アメリカ合衆国で結婚改姓しない
女性の割合について、「おはよう東京」は、
まだほかにも記事を紹介しています。
https://t.co/3WHvEhW2Wp
— 選択的夫婦別姓から国民を守る会（安 乃雲） (@ohayo_tokyo) 2019年8月28日
”1971年から2005年までのニューヨークタイムズの結婚式の発表を調査し、姓を保持する花嫁の数は1980年代に約1％、1980年代に9％、1990年代に23％に増加したことを発見しました。2000年代にわずかに減少して18％になりました”
ここは数値が違う。理由は後で解説する。
「おはよう東京」がツイートから
リンクしている記事を見ると、
引用している箇所は存在します。
この記事によるとアメリカ合衆国で
結婚改姓しない女性の割合は20%前後と、
ほかの調査と比較して高めです。
「Women Still Prefer Taking Husband's Last Name」
Surname decisions are now a free choice,
but statistics suggest that most couples still take the traditional road.
A 2009 study published in the journal Social Behavior and Personality
examined New York Times wedding announcements from 1971 to 2005,
and found that the number of brides
keeping their surname was about 1 percent in the 1980s,
rising to 9 percent in the 1980s and 23 percent in the 1990s,
before declining slightly to 18 percent in the 2000s.
Brides with more education or a high-powered occupation were
more likely to keep their names, as were older brides.
いまでは苗字は自由に決めることができる。
それでも統計を見ると、多くの夫婦がいまだ旧来の
慣習を選んでいることが示唆される。
2009年に出版された雑誌『社会的行動と個人』が、
1971年から2005年までのニューヨークタイムズの
結婚欄を使った調査をしている。
これによると結婚改姓しない女性の割合は、
1980年代(1970年代？）は1%だったが、
1980年代は9%に上昇、1990年代は23%、
2000年代は少し減って18%であることがわかった。
高学歴あるいは社会的地位のある女性は、
婚歴のより長い女性と同様、
結婚改姓しない割合が高いと考えられる。
「おはよう東京」はこの数字について、
「ここは数値が違う。理由は後で解説する」
などと言って、信用していないようです。
その「理由」とはつながっているツイートから、
前のエントリで見た「同時に、”データ
入手するのが難しいため、女性の既婚名に
関する研究はほとんどありません”
とあります」のくだりだと思います。
https://t.co/8XgiSGe7gk
— 選択的夫婦別姓から国民を守る会（安 乃雲） (@ohayo_tokyo) 2019年8月28日
旧姓保持者
1970年代 17％
1980年代 14%
1990年代 18％
2000年代 26%
2014年 29.5%
と書かれています。しかし同時に、”データを入手するのが難しいため、女性の既婚名に関する研究はほとんどありません”とあります。全国統計は存在しないようです。
このくだりは、2004年の国勢調査局の研究
という、10年以上前の調査を参照する
理由であることは、すでにお話しています。
これを見ると「データを手に入れることが
難しいため、女性の婚氏についての
研究はごく少ない」というくだりは、
2004年の国勢調査局の研究を参照する
理由であることがわかります。
手に入るデータが少ないので、やむをえず
記事執筆時点ですでに10年以上前に行なわれた
国勢調査局の研究を使うということです。
同じ記事で参照しているべつの調査の
信頼性とはまったく関係ない記述です。
ましてやほかの記事で参照している
調査の信頼性とは、なおさら無関係の記述です。
「おはよう東京」が付け足して言っている、
「全国統計は存在しない」という
意味でないことも、言うまでもないです。
曲解もはなはだしいと思います。
「おはよう東京」は、結婚改姓しない女性の
割合が20-30%程度と高く出ている調査は、
信頼性が低いように見せることで、
改姓しない割合が低い調査だけ信用できると
思わせていることになります。
だいたい「全国統計は存在しない」なら、
「おはよう東京」が信用している
結婚改姓しない女性が10%の記事や、
学生対象の結婚改姓に関する意識調査も、
同じ理由で信用できないはずです。
「アメリカで結婚改姓する女性の割合」
「アメリカの学生の結婚改姓への考えかた」
それにもかかわらず自分に都合の悪い
調査だけ信用できない根拠のように見せて、
自分に都合のいい調査は信用できるように
見せるという卑劣なことを、
「おはよう東京」はしているということです。
