2018年05月24日

女性が土木工学に興味がない理由

4月13日エントリでお話した、配偶者控除によって
世帯収入が安定する、という認識をお持ちのかたは、
「日本で土木業界に従事する女性が少ないのは、
女性がみずから土木工学に興味を持たないからだ」とも言っています。

「専業主婦希望の女性は7割?」
「配偶者控除で世帯所得が安定?」

 


2014年の『高校生の科学等に関する意識調査報告書』に、
各国の理系の各分野に対する興味の
ジェンダー差についてのデータが出ています。

「科学に対する興味の男女差」

「土木」はないですが、「物理」「化学」「動植物」
「人体」「天文」「地理」の6科目について調べています。


アメリカ合衆国は6つすべての分野において、
興味の有無にジェンダー差がほとんどないです。
日本は分野によって、興味の有無に目立ったジェンダー差があります。

国(社会)によって、これだけ理系の各分野の
興味にジェンダー差があるということは、かかるジェンダー差は、
社会によって作られるということだと言えます。
男子に比べて女子の興味が少ない分野があれば、
それはその分野に女子が興味を持たないような
社会通念や社会的圧力があるということです。

土木工学も同様であることはもちろんでしょう。
土木に興味を持つ女性が少ないとしたら、
社会が女性に興味を持たせないようにしている、
そのような社会通念や圧力があるということです。


最初のツイートのかたは「女性が「主体的に
選択しなかった」と考えるのが普通」などと
言っていますが、ぜんぜんふつうではないと思います。
女性が選択したくなくなるよう社会から仕向けておいて
「あれは女性がみずから選択しただけ」とする
独善的な考えだからです。

さまざまな職業でジェンダー比に偏りがないことを、
「社会がうまく回っている」と考える、
あなたがリプライしているかたの
言っていることは、どこもおかしくないですよ。
「論理的飛躍」なんてないです。



社会構造に原因があるジェンダーギャップを
女性の意思や能力の問題に転嫁するのは、
こうした場合にありがちな主張だと思います。

「自分たちは差別していない」と言い逃れることが
できるだけでなく、「女性の意思を尊重している」
という体裁を取ることができるからです。

うまく議論を運べば、批判的なかたに対して
「女性の意思を尊重しない人、カチカンの多様性を
否定する人」ということにもできるでしょう。


posted by たんぽぽ at 23:45| Comment(0) | 家族・ジェンダー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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