2018年09月28日

フランスに離婚は多くない

9月26日エントリでお話した選択的夫婦別姓の反対派は、
「フランスは離婚が多い」などと言っています。

この反対派(非共存派)は、フランスでは選択的夫婦別姓が
認められていることは、ご存知のようです。
フランスのことは家族政策の話題でよく出てくるので、
それを小耳に挟んだのかもしれないです。

 

この反対派にとって、フランスは先進国になるのでしょう。
それゆえ「後進国」でくくれないので、
フランスの選択的夫婦別姓を、べつのかたちで否定する
必要が出てきたということだと思います。


以下の図に主要国の離婚率の年次推移が出ています。
フランスの離婚率は1985年以降、2前後を推移しています。
主要国の離婚率はほとんどが2から3のあいだに入ります。
他国とくらべてフランスの離婚率は、とくに高いことはないです。

「主要国の離婚率推移(1947〜)」

主要国の離婚率推移(1947〜)

2000年以降は日本の離婚率とくらべても、
フランスの離婚率とはそれほど差がないです。
00年代の前半は、日本のほうがフランスより
離婚率が高い時期もあったくらいです。


もっとたくさんの国の離婚率が出ているデータを見てみます。
出展は総務省統計局「世界の統計2018」です。
年次も2015年ごろで、上述の図よりデータが少し新しいです。

「世界69カ国の離婚率(人口千人当たり離婚件数)」

世界69カ国の離婚率(人口千人当たり離婚件数)

これを見るとフランスの離婚率は1.9です。
世界的に見ても、むしろ低いほうだと言えます。
日本の離婚率は1.7で、フランスとあまり差はないです。
やはりフランスに離婚が多いという事実はないと言えます。


選択的夫婦別姓の導入で、フランスは離婚が多いと
主張する最初のツイートの反対派は、
イタリアの離婚率はどう考えるかと思います。


イタリアは1975年に選択的夫婦別姓が条文化されています。
非明示的であれば、1961年から導入されています。
選択的夫婦別姓が実施されるようになった時期は、
諸外国とくらべて早いほうと言えます。

イタリアの離婚率は1975年以降、低い水準が続きます。
1985年以降は増加傾向になりますが、
2010年代になっても1を超えないです。
他国から飛び抜けて低い離婚率です。
総務省統計局の「世界の統計2018」を見ても、
イタリアの離婚率は1.4で、日本より低いです。

選択的夫婦別姓のせいで離婚が増えるというなら、
導入された時期が早いイタリアは、
他国にも増して離婚率が高くなければ、
つじつまが合わないことになると思います。


posted by たんぽぽ at 06:55| Comment(0) | 民法改正一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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