまが念頭にあったことを、わたしは取り違えていました。
この点についてはもうしわけなかったと、おわびしたいと思います。

私の説明不足ですのでたんぽぽさんがお詫びする必要はございません。こちらこそお詫びいたします。

>わたしが「問題ない」と思っても、実際に妻さんに見せたときに起きる事態に対して対処するのは
あいうえおさまです。
なにかあったときの責任は、わたしは取れないとも
もうしあげてはおきます。

私は積極的には見せませんが、聞かれたら見せるようにはしようと思います。私に対するご心配をいただきありがとうございます。
Posted by あいうえお at 2023年12月14日 15:52
いえいえ、あいうえおさまこそ、
おわびなさらなくて結構ですよ。
これくらいの行き違いは
ときに起きることだと思います。


前のコメントでも言ったけれど、
あいうえおさまは、ねちねちぐちぐち
言っているとは、わたしはまったく
思っていなかったのでした。

それで、あいうえおさまが自分のことを
お尋ねしているとは、わたしはぜんぜん
思わなかったのでした。


それから「反対派(非共存派)の男性は、
ツイッターでこんなことを言っているけれど、
妻が見たらどう思うだろうね」
ということは、ときどき話題になります。
それがわたしの念頭にあったのもあります。
Posted by たんぽぽ at 2023年12月16日 22:35
自分の女房が陰で非共存派みたいなこと言ってたら嫌です。多分言わないと思いますが。
Posted by 改姓した男の人 at 2024年03月10日 02:46
改姓した男の人さん

>陰で非共存派みたいなこと言ってたら

反対派(非共存派)の男性がネットで
言っていることを妻が聞いたら、
たぶん嫌だと思うのではないかと思います。

「うちの妻は望んで改姓した」なんて、
きっと異議を唱えるのではないかと思います。


>多分言わないと思いますが

わたしも言わないと思います。
改姓した男の人さんの妻さんは
反対派(非共存派)ではないですし。
Posted by たんぽぽ at 2024年03月13日 21:26
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