2018年11月06日

文明社会はなにを知っていた?

10月13日10月20日10月21日エントリの続き。

この選択的夫婦別姓の反対派(非共存派)は、
「文明社会は『結婚で女性を守った方が社会が上手くいく』と
いうことを知っていた」などと言っています。

いったいどこの「文明社会」なのかと思います。
そんな「文明社会」はおそらく存在しないと思います。

 


結婚生活は制度上も慣習上も、多かれ少なかれ男性中心です。
結婚にともなう変化が、男性は比較的小さいですが、
女性は大きいことにそれは現れています。

「日本の未婚男性の不幸感」
「若者が結婚できない理由」

結婚は、男性にとっては「イベント」であり、
女性にとっては「生まれ変わり」なのだ。
男性は結婚することでそれほど自己の変化を強いられることはないが、
女性にとってはアイデンティティーが変わるほどの出来事だ。

結婚生活や家庭生活とは、夫や夫の家の都合に
妻が合わせる部分が大きいということであり、
女性が犠牲になることで成り立つということです。


このあたりについては孫引きで恐縮ですが、
デュルケームは『自殺論』の中で、離婚が禁じられることは、
とくに女性にとって拷問になることを指摘し、
結婚生活は女性が犠牲となることを示しています。

「未婚男性の「不幸」感が突出して高い日本社会」

いみじくもフランスの社会学者デュルケームは、
『自殺論』の中で次のように述べている。
「結婚生活は、女子が自分の運命を耐えがたく感じたときでも、
その運命を変更することを禁じている。
したがって、その規則(筆者注:離婚の抑制)は、女子にとっては、
これといった有利さも与えられない一つの拷問なのだ」
(宮島喬訳『自殺論』中公文庫〔1985年〕)

近年になって離婚が急激に増えている韓国における
既婚女性の事情は、端的にそれを示しているでしょう。

「世界各国で上昇する離婚率、韓国は急増し3位に―中国メディア」

注目されるのは韓国の離婚急増。
中秋節(旧暦8月15日)や正月、夏休みの終わり頃になると
離婚が急激に増える傾向があり、夫の両親らとの一家団らんの陰で
辛い思いをする女性が多いことを反映しているという。


現代社会は世界的レベルで離婚が増えています。
洋の東西を問わず、先進国、開発途上国のべつを問わずです。

「世界的に離婚が増えている」

それは離婚を好ましくないとする社会規範の影響が
小さくなったことや、離婚手続きの成熟化などもあります。
そして女性の社会的地位や経済力の向上が大きいです。

全国婦女聯合会婦女研究所の専門家は、女性の社会的地位や
経済力が向上したことで、我慢して他人と暮らしていく
必要がなくなったためだと指摘している。

つまり女性が独りで自立して暮らしていけるだけの
社会的地位と経済力を持てるようになったので、
自分が犠牲になる結婚生活を我慢して
続ける必要がなくなったということです。


文明社会が結婚生活に関してなにを知っていたか、
それは「結婚で女性を拘束し従属させたほうが
男性中心社会にとってうまくいく」です。
「結婚で女性を守ったほうが社会がうまくいく」なんて、
しらじらしい偽善もいいところです。

なぜ女性を男性や男性の家に従属させようと
考えるかは、言うまでもないことだと思います。
たとえば高度経済成長期の日本であれば、
家事労働を妻にいっさい任せきりにできることが、
男性にとって都合がいいことになります。

なによりたいていの男性や男性の家は
子どもが欲しいと考えるので、その「子種」のために
「嫁」を必要とすることになります。
「嫁」におとなしく後継ぎを産ませるためには、
男性の家に拘束して従わせる必要があるということです。


posted by たんぽぽ at 22:51| Comment(0) | 家族・ジェンダー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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