2018年07月04日

東大以外の学生のジェンダー比

7月1日エントリで、東京大学の学生のジェンダー比が
アンバランスなことを国際学会で発表したツイートと、
そこに「なぜ東京大学を取り上げるのか」と
突っかかってくるツイートをご紹介しました。

「東大学生のジェンダー研究の意義」

 

東京大学以外の大学のジェンダー比を知りたいなら、
(最初のツイートの研究主旨からは外れると思いますが)、
それを調査したものはすでにあります。


OECDが2016年の国際女性の日に、
各国の大学生のジェンダー比を調べています。
データは2014年の時点ですが、これはその国の
すべての大学の学生数がカウントされています。

「大学進学率のジェンダー比較」


これを見ると日本は、女子の大学進学率より
男子の大学進学率のほうが高い、ほぼ唯一の国です。
大多数の国では大学進学率は「女子>男子」で、
いくつかの国がほぼ「女子=男子」になっています。

大学進学率は女子のほうが男子より高いのが
現在の国際標準であり、日本はただひとつ、
そこから取り残された国ということになるでしょう。


日本で女子の大学進学率が低い大きな原因として、
日本は奨学金が貧しく授業料が高い、
OECD加盟国の中で唯一の国ということがあります。
大学に入るには個人の経済的負担が大きいということです。

「学費は高いわ援助はないわ・・・日本の高等教育@OECD」

(横軸:奨学金、縦軸:授業料)

Average tuition fees (USD) vs. the percentage of students receiving public subsidies for higher education, 2008-09

多くの家庭において、教育に対する経済的リソースは、
女子より男子を優先にする傾向があります。
男の子ならちょっと無理してでも大学に入れるけれど、
女の子なら諦めてもらうという具合です。
それゆえ大学生活に対する個人の経済的負担が大きいと、
女子は経済的理由で大学進学が難しいということです。

大学教育に対する政府や行政からの経済的支援が
大きい国であれば、家庭が女子に対して
経済的リソースを割かなくても、自分で学費や生活費を
確保できるので、女子でもあきらめずに
大学進学ができることになります。


日本では教育に対する家庭の負担が大きいので、
女子の大学進学率が低いということは、
東大だけのデータにも表れています。

メインブログの6月29日エントリで触れましたが、
男子学生よりも女子学生のほうが
家庭の年収は高いほうに偏っています。

「東大生の家庭の年収分布(2)」


大学進学に対する家庭の経済的負担が大きいので、
経済的に余裕のある家庭でないと、東大に入れるくらいの
経済的リソースを女の子には回せないということです。



posted by たんぽぽ at 23:39| Comment(0) | 家族・ジェンダー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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