「アメリカ合衆国の女性は90%以上が
夫の苗字に結婚改姓する」と主張する
「おはよう東京」ですが、根拠となる資料を
示していることがわかりました。
「おはよう東京」はふたつの記事を示しています。
https://t.co/FfCvnr3Cf5
— 選択的夫婦別姓から国民を守る会(安 乃雲) (@ohayo_tokyo) 2019年8月28日
”伝統的に、西洋社会では、女性は結婚時に夫の姓をつけます。 これは、米国では依然として強く規範的であり、女性の90%以上が従っています(Gooder and Kreider 2010)”
https://t.co/xG6FFDlC8H
— 選択的夫婦別姓から国民を守る会(安 乃雲) (@ohayo_tokyo) 2019年8月28日
”10人に9人以上の女性が結婚時に夫の姓をつけます。 旧姓を保持することは1960年代より一般的ですが、1990年代後半よりは少なくなりました”
ひとつ目はつぎの記事です。
これは夫婦別姓の家庭では、
子どもの苗字をどう決めるかという記事ですが、
最初のほうで非改姓結婚する女性の
割合について、簡単な言及があります。
「Choosing Children’s Surnames」
Traditionally, in Western society women
take their husband’s last names upon marriage.
This is still strongly normative in the U.S.
with over 90 percent of women complying (Gooder and Kreider 2010).
伝統的に西欧世界では、女性は結婚すると
夫の苗字を使うようになる。
アメリカ合衆国では依然としてこの習慣は根強く、
90%以上の女性が守っている。
(Gooder と Kreider, 2010年)
ふたつ目は次の記事です。
結婚が個人主義的になっているという記事で、
結婚改姓する女性の割合に少し触れています。
「Modern Marriage: Individualistic or Interdependent?」
1. More than nine in ten women take their husband’s last name when they marry;
keeping one’s maiden name is more common than it was in the 1960s,
but less so than it was in the late 1990s.
1. 10人中9人以上の女性が結婚すると
夫の苗字を使うようになる。
非改姓結婚する女性は、1960年代よりは多いが、
1990年代よりはやや少なくなっている。
どちらの記事も、アメリカ合衆国の
90%以上の女性が結婚すると夫の苗字を
取得する(take)と書いてあります。
8月30日エントリでご紹介のツイートによると、
「夫の苗字を取得する(take)」を、
夫の苗字に改姓して夫婦同姓になることだと、
「おはよう東京」は考えています。
しかしアメリカ女性の90%以上は義務もないのに夫の姓に変えてますし、さらに「夫の姓に合わせることを法律で義務付ける」ことを国民の半数が支持しています。日本以上に同姓(しかも夫のみ)傾向が強いんですよ。 https://t.co/Tap3vIkldJ
— 選択的夫婦別姓から国民を守る会(安 乃雲) (@ohayo_tokyo) 2019年8月28日
アメリカ合衆国の場合、夫の苗字と自分の苗字を
ハイフンでつないで結合姓にできます。
また自分と夫の苗字のどちらかを
ミドルネームに使うことができます。
これらも「夫の苗字を取得する(take)」と、
言うのではないかと思います。
それゆえ「夫の苗字を取得する(taken)」は、
かならずしも「夫の苗字に改姓する」とは、
かぎらないかもしれないです。
夫の苗字を取得した90%の女性の中には、
結合姓にしたり、自分か夫の苗字を
ミドルネームにしている女性が
ふくまれていることも考えられます。
メインブログの8月25日エントリで
ご紹介のニューヨーク・タイムズの記事を見ると
ふたつ目の図に次の注釈があります。
「Maiden Names, on the Rise Again」
The number of women in The New York Times weddings pages
who either keep their name or do something other than take their husbands’ name
(such as use their original name professionally) has risen lately.
ニューヨークタイムズの結婚欄に
載せられた女性のうち、結婚改姓しないか、
夫の苗字を取得(take)する以外の何らかの方法
(たとえば職業上は生来の苗字を使う)を
採る女性の割合は増加している。
この記述を見たところでは
「夫の苗字を取得する(take)以外」とは、
日本で言う旧姓使用を例示しています。
結合姓やミドルネームは「夫の苗字を取得する以外」に
入っていなさそうです。
「夫の苗字を取得する(take)」が、
すべて結婚改姓して夫婦同姓ということなら、
「おはよう東京」が言っている通り、
「アメリカ合衆国では90%以上の女性が
改姓して夫婦同姓」となります。
結合姓やミドルネームも含まれているなら、
結婚改姓する女性だけで90%ではないです。
アメリカ合衆国で夫の苗字に
結婚改姓して夫婦同姓となる女性は
80%程度ではないかと推測されます。
このあたりの英語表現が、わたしにはわからないです。
ご存知のかたがいたら教えてください。
付記:
「おはよう東京」は自説の根拠となる記事を
示してはいたことになります。
それゆえ「反証されたのにあたかもなにも
なかったかのように、平然と同じことを
繰り返した」のではないとは言えます。
これについては失礼しましたと、
おわびしたいと思います。
「またアメリカで結婚改姓する女性の割合」
一度反証されたのに、あたかもなにごとも
なかったかのように、平然と同じことを
言ってのける「おはよう東京」の神経は
なかなかなものだと思います。