2018年03月02日

国会で議論しないのはなぜか?

2月25日エントリでご紹介した「私は夫婦同姓に賛成」と
やけに強調するかたは、「選択的夫婦別姓法案の議論を
なぜ国会でしないのか?」とも訊いています。

推進派はつねづね選択的夫婦別姓法案を
国会で議論しろと思っていると思います。
議論したがらないのは反対派(非共存派)です。



 
民主党(現在は立憲民主党)など野党各党は毎年のように、
共同で選択的夫婦別姓法案を提出しています。

「民法改正法案6年ぶり提出」

【国会1】野党が民法改正案を提出 6月12日

参議院の民主・共産・社民と無所属の議員が6月12日、
民法改正案 を発議(提出)しました。
改正の主な内容は、選択的夫婦別姓制度の導入、再婚禁止期間を100日に短縮、
婚姻最低年齢を男女とも18歳とするなどです。
選択的夫婦別姓制度導入の民法改正案が提出されるのは、
2009年 の通常国会以来6年ぶりとなります。

与党であり続けている自民党は選択的夫婦別姓に反対です。
そしてその自民党が選択的夫婦別姓法案の審議に
まったく応じないので、議論にならずに終わることになります。
国会で議論しないのは「反対派のせい」です。


いまから15年ほど前、自民党内でも選択的夫婦別姓法案の
推進派議員が活発に活動していたことがありました。
当時の自民党は、政府提出の法案は法務部会という
党内会議に必ずかけるようになっていました。

「自民党法務部会の実態 民法改正法案提出阻止の現場」

選択的夫婦別姓法案も部会にかけられるのですが、
ここでの反対派議員の態度はすさまじいです。
はなからけんか腰だったり、因縁をつけたり、
地元の支持者を楯に取って会議をやめさせようとしたりします。

「推進派のだれが何を言うか、もう顔を見ただけでわかる」
なんて、党内ヒエラルキーで上位にあることを
利用して、一喝して一同を黙らせるのもいます。
「オレの目の黒いうちは、別姓など絶対に許さない」
などと息巻いて、まったく理屈を受け付けない
感情むき出しの敵対心をあらわにするものもいます。

そこでの、別姓反対派議員たちの態度が、
まことに百家争鳴というか、じつにすさまじいのです。
景気が悪いのに、こんなくだらないことで時間をかけるなと、
地元の支持者から言われているからと、会議をやめたがるのとか、
国柄を変える大問題だと大騒ぎしたりとか、そんな調子です。

いやいや、こんなのはまだおだやかなほうです。
「これが議論か?」と言いたくなるような、
ケンカ腰の反対派議員もいるから、いやになってしまいます。
たとえば、賛成派議員の欠席が多いときに、
「みなさん忙しいから...」と、賛成派のひとりが弁明すると、
「じゃあ、反対派はひまだというのか?」などと、
言いがかりをつけてくれたりします。

さらには「(賛成派の)だれが何を言うか、もう顔を見ただけでわかる。」と
一喝して一同をだまらせるとか、もっとひどいのになると
「オレの目の黒いうちは、別姓など絶対に許さない」などと、
ストレートに言ってのけたりとか、むきだしの敵対心を
隠そうともしないのもいるくらいです。

こうして自民党の党内会議である法務部会で、
いつも選択的夫婦別姓法案は握りつぶされてきました。
自民党が与党の時代に、選択的夫婦別姓法案を
政府提出できないのも「反対派議員のせい」です。


自民党が選択的夫婦別姓の実現に反対するのは、
支持基盤に負うところも大きいです。
「神道政治連盟」という宗教団体の関連団体
「国会議員懇談会」には多くの自民党議員が所属しています。

「神道政治連盟とは? 反対派の圧力団体」

「神道政治連盟」が選択的夫婦別姓に反対なので、
自民党議員の多くも反対することになります。
自民党がまともに選択的夫婦別姓の審議をしないのは
支持基盤からの支持を確保するためでもあります。
つまり「反対派のせい」ということです。

「参議院147回法務委員会 第17号 平成12年5月25日」
実際問題として、これが出てきて、特に自民党の中で
反対意見が多くなってきたというのは、一九九六年三月三十一日に
開かれた神道政治連盟国会議員懇談会、
これ今話題の会ですけれども、ここにおいて選択的夫婦別姓制度の
反対が協議されて、それ以来なんですね。

それ以降、神道政治連盟及び二百名以上いる
同議員懇談会というところでたびたびこの制度への
反対が表明されているんですよ。
そうすると、いわばここのところが与党の中でも
反対の総本山みたいな形になっているということで、
臼井法務大臣自体この懇談会の幹事を
務められているということがあるわけですね。

確かめますけれども、私が調べている限り、
この議連、ここに入っている方々はこの法案には反対している、
ほぼそうであるというふうに判断しておりますけれども、
そのとおりと考えてよろしいですか。


民主党は政権についていたあいだ、
一度も民法改正法案を提出しなかったという、
お粗末な事態になりました。
提出できなかったのは、連立政権を作っていた
国民新党の亀井静香が反対したことが大きいです。

「亀井静香・政界から引退」
「亀井氏、夫婦別姓など「熱望する方々ご愁傷さま」」

記者会見で亀井氏は、永住外国人に地方選挙権を付与する法案と
選択的夫婦別姓制度の導入を柱とする民法改正案について、
「国民新党が反対している限り、絶対に日の目を見ない。
(成立を)熱望している方々にはご愁傷さまです」と強調した。

そのとき郵政改革・金融相だった亀井静香は、
選択的夫婦別姓法案の閣議決定に
賛成することを、徹底的に拒否しました。
これによって民主党政権は選択的夫婦別姓法案を
提出できないことになります。

「首相、夫婦別姓法案で閣議決定に応じるよう要求 亀井氏明かす」
国民新党代表の亀井静香郵政改革・金融相は20日、
鳩山由紀夫首相と17日に会った際、
選択的夫婦別姓制度を導入するための民法改正案について、
国民新党が国会で反対することを容認する代わりに
亀井氏自身は閣僚として閣議決定に応じるよう
求められたことを明らかにした。亀井氏は拒否したという。

選択的夫婦別姓法案を国会で審議しないのは、
ここでも「反対派のせい」ということです。


選択的夫婦別姓法案を国会で審議しないのは、
「反対派が審議しようとしないから」です。
むしろ推進派から反対派に対して問いたいことです。
「なぜ国会で議論しないのですか?」




posted by たんぽぽ at 23:03| Comment(0) | 民法改正一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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