日本会議に接近したという情報は、原告団の支援者たちの
メーリングリストに流れてきたものでした。
「サイボウズ青野社長の「別姓訴訟」、日本会議への接近に戸惑う人たち」
(はてなブックマーク)
「新しい夫婦別姓訴訟・とまどい」
「新しい夫婦別姓訴訟・日本会議」
「夫婦別姓訴訟と日本会議の対応」
青野氏訴訟が「民法改正ではない法整備」という点、
また「日本会議がかつて行なった署名での請願運動と
類似点があること」を伝え、日本会議を訪問したいとの交渉を
行なったとの報告が青野氏の支援者あてのメーリングリストに
流れてきたのは2018年4月11日のことだった。
驚いた支援者たちも多かったという。
このメーリングリストは非公開であり、
井戸正枝の記事はそのメーリングリストで流れた
内容について、無断で言及したもののようです。
おそらくメーリングリストに参加しているどなたかが、
井戸正枝に情報を提供したと思われます。
ここで非公開情報を無断で公開してよいのか、
という問題が出てくることになります。
この是非については、ここでは置いておくことにします。
支援者あてML宛に流れたクローズド情報をここで記事にしていいのか?あと、民法改正が20年以上頓挫してるわけで、戸籍法から先にアプローチするのは批判されるべきじゃないでしょう / “サイボウズ青野社長の「別姓訴訟」、日本会議への接…” https://t.co/KFZV7AoRNu
— Akiko Orita (@oritako) 2018年4月24日
なぜ非公開情報であるにもかかわらず、
公開したかたがいらしたかは、容易に想像がつきます。
原告団が日本会議に接近したことで、
訴訟がおかしな方向に向かうのではないかと、
危機感を持ったからにほかならないでしょう。
それゆえ原告団が日本会議へ接近したことを、
選択的夫婦別姓の問題に関心のある人たちに、
知らせておく必要があると思ったのでしょう。
そのメリットは、この問題を伏せておくことで
メーリングリストの非公開を守るメリットより上回ると、
判断したということだと思います。
わたしがさしあたって心配なのは、
青野慶久氏たち原告団の方針を支持するかたたちと、
批判的なかたたちとで、対立が激化することです。
支持するかたと批判的なかたたちとのあいだで、
すでに論争はなされているようです。
はてなブックマークも、原告団に対して賛否両論です。
最悪の展開は、原告団を支持するかたたちと
批判するかたたちとが分裂することです。
分裂によって勢力が小さくなれば、
それは著しく不利になることは言うまでもないです。
そこまでいかなくても、両者がおたがいの
論争のためにリソースを使うことになるので、
世論一般から訴訟の理解を得たり、反対派の対処をするための
リソースが減って、効率が悪くなります。
この対立が原因で、夫婦別姓訴訟そのものが
失敗に終わることがないことを祈るばかりです。
今回のことは、15年ほど前にわたしが関わった、
ネットの選択的夫婦別姓の市民団体を、少し連想します。
この市民団体は、自民党の反対派にすり寄って
妥協するという「後退戦術」をとったのでした。
またこの市民団体は自分たちのやりかたは
絶対にうまくいくという自負が突出していました。
自分たちの方針に異論を唱える選択的夫婦別姓の推進派を、
どんどん排除していきました。
結局、選択的夫婦別姓は実現せずじまいでした。
くだんの市民団体は大失敗に終わったのですが、
失敗の責任をなんら取ることなくフェードアウトし、
人間関係の分断があとに残ることになりました。
メインブログの5月2日エントリで少し触れましたが、
日本会議は原告団が直接説得する必要のある相手ではないです。
また今回の原告団は、15年前の市民団体のように
「自分たちの方針は絶対にうまくいく」という
自負心が突出してもいないようです。
よって状況はまったく同じではないとは思います。
わたし個人の方針ですが、原告団を支持する側か
批判的な側かのどちらかのサイドに立って、
論陣を張ることはできるだけしたくないと考えています。
わたしとしてはどちらの言い分も理解できるものはあるし、
また両者の対立に参加することで
対立をさらに激化させたり、自分のリソースを
消耗したくないということもあります。
このような「どっちつかず」の態度を続けていると
「こうもり」と思われて、両方から信用されなくなる
という可能性もあるので、いかんともしがたいです。