多くは女性の方の希望が多いと言う事実もある」とか
「ほとんど抵抗なく受け入れられているのが普通だ」
などと言っている、選択的夫婦別姓の反対派です。
「ほとんどの女性には結婚改姓の願望がある」という、
ある種の人(男性)に見られる認識です。
「事実もある」「普通だ」なんて断言していて、
ご自分の認識にかなり自信があるようです。
父子継承は化石というのは、家督相続の観念が消えているのに、未だに父子継承なる言葉を用いるからだ。男性の姓を選択するのは慣習のせいでもあるだろうが、多くは女性の方の希望が多いと言う事実もある。それが強制的で苦痛だというのなら別だけれど、ほとんど抵抗なく受け入れられているのが普通だ。 https://t.co/S4xdHp2Dwl
— tensyobo (@ktpfz) 2018年7月1日
このように思っている人は、素朴にナイーブに
「女は結婚改姓の願望がある」と信じているのかもしれないです。
あるいは「女は結婚改姓したがっていると思いたい」という
ご本人の願望も入っているのかもしれないです。
「ほとんどの女性は結婚改姓を希望している」なんて
「事実」がないことを示すことはできます。
7月14日エントリでもお話しましたが、
20-30代の首都圏勤務の女性を対象にした
ウートピのアンケートで、「夫婦別姓(非改姓結婚)を希望する」
と答えたかたは63%で、全体の3分の2程度です。
「夫婦別姓の希望は実は多数派?」
「非改姓結婚希望が6割以上」
女子校の課題で、選択的夫婦別姓についての
小論文を書かせたとき、「結婚改姓したくない」と書いた子は
7割ほどいたという指摘もあります。
この数字、ものすごくリアリティがある。2年前に小論文で「選択的夫婦別姓」について書かせたら生徒はなぜか「選択的」を落として改姓しないメリットを論じてたけど、7割くらいの子が改姓したくないって書いた。(女子校) https://t.co/rWFKbknovf
— 3a8(ab) (@saya_fairyland) 2018年7月3日
現在の日本では96%のケースで女性が改姓します。
ウートピのアンケートに答えたかたや、
小論文を書いた高校生が結婚した(結婚する)ときも、
この割合はほとんど変わらないと考えられます。
よってかなりの数の女性にとって結婚改姓は
「強制的で苦痛」だし「抵抗がある」ということです。
そこには「結婚したら女は改姓する」という社会通念があって、
それが圧力になっているからにほかならないです。
なぜ結婚改姓したくない女性は結構たくさん
いるにもかかわらず、最初のツイートの人のようなかたの
視界に入らないかですが、理由のひとつはもともと頻繁に
話題になることでないことがあると思います。
もっと重要なこととして、どこに選択的夫婦別姓の
反対派(非共存派)がいて、心ないことを言われるか
わからないということがあります。
それゆえ改姓したくない自分の気持ちを黙っていることで、
みずからその存在を隠すということです。
最初のツイートの人は、「結婚改姓が苦痛で
夫婦をやっていけるか」などと言っています。
こんな人の前で「わたしは結婚改姓したくない」と
言う女性など、いるはずもないでしょう。
かくして結婚改姓したくない女性の存在が、
最初のツイートの人からは見えなくなるということです。
相手の姓を称することが苦痛だという意味が分かり兼ねる。そんなことで夫婦やっていけますか。結婚の初めから苦痛を伴う結婚はしないほうがいいと思うけど。合理的といいますが、子供、孫の姓がそれぞれ違う家族なんてぞっとしませんか。手紙書くのもメモを見ないと分からないなんてことも。 https://t.co/yp6oCB3cTh
— tensyobo (@ktpfz) 2018年7月1日
このような人の前で、自分の希望について
安心して言えるのは「わたしは結婚改姓して夫の名字を
名乗りたいです」という女性だけです。
かくして「女性はみんな結婚改姓したいと思っている」と
錯覚するようになるのだろうと思います。
一般に被差別マイノリティは、自分の存在を隠す傾向があります。
どこに自分を差別する人がいるかわからないからです。
自分が見ないからといって、その被差別マイノリティは
存在しないと考えるのは危険なことです。
「非改姓婚を望む人たちの数」
付記:
最初のツイートの反対派(非共存派)と同じような
「女性に結婚改姓の願望がある」と信じている
「結婚改姓願望・願望」を示す人は、ときどきいます。
ここにご紹介したいと思います。
「竹田恒泰の結婚改姓幻想」
「田母神俊雄の思い込み」
「初めて夫の姓で呼ばれ、『私は結婚したのか』と思い、頬を赤らめる」
— 竹田恒泰 (@takenoma) 2015年12月17日
こういうのが幸せな結婚というのだと思う。夫の姓を名乗りたくないと言っている人に限って不幸せに見えるのは気のせいだろうか。
夫婦別姓の拡大が検討されているとか。結婚をしたら多くの女性は愛する男性の姓を名のることが嬉しいのではないでしょうか。それを夫婦別姓にしたいというのは私には理解できません。結局は日本のぶち壊しになっていくと思います。伝統・文化の中に国民が幸せになる知恵が一杯含まれているのです。
— 田母神俊雄 (@toshio_tamogami) 2013年3月20日
それはわたしも疑問です。
自分が嫌だから妻に押し付けるという
反対派(非共存派)男性の発想は、
わたしにもまったく理解できないです。
http://pissenlit16.seesaa.net/article/456969215.html
>結婚する前に奥さんに改姓したいか聞きますよね?
反対派(非共存派)の男性は本当に
相手の女性の意思を聞かないこともあります。
http://pissenlit16.seesaa.net/article/488556447.html
「女が改姓するのがあたりまえ、
わざわざ聞くまでもない」
という考えなのだと思います。
反対派(非共存派)の男性にとっては、
「相手の女性が自分の苗字を
名乗るかどうか」という問題であり、
それが意識されるものと思います。
それゆえ相手の女性が結婚改姓
したくないことを、「自分の苗字を
名乗りたくない」と解釈するのでしょう。
>苦労していないヤツが言っても
>なにも説得力がありませんね
彼らは自分の願望でかたるのでしょう。
それで反対派(非共存派)男性の
見解は非現実的なものとなります。
自己中心的で差別的という批判を
まぬがれにくくなりますからね。
「相手の女性は改姓を受け入れた」ことにすれば、
独りよがりに「問題ない」ことにできる、
ということなのでしょう。
選択的夫婦別姓の反対派(非共存派)の
男性は、自分に改姓願望がないのは
男だからで、女は違うと思って
いるのではないかと思いますよ。