2018年07月01日

夫婦同姓は民衆からの要求?

日本で夫婦同姓が民法で定められたのは、当時の民衆から
要求があったからと、主張するかたがいます。
なにを根拠にこんなことを言うのかと思います。

いくつか関係する書籍やサイトを見ても、民衆からの要求で
夫婦同姓が定められたと記述しているものはないです。

 


日本で夫婦同姓が民法で決められたのは、
いまから120年前に、ヨーロッパの家族法にならった
イエ制度を定めたことに始まります。
これまでに何度もお話していることです。

「日本で夫婦同姓になった起源」

なぜ夫婦同姓としたかは、不平等条約を撤廃するために、
欧米風の法整備が必要だったからです。
欧米列強と対等になりたいという政府、つまり「お上」の
要求であり、民衆の要求なんて関係ないです。



1890年に大日本帝国憲法が発布されました。
このときの民衆の多くは憲法の内容を
ろくに知らなかったにもかかわらず、
なにやらめでたいらしいと思って、はしゃいでいたのでした。
明治の中ごろの民衆の意識なんてこの程度です。

日本で本格的な大衆運動が起きるくらいに
意識が高まるのは1905年、日露戦争が終わったあとです。
彼らの最大の目的は普通選挙の実現でした。

日本で普通選挙が実現したのは1932年ですから、
27年かかっていることになります。
同じ年に治安維持法が交換条件的に成立していますから、
普通選挙を実現するための運動が
成功したとはとても言えないものでした。


戦前の日本は、主権は天皇であって国民ではないし、
選挙権のある国民も、高額納税者の男性にかぎられました。
現在よりずっと国民の権力が弱く、
臣民は「お上」に従って当然という社会状況のもとで、
大衆からの要求でなにかが実現すると
考えるほうが、おかしいというものです。

実現することがあるとしたら、政府「お上」の要求と、
大衆の要求がたまたま一致したときだけです。
それは大衆の要求がなくても、実現することだと思います。



付記:

本当に当時の民衆からの要求によって夫婦同姓が
定められたのだとしても、現在も夫婦同姓の強制を
続けなければならない理由にはならないです。

当時の民衆と現在の市民とは、生活における必要性も、
取り巻く社会情勢も、人権やジェンダー問題に
関する意識も異なるので、要求も違って当然だからです。
120年前の民衆の要求ではなく、現在の市民が
必要とすることに応じて、法律を定めたいものです。


posted by たんぽぽ at 17:36| Comment(0) | 民法改正一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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