2018年02月20日

性染色体が1種類だと欠陥?

すさまじい認識のツイートを見つけました。
「女は性染色体が1種類しかないから欠陥だ」です。

ようは「男には女にない遺伝子があるから
男は女より優れている」という考えなのでしょう。
かなりのミソジニーぶりだと思います。


 
上記ツイートはX染色体とY染色体を逆にしています。
女にあるのはX染色体が2本です。
男はX染色体とY染色体を1本ずつ持っています。
リプライでもしっかり突っ込まれていますが、
このような間違いは、ここでは寛大に扱いたいと思います。



深刻なのはやはり「女性は性染色体が1種類だから、
産まれる前から欠陥」という認識です。
こういうのはどうやって反論したらよいかと思います。
伴性劣性遺伝のお話でもすればいいでしょうか?

「性決定のしくみ (sex determination)」
「伴性劣性遺伝について」

女性はX染色体を2本持っています。
それゆえX染色体上の遺伝子が原因の遺伝病(伴性劣性遺伝)は、
キャリアにはなっても発病する可能性は低いです。

遺伝病の遺伝子は劣性遺伝子、発病しない遺伝子は
優性遺伝子であることが多いからです。
それゆえ1本のX染色体上に発病する遺伝子があっても、
もう1本のX染色体上に発病しない遺伝子があれば、
発病しない形質が発現することになります。

女性がその遺伝病に発病するのは、2本のX染色体の
同じ位置に発病する遺伝子があるときです。
発病する遺伝子は、存在比が少ないので、
同じ個体の中で鉢合わせる確率はほとんどなく、
女性が発病する確率はごく低くなります。


男性はX染色体が1本しかないです。
それゆえそのX染色体上に、発病する遺伝子があれば、
必ず発病する形質が現れることになります。

男性は性染色体のひとつがY染色体のせいで、
女性よりかかりやすい病気が多いことになります。
それでも女性は「産まれる前から欠陥」でしょうか?

(ここで言いたいのは「男は遺伝病にかかりやすいから
欠陥がある」ということでは、もちろんないです。
性染色体を持ち出して「産まれる前から欠陥」
ということにする、優生学まがいの主張が
そもそも間違っている、ということです。)


posted by たんぽぽ at 07:25| Comment(0) | 疑似科学(にせ科学) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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