2018年07月10日

家族という枠組みが崩壊?

7月8日エントリでご紹介の、法制審議会のA案とB案を
まちがえている選択的夫婦別姓の反対派ですが、
例によって選択的夫婦別姓の導入で家族が
崩壊するという、定番の主張を展開しています。

それはこの反対派(非共存派)の場合、
「家族を結びつけていた紐帯はバッサリと断ち切られ」、
「家族という枠組みが崩壊してしまう」と表現されています。

 

「悪影響」とは具体的にどんなことかと思います。
日本でも現在、事実婚、通称使用、国際結婚で
夫婦別姓のかたはいますが、「悪影響」はないようです。

現在、日本以外のほとんどすべての国で、
夫婦別姓を選択することができます。
これらの国で、夫婦別姓のせいでなにか
「悪影響」があったというお話もないようです。

「夫婦別姓・世界各国の状況は?」

メインブログ7月7日エントリでお話した、
夫婦別姓訴訟の原告の夫婦のように、
日本人どうしですが、外国で婚姻届けを出して
夫婦別姓の法律婚にしているかたもいます。
このようなかたに、なにか「悪影響」はあるのでしょうか?

「もうひとつの夫婦別姓訴訟」


「家族を結びつけていた紐帯はバッサリと
断ち切られ」るというのはどういうことかも、
もっと具体的に示してほしいところです。

「離婚」のことでしたら、選択的夫婦別姓を
導入したことで離婚が増えた事実はないです。
選択的夫婦別姓の反対派が「離婚が増えた例」として
しめしたことがあるのは、ドイツとスウェーデンの2例ですが、
どちらもデータの見間違いだとわかっています。

「選択的夫婦別姓のまとめ(5)」

ドイツは1993年から離婚が増えていますが、
選択的夫婦別姓の施行は1994年からなので、
夫婦別姓は関係ないことがわかります。
ドイツで離婚が増えたのは、もっぱら旧東ドイツで、
冷戦崩壊の混乱で離婚を控えていた人たちが、
きゅうに離婚したことによります。

反対派はスウェーデンの離婚率は50%と喧伝しますが、
これは婚姻件数と離婚件数の比をとっただけです。
人口1000人あたりの離婚件数という、本来の離婚率ではないです。
スウェーデンの離婚率は日本を含めた他国と比べても
とくに高いということはないです。

粗離婚率の推移 1960年-2002年

主要国の離婚率推移(1947〜)


「紐帯はバッサリ」は子どもの孤独感でしょうか?
ユニセフ・イノチェンティ研究センターの調査によると、
「自分は孤独だ」と感じる15歳の子どもの割合は、
日本は他国の群を抜いて多くなっています。
もちろん調査対象国の中で1位です。

「孤独を感じる日本の子ども」
「夫婦別姓と家族のきずな問題」

「自分は孤独だ」と感じる子どもの割合 07年のユニセフ調査

夫婦同姓が強制されている日本だけが、
圧倒的に孤独を感じる子どもが多いことになります。
「夫婦同姓こそ子どもを孤独にする」なんて
結論ができそうですが、そうは思いたくないですよね?


「紐帯はバッサリ」は「親から愛されていない」と
子どもが感じることでしょうか?

内閣府の10代の子どもを対象にした
『我が国と諸外国の若者の意識に関する調査』によると、
「親から愛されていると思う」と答えた子どもは
日本は他国と比べてずっと少ないです。

「共働き世帯の子の肯定感」
「日本の子の低い肯定感」


夫婦同姓を強制する日本は、親から愛されているという
肯定感を持てない子どもが多いことになります。


「家族が崩壊する」というのは、選択的夫婦別姓の
反対派の主張の定番となっています。
ところが彼ら反対派はデータを示さないどころか、
「家族が崩壊する」とは具体的にどんなことなのかさえ、
はっきりさせないことがほとんどです。


posted by たんぽぽ at 23:00| Comment(0) | 民法改正一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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