アンバランスなことを国際学会で発表したツイートと、
そこに「なぜ東京大学を取り上げるのか」と
突っかかってくるツイートをご紹介しました。
「東大学生のジェンダー研究の意義」
どうして学会で特定の大学の特殊な状況を取り上げたのですか。 社会的に学歴のある女性が差別されているなんて言うことは無いと思いますが。 ただ一部の人がインカレの女性を僻んでいるだけでしょう。
— まるしぃ (@marumaru5722) 2018年6月16日
東京大学以外の大学のジェンダー比を知りたいなら、
(最初のツイートの研究主旨からは外れると思いますが)、
それを調査したものはすでにあります。
OECDが2016年の国際女性の日に、
各国の大学生のジェンダー比を調べています。
データは2014年の時点ですが、これはその国の
すべての大学の学生数がカウントされています。
「大学進学率のジェンダー比較」
こちらも国際女性の日にちなんでOECDが出していた、高等教育における男女別の就学率。目に見えて男性の方が女性よりも大学に行っているのは日本ぐらい。もっと国際女性の日が日本国内でも盛り上がってほしいよね。 pic.twitter.com/7ifr0neyBu
— 畠山勝太/サルタック (@ShotaHatakeyama) 2016年3月8日
これを見ると日本は、女子の大学進学率より
男子の大学進学率のほうが高い、ほぼ唯一の国です。
大多数の国では大学進学率は「女子>男子」で、
いくつかの国がほぼ「女子=男子」になっています。
大学進学率は女子のほうが男子より高いのが
現在の国際標準であり、日本はただひとつ、
そこから取り残された国ということになるでしょう。
日本で女子の大学進学率が低い大きな原因として、
日本は奨学金が貧しく授業料が高い、
OECD加盟国の中で唯一の国ということがあります。
大学に入るには個人の経済的負担が大きいということです。
「学費は高いわ援助はないわ・・・日本の高等教育@OECD」
(横軸:奨学金、縦軸:授業料)

多くの家庭において、教育に対する経済的リソースは、
女子より男子を優先にする傾向があります。
男の子ならちょっと無理してでも大学に入れるけれど、
女の子なら諦めてもらうという具合です。
それゆえ大学生活に対する個人の経済的負担が大きいと、
女子は経済的理由で大学進学が難しいということです。
大学教育に対する政府や行政からの経済的支援が
大きい国であれば、家庭が女子に対して
経済的リソースを割かなくても、自分で学費や生活費を
確保できるので、女子でもあきらめずに
大学進学ができることになります。
日本では教育に対する家庭の負担が大きいので、
女子の大学進学率が低いということは、
東大だけのデータにも表れています。
メインブログの6月29日エントリで触れましたが、
男子学生よりも女子学生のほうが
家庭の年収は高いほうに偏っています。
「東大生の家庭の年収分布(2)」
東大生男女の家庭の年収分布。ジェンダー差がある。昨年の『プレジデント・ファミリー』に書いたが,東大生の女子比は低いのだった。 pic.twitter.com/y7yk0fNYAR
— 舞田敏彦 (@tmaita77) 2015年2月11日
大学進学に対する家庭の経済的負担が大きいので、
経済的に余裕のある家庭でないと、東大に入れるくらいの
経済的リソースを女の子には回せないということです。