2020年07月02日

貧困から選択の余地なき性産業従事

6月29日エントリの続き。

「『大和撫子』さんの理屈で軍人差別」
という趣旨のわたしのツイート
反論したリプライの人は「職業選択の
自由が無く風俗で働く人は今の日本で
存在するのか」と訊いています。

 


岡村隆史氏は「生活が苦しいので
お金をかせぐために風俗で勤める女性が
出てくるのは面白いこと」という
趣旨のことを述べています。

経済的事情で風俗で働かざるをえない
ということですから、これは「職業選択の
自由がなく風俗で働く人」です。

岡村隆史氏はこのような事情で
風俗で働くことになる女性は、
現在の日本で現実に存在しうると思って
「面白いこと」と言ったとわたしは思います。

わたしに反論したリプライの人は、
「岡村隆史氏が『面白いこと』と言ったことは
自分では現実にはほとんど存在しないと
思っている」と言うのでしょうか?


経済的事情で選択の余地なく性産業に
従事せざるをえない女性は、
現在の日本でも存在します。

メインブログの5月21日エントリでご紹介の、
岡村隆史氏の番組降板を求める署名の
呼びかけの記事でも述べられていることです。

「女性軽視発言をした岡村隆史氏に対しNHK「チコちゃんに叱られる」の降板及び謝罪を求める署名活動」


日本の場合、とりわけ貧困率の高い
母子世帯の女性に、経済的事情で性産業で
従事せざるをえないケースが多いです。

独立行政法人 労働政策研究・研修機構が
2019年に発表した「第5回(2018)
子育て世帯全国調査」結果速報によると、
「可処分所得が厚生労働省公表の貧困線を
下回っている世帯の割合は、父子世帯では22.9%、
二人親世帯では5.9%のところ、母子世帯では 51.4%であり、
母子世帯の貧困率は5割を超えています。

更には、可処分所得が貧困線の
50%を満たない(年収110万円以下)
「ディープ・プア(Deep Poor)」世帯の割合は、
母子世帯が 13.3%にも及んでいます。
(父子世帯:8.6%、二人親世帯:0.5%。)

貧困生活を強いられる母子世帯の女性の多くは、
セーフティネットを持たず、外部からのサポートも
受けられない状況にあります。
そのため、選択の余地なく風俗店等で
働く女性も少なくありません。

女性に男性と同等の経済的機会・政治的機会が
ない社会の中では、女性の立場は弱いです。
その結果、社会から見捨てられ、性的に搾取をされ、
貧困のサイクルから出られなくなってしまうのです。


この問題を取り上げている記事:

文春オンライン「風俗でも稼げない。シングルマザーの追いつめられた貧困の実態」
https://bunshun.jp/articles/-/5323

シンママstyle 「ちょっとまった!シングルマザーの売春が問題になっている」
https://shinmama.jp/childcare/6595/

Yahoo News 「性風俗で働く地方都市シングルマザーの意外な実態」
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200303-00010007-newsweek-int


日本のひとり親世帯(母子世帯)の
貧困率がきわだって高いことは、
わたしのブログで何度も取り上げています。

「シングルマザーの実像」
「日本のひとり親世帯の貧困率」
「子どものいる女性の賃金」

シングルマザーの女性に性産業従事する
ケースが多いことも、わたしはブログで
取り上げたことがあります。

「若年女性の貧困の深刻(2)」
「若年女性の貧困の深刻(3)」


このようなひとり親世帯の現状は、
現在の日本で起きていることを、
最初のリプライの人はご存じないのでしょうか?

「強制」と聞いて「赤紙」のイメージしか
ないらしい「まさまさ」のことです。
経済的事情で性産業に従事するのは
やむをえなくても「主体的な選択」であって、
「選択の余地なく」ではないなんて
考えているのかもしれないです。

「赤紙で強制?経済的事情ですが?」


posted by たんぽぽ at 22:43| Comment(0) | 家族・ジェンダー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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