2018年06月22日

島国ゆえになにが守られた?

6月20日エントリでご紹介の、選択的夫婦別姓の
反対派(非共存派)は、夫婦同姓は日本の伝統という、
反対派に典型的な認識をお持ちのようです。

しかもその「夫婦同姓の伝統」は、日本が島国ゆえに
守られたとさえも思っているようです。
ここまでくると、あまりほかでは見られない奇異的な主張、
ということになるかもしれないです。

(それともわたしが知らないだけで、
同じようなことを言う「ネトウヨ」は多いですか?)

 



日本が現在のように夫婦同姓となったのは、
明治の後半にヨーロッパの家族法にならった
家族制度を民法で定めたことによります。
ここには不平等条約を撤廃するために、
欧米風の法律を整備する必要があったことが大きいです。

「日本で夫婦同姓になった起源」
「夫婦同姓は日本の伝統?」

明治のはじめに近代的な家族制度を定めたときは、
「名字は出自を表す」ということが政府の見解でした。
結婚改姓という考えがなく、夫婦別姓が原則だったと言えます。


現在の夫婦同姓は日本の伝統でもなんでもないです。
欧米風の法整備のために、日本の伝統を捨てたくらいです。
日本が大陸と地続きでないことも、もちろん関係ないです。
明治時代は積極的に欧米諸国の文化を
取り入れようとしていましたから、地理的隔離なんて
文化の流入が遮断される原因にはならないでしょう。


現代の日本が夫婦同姓の強制を執拗に続ける精神構造として、
「同調圧力、集団主義」と「ジェンダー差別」があります。
「島国だから守られた」のは、これらのことでしょうか?
実際「地理的隔離」で説明しようと思えばできます。

日本は島国で地理的に隔離されているため、
外国人が入ってくる機会が少なく、
それが異質なものに対する強い抵抗という、
排他的な精神構造を作ることになりました。

またかぎられた狭い島の中で、みんなで同じようにすることが、
社会を維持する上で得策と考えられてきました。
まさに大陸と地続きでないという地理的隔離が、
日本人の「同調圧力」と「集団主義」を作ったことになります。


日本人は異質なものを排斥し、みんなで同じにするという
社会をずっと続けてきたため「均一社会」となりました。
(より正確には「均一社会だと思うようになった」だと
思いますが、ここでは「実態」より「意識」が問題。)

一般に社会の中に少数異民族の存在が目立つときは、
その異民族に対する差別が顕著になる傾向があります。
少数異民族の存在が社会に意識されなくなると、
ジェンダー差別が顕著になる傾向があります。

ヨーロッパで魔女狩りがもっともさかんに
行なわれていた時代は、実は16-17世紀でした。
なぜこんな比較的新しい時代に?それも理性の時代の
ルネッサンスよりあとに?と思うところです。

「魔女裁判/魔女狩り」

その原因のひとつには、それ以前の時代までにユダヤ人を
迫害してほとんどいなくなっていたことがあります。
少数異民族が社会の中に目立たなくなったので、
ジェンダー差別に矛先が向かったということです。


日本はずっと「均一社会」だと思われ、
社会の中における少数異民族が意識されなかったのでした。
それで差別のほこさきはジェンダー差別、
すなわち女性に対する差別に向かうということです。

日本のジェンダー差別のもとである「均一社会」は、
地理的に隔離されていたゆえの、同調圧力と集団主義です。
よって日本のジェンダー差別も、もとをたどれば
「日本が島国だったから」ということになります。


「地理的隔離ゆえの日本社会の均一性」なんて、
古典的な日本人論ではあると思うし、
ステレオタイプな感じもするだろうと思います。

それでもそれほど飛躍した議論でもないと思いますよ。
選択的夫婦別姓の反対派やネトウヨが持ち出す
怪しげな議論よりは、問題なく妥当性が高いと思います。


posted by たんぽぽ at 07:10| Comment(0) | 民法改正一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
コチラをクリックしてください