名乗るようになったのは明治以降だから、
夫婦別姓は日本の伝統でない」と主張をしています。
そして「日本はむかしから夫婦同姓」と言っています。
江戸時代の庶民は名字を名乗らなかったことに
気がついているのは結構なことです。
ところがそれなら夫婦別姓はもちろん、
夫婦同姓も存在しないということです。
「夫婦別姓が日本の伝統でない」のと同じ理由で、
「夫婦同姓も日本の伝統でない」です。
@itin00954049 @pissenlit_10 嘘はいけません。庶民が姓を名乗るようになったのは明治以降。
— 東一 (@touiti_abann) 2018年1月12日
昔から基本は夫婦同姓であった。
「あの民俗学の人」は、日本の夫婦同姓は明治以後でも
120年続いたから日本の慣習、と言っています。
でも上のツイートのような言いかたをするのは、
ここでの「むかし」は明治以前のはずです。
明治以前に存在しなければ、夫婦別姓は伝統ではないが、
夫婦同姓は伝統になりうるというなら、
「ダブルスタンダード」になります。
江戸時代までは明治以降とは苗字の概念が異なります。
「氏(うじ)」「姓(かばね)」「名字/苗字」は
べつのものあり、使われかたも異なっていました。
「氏」は一族の名前、「姓」は役職を表わしたもので、
大和朝廷の時代に始まる天皇からさずかる名前です。
「名字/苗字」は平安時代の後期に興ったサムライたちが
自分たちの一族の名前として自称したものです。
「夫婦別姓4部作」
「名字の歴史と夫婦別姓」
明治に入って近代的な家族制度を
法律で整えていく際、「氏(し)」「姓(せい)」
「名字/苗字」の区別がなくなり、
同じものを表わすようになります。
「姓」と「名字/苗字」の法律用語が「氏」というくらいです。
現代の意味での「夫婦同姓」「夫婦別姓」は、
基本的に明治以降の概念ということです。
そう考えた場合、「夫婦別姓」も「夫婦同姓」も
どちらも明治以前には存在しないので、
「日本の伝統」でないことになります。
明治の新政府は近代的な家族法や戸籍法を定め、
国民全員が名字を持つようにしました。
このときは「名字は出自を表す」が政府の見解であり、
「妻は生来の名字を名乗る」という通達を、
内務省は出していました。
「反対派の精神構造と思考構造 夫婦同姓は日本の伝統?」
「日本で夫婦同姓になった起源」
「儒教とは何か」を読んでたら初っぱなに夫婦同姓について書かれてて、日本では明治27年まで、内務省から「妻は元の姓を名乗るべし」とされてたのを知った。夫婦同姓が明治以降なのは知ってたけど、明治27年に至るまで、むしろ積極的に「妻は元の姓」とされてたのは知らんかった。
— mipoko (@mipoko611) 2018年1月27日
その後、不平等条約を撤廃するために、
欧米風の法整備が必要になっていきます。
その過程で欧米の家族法にならって、
日本で夫婦同姓を定めたのは1898年です。
同姓を名乗れとされたのは明治31年(西暦1898年)。明治も随分進んでから。なんでかというと、不平等条約撤廃のために欧米列強風の法整備が急がれたかららしい。何のことはない、夫婦同姓は伝統でも何でもなく、むしろ儒教由来の同姓不婚の伝統を破って、欧米化するために作られた制度ということだ。
— mipoko (@mipoko611) 2018年1月27日
「夫婦同姓120年の伝統」より前に、
夫婦別姓の時期が日本にはあったということです。
「むかしからある」ことを問題にするなら、
「夫婦同姓より夫婦別姓がさきだった」
「むかしの日本は夫婦別姓だった」です。