2018年08月24日

子の名字でもめた事例はなかった

「夫婦別姓だと子どもの苗字をどちらにするかで揉める」と
信じている選択的夫婦別姓の反対派(非共存派)です。

少なくない反対派(非共存派)が気に入っているのか、
根拠もないのに確信していることだと思います。
これを見ると「なんだ、またか」という感じになります。

 


「子どもの苗字でもめた事例はあるのか?」と、
お尋ねするかたがいらっしゃりました。
実際にもめたお話は聞かないからです。
選択的夫婦別姓の導入に反対するなら、
事例にもとづいていることが要求されます。


最初のかたは、ふたつソースを出してきました。



ひとつは2015年12月7日放送の「クローズアップ現代」です。
これはわたしもブログで取り上げたことがあります。
サイトを読んでも「子どもの苗字でもめた
夫婦別姓の家族の事例」は出てこないです。

「家族の名字どう考えますか?」
「同姓強制と女子差別撤廃条約」
「日本の同姓強制と諸外国の現状」
「家族の名字 どう考えますか? ~“夫婦別姓”のゆくえ~」

番組では平成国際大学名誉教授の高乗正臣氏という
反対派が登場して、次のコメントをしています。
最初のツイートの人は、これを言っているのかもしれないです。

夫婦別姓が選べるようになると、子どもの名字をどちらにするかという問題が生じます

これは高乗正臣氏が自分の憶測を述べているだけです。
子どもの苗字でもめた「事例」ではないです。
高乗正臣氏の憶測も「問題が生じる」とだけであり、
「揉める」とまでは言っていないです。



ふたつ目は2010年3月の産経新聞の「未来予想図」です。
これもわたしはブログで取り上げたことがあります。

「夫婦別姓・未来予想図」
「夫婦別姓・未来予想図(2)」
「夫婦別姓・未来予想図(3)」

この記事には、子どもの苗字でもめる夫婦別姓の
家庭は出てはくるのですが、実話ではないです。
記事作者の安藤慶太氏の作ったフィクションです。
「上」の最後のほうに「記事中の人物は実在しません」と、
断わり書きがしてあります。

「【未来予想図 選択的夫婦別姓】(上)ほころぶ家族の絆…お父さんだけ違う姓」

妙子は、血も涙もない法律を恨むしかなかった。
(記事中の人物は実在しません)

「未来予想」なのですから、現在ある家庭を取材した
実話であるはずもなく、もっともらしく書いていても、
記事作者の空想であることは、当然とは言えます。



産経の「未来予想図」は、注意深く読まないと、
「記事中の人物は実在しません」という
断わりがあることに、気がつかないと思います。
それゆえ取材にもとづいた実話だと早合点して
「夫婦別姓の家庭はこんななのか」と思い込む人も
結構いるのかもしれないです。

産経の「未来予想図」は選択的夫婦別姓問題に関して、
デマを拡散させる原因にもなって、やっかいだと思います。
これも一種の「足止め効果」だと言えそうです。
(追求されても「実在しない」と断わっているから
デマではないと、産経新聞は言うのでしょう。)


かくして「子どもの苗字でもめた事例」を求められて、
最初のツイートの人が提示したものは、
ふたつとも反対派(非共存派)の空想であり、
「事例」ではなかったことがわかりました。

最初のツイートの人は、産経の「未来予想図」で
書いていることは実際にありえるだろうと、反論してきました。


現在でも事実婚や通称使用、国際結婚などで
夫婦別姓のかたはいますが、子どもの苗字でもめた事例を
まったく聞かないのは、何度もお話していることです。

「長尾たかし・選択的夫婦別姓に反対」

「夫婦別姓だと子どもの名字で揉める」と主張して、
選択的夫婦別姓の導入に反対するなら、
反対派の空想や願望ではなく、れっきとした「もめた事実」が
顕在化していることをしめされたいです。


posted by たんぽぽ at 22:52| Comment(0) | 民法改正一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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