2018年05月25日

女性が主体的に生きられない社会

5月24日エントリでお話したかたは、
女性が主体的に生きられず、経済的に自立できない、
という主旨の指摘をわたしがすると、
それはキャリアウーマンのアイデンティティと
矛盾している、などと言ってきました。

どういうことかよくわからないです。
1. 日本にはキャリアウーマンはわりとたくさんいる、
2. 日本ではキャリアウーマンになるか、
 専業主婦や非正規雇用従事者になるかは、女性が主体的に選択できる、
という認識が背景にあるのではないかと考えられます。

 


キャリアウーマンはどれくらいいるかですが、
女性管理職の割合はその指標になっていると思います。
日本の女性管理職の割合は9%程度です。
欧米の民主主義国の多くは30-35%程度です。

管理職になれる女性は、日本は他国より問題なく少ないです。
キャリアウーマンになれることが女性が主体的に
生きられることを示しているとするなら、日本で主体的に
生きられる女性は「少数の特例」になります。

「専門職と管理職の女性比率」



日本は他国と比べても、とりわけ雇用形態と
婚姻やジェンダーがわかちがたく結びついています。
この現状が、日本において女性が主体的に
生きる選択をすることを妨げていることになります。

「結婚・ジェンダーと雇用問題」

性別と働き方の関連性が日本は特に強いことを、
岩上真珠氏の論文は海外との比較によって明らかにしている。
韓国やイタリアは性別規範の強い国として有名だが、
これらと比べても日本は性別と雇用形態の結びつきが強い。
男性は未婚、女性は既婚に非正規雇用が多い
といったように婚姻と雇用形態の結びつきも強い。

女性は妊娠や出産をすると、本人の意に反して
非正規雇用にしかつけないことが多いです。
本人の希望をまったく無視して、非正規への配置換えを
一方的に会社が決め、本人がそれに抗議すると
「あんたは会社の言うことを聞かないからクビ」です。
とても女性が主体的に生きているとは言えないです。

「出産でパートに回される」
「ガラスの天井:女性と仕事/1 「産後はパート」上司が強制」

あくまで正社員での復職を望むチエさんに、
上司は「パートしかない」の一点張り。
主張し続けていると、退職勧奨が始まった。
拒否すると、今度は解雇通知が届いた。

これが特例でなく日本では一般的に見られることは、
女性はどの年代も未婚者は正規雇用のほうが多いこと、
すなわち女性は結婚すると非正規雇用が
多くなることが示していると思います。

「就労形態と未婚率の関係」



正規雇用にかぎっても、女性は未婚者より
既婚者のほうが年収水準が低くなります。
正規雇用でも女性は妊娠や出産をすると、
企業で責任あるポストにつけないということだと言えます。

女性は企業の中で意思決定のできる
立場につくことができず、男性がずっと意思決定して、
女性はその下で働き続けるということです。

「女は結婚で年収が減る」


日本は女性が主体的に生きられない社会だと
言わざるをえないと思いますよ。


posted by たんぽぽ at 23:13| Comment(0) | 家族・ジェンダー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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