2019年09月12日

アメリカで結婚改姓する女性の割合(2)

9月6日エントリの続き。

アメリカ合衆国で結婚改姓する女性の割合に
ついての「おはよう東京」の主張です。

「アメリカ合衆国では22%の女性が
結婚改姓しないで夫婦別姓」という記事を、
わたしは紹介していました。

「アメリカ合衆国の夫婦別姓の割合」
「意外に保守的、アメリカの「選択的夫婦別姓」事情」
「Maiden Names, on the Rise Again」

 
このときの日本語の記事、およびその記事が
参照しているニューヨークタイムズの記事も、
「おはよう東京」は言及しています。


ニューヨークタイムズの記事には
”データを入手するのが難しいため、
女性の既婚名に関する研究はほとんど
ありません”と書いていると、
ここで「おはよう東京」は言っています。

ニューヨークタイムズの記事に出てくる
女性の婚氏の調査自体、研究が少ないゆえに、
信用できる結果を得られていないかのような
印象を与える言いかただと思います。


当該記述が出てくる箇所を見てみます。
There have been few studies of women’s married names because the data is hard to obtain.
But a Census Bureau study using 2004 American Community Survey data found
that women with an advanced degree were five to 10 times more likely to keep their names.
Asian and Hispanic women were more likely to as well.

Just 6.4 percent of native-born married women used their birth name, it found.
One reason the share is so low is that the study included older women
who married before it was legal to keep their name and excluded foreign-born women,
who are more likely to keep their names.
Among women in younger generations, the percentage of name keepers was 9 percent.


データを手に入れることが難しいため、
女性の婚氏についての研究はごく少ないです。
それでも2004年のアメリカ地域社会調査のデータを用いた
国勢調査局による研究があります。
これによると高学歴の女性は、結婚改姓しない割合が
5-10倍高くなると考えられます。
アジア系、ヒスパニック系の女性も同様と考えられます。

英語系ネイティブの既婚女性で、
生来の苗字を使っているのは6.4%です。
割合がこのように低い理由として、
この研究は女性の非改姓結婚が法的に
認められる前に結婚した高齢層の女性が
含まれることと、結婚改姓しない可能性が高いと
考えられる外国で産まれた女性が
除かれていることが考えられます。
若い世代の女性では、結婚改姓しない割合は9%になります。


これを見ると「データを手に入れることが
難しいため、女性の婚氏についての
研究はごく少ない」というくだりは、
2004年の国勢調査局の研究を参照する
理由であることがわかります。

手に入るデータが少ないので、やむをえず
記事執筆時点ですでに10年以上前に行なわれた
国勢調査局の研究を使うということです。

2004年の国勢調査局の研究を
記事の中で参照しているのは、
すぐあとに出てくる人種・民族、世代といった
属性ごとの非改姓結婚をする
女性の割合についての考察です。


日本語の記事でも引用されている、
「結婚改姓せず夫婦別姓を選ぶ女性は22%」は、
グーグル消費者調査を参照したものです。

「おはよう東京」が自分のツイートでも
言及している「結婚改姓しない女性は
2014年に29.5%」は、ニューヨークタイムズ紙の
結婚欄を利用したものです。

「22%」も「2014年に29.5%」も、
どちらも2004年の国勢調査局のデータを
参照した数字ではなく、まったく関係ないです。


「データを手に入れることが難しいため、
女性の婚氏についての研究はごく少ない」という
「おはよう東京」が引用したくだりも、
当然「22%」「29.5%」の数字とは
なんの関係もない記述です。

それにもかかわらず「おはよう東京」は、
自分が引用した箇所を「22%」や「29.5%」の
信頼性についての記述のように
見せているということです。

「おはよう東京」は文脈を無視した引用で、
自分に都合がいい間違った理解を
させようというのでしょう。
リンク先の記事なんてだれも読まない、
英語ならなおさら読まない(読めない)と、
高をくくったのかもしれないです。


posted by たんぽぽ at 23:44| Comment(0) | 民法改正一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
コチラをクリックしてください