2019年06月30日

専業主婦の妻を持つ男性の年収階層

メインブログの6月29日エントリで、
日本の企業文化は妻が専業主婦の既婚男性に
有利に作られていることをお話しました。

「既婚男性に有利な日本社会」

ツイッター・モーメントに登場した
「四条烏丸(旧:もも281)」は、そうした既婚男性の
有利さが理解できない人のひとりです。

「四条烏丸」は「妻が専業主婦の男性」に
「女房と子どもを養うために会社にしがみつく」
というイメージを持っているようです。

 


独立行政法人・労働政策研究・研修機構による
「子育て世帯全国調査」があります。
これを見ると妻が専業主婦である
既婚男性の年収は、600-800万円が25.2%、
800万円以上が21.9%となっていて、
これらの領域で全体の半分近くとなっています。

「子どものいる世帯の生活状況および保護者の就業に関する調査2016(第4回子育て世帯全国調査)」



国税庁の発表している2014年の
民間給与実態統計調査を見ると、
男性の年収のボリュームゾーンは、
300-400万円(18.3%)と400-500万円(17.4%)です。

「サラリーマンの年収 > 年収階層分布図」

年収600-800万円は全体の14.3%、
800万円以上は全体の13.3%であることを考えると、
専業主婦世帯の男性の収入は
かなり高いほうということになります。


メインブログの2014年8月17日エントリで
お話しましたが、2014年7月31日の
日経新聞に出ている「民間給与実態統計調査」の
2012年分を見ると、夫の年収が高いほど
配偶者控除の利用率が高くなっています。

「配偶者控除、高所得者ほど恩恵 財務省」

年収200-300万円: 11.2%
年収500-600万円: 33.7%
年収1000-1500万円: 61.0%

配偶者控除を利用していることを
妻が専業主婦であるとみなすと、高収入の男性ほど
妻が専業主婦であることが多いことになります。


世代間問題研究プロジェクトが行なった
「くらしと仕事に関するインターネット調査」の
2011年の調査を見ると、夫の年収が高いほど
妻の第3号被保険者の割合が高くなります。

「専業主婦世帯は共働き世帯より経済的に恵まれているか」



第3号被保険者を専業主婦とみなすと、
ここでも高収入の既婚男性ほど、
妻が専業主婦の割合が高いことになります。


妻が専業主婦というのは、男性の片働きだけで、
かなりの収入がある必要があり、
いわば「裕福層」「小金持ち」ということです。
収入に余裕のある男性が妻を専業主婦にする、
というのが実際のイメージに近いでしょう。

「女房と子どもを養うために会社にしがみつく」という
イメージは、どこにあるのかと思います。
「養うためにしがみつく」必要がある程度の
年収の男性では、妻は専業主婦というのは難しく、
夫婦共働きが多いだろうと思います。


妻を専業主婦にして養えるのは、
ある程度以上年収の高い男性という
社会状況になって、だいぶ経つと思います。
もう広く定着している認識だろうと思います。

「子どもふたりの適正年収」


そこへもってきて、専業主婦世帯の男性に対して
「養うために会社にしがみつく」なんて
イメージを描いているらしい
「四条烏丸(もも281)」は、
いったいなにを見ているのかと思います。

よくよく社会が見えていないか、
常識がないかのどちらかではないかと思います。
いつまでも55年体制時代の感覚から、
抜け出せないのかもしれないです。

posted by たんぽぽ at 07:28| Comment(0) | 家族・ジェンダー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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