多いということは、いくつもの世論調査が示しています。
「衆院選 若者層は保守的? 内閣・自民支持多く…世論調査」
これを「若い人たちは正確な情報にアクセスするからだ」
などと考えるかたがいるので、ご紹介したいと思います。
「若者層が保守的なのは正確な情報に触れているからでは?」
上記エントリのかたはこんな分析をしています。
たまごどんはむしろ今の若者世代の方が、
正確な情報に触れていると思っているのだが。
>大企業や正社員を中心とする雇用の売り手市場や株高の現状
そこを見て判断しているのであれば、若者は正しく経済状況を把握し、
その上で保守勢力を支持していることになる。
これはむしろ良いことだよ。
若年層に自民党支持、安倍政権支持が多いのは、
メインブログの11月10日エントリでお話しましたが、
大卒の就職が前の世代のときより容易なので、
現状肯定主義になるということだと思います。
「年齢階層別の政党支持率」
そしてこれは大学生活をふつうに送っていれば、
特定の情報にアクセスしなくても、容易に実感できることです。
若年層がほかの世代と比べて取り立てて
「正確な情報」を得ているとは、わたしには思えないです。
日本は大学の授業料が諸外国と比べて異様に高いし、
奨学金もローンばかりで給付型はほとんどないです。
これは「自助の精神」が大事だと言って、
高等教育に対する公的支出を抑制し、
個人に負担させてきた自民党の成果です。
「学費は高いわ援助はないわ・・・日本の高等教育@OECD」
「大学など高等教育への日本の公的支出は6年連続でOECD最下位」
若年層が「正確な情報」を得ているなら、
自分たちの学生生活は諸外国とくらべて
理不尽なまでに経済的負担が大きいことや、
その原因は自民党にあることに気がつくでしょう。
この問題に関して、若年層のあいだで自民党に批判的な論調が
顕在化しているかというと、そうではないです。
よって若年層はべつだん正確な情報に積極的に
アクセスしていないことを示していると言えるでしょう。
なぜに若年層が正確な情報を得ていると考えられるのか、
最初のエントリのかたはネットを利用するからだと考えています。
それもこれも、ネットという強力な情報ツールのおかげだ。
ネットなんてそれこそ怪しげな情報の宝庫です。
よほどリテラシーがあって注意深く情報を
取捨選択のできる人でないかぎり、
ネットに触れると得体の知れない情報にかぶれて
かえっておかしくなることが多いと思います。
日本でいちばんネットずれしていると考えられる世代は、
40代、団塊ジュニア世代です。
彼らが若年層だったころネットが普及し始めて、
ネットを最初に使うようになった人たちと言えるので、
もっともネットの影響を受けているのでしょう。
40代、団塊ジュニアは、「ネトウヨ」がいちばん多い世代です。
2014年の東京都知事選が明らかにしてくれました。
「ネットという強力な情報ツールのおかげで、
怪しげな情報にかぶれておかしくなる人」が多い、
ということを示していると思います。
「2014年東京都知事選(4)」
最初のエントリのかたは、紙媒体の書籍よりも、
ネットのほうがリテラリーが高いと思ってもいます。
たまごどんは普通の人よりも読書をしていると自負しているが、
現在のインターネットに比べると僅かで
断片的な情報であることは事実である。
最も読書にも思考を掘り下げてくれるという点で優れているので、
情報源としてどちらが優れているとは軽々には言えないのだが。
ネットのほうが情報を流すことに問題なく
無責任になれるぶん、紙媒体よりネットのほうが
ずっとリテラシーが低くなることくらい、
ちょっと考えればわかりそうなものです。
エントリの作者自身が現在40代のまんなかで
ネットの黎明期に若年層だった世代です。
「ネットは従来の紙媒体より質が高い」なんて、
そういう時代にネットを始めた人がいかにも思っていそうな
「ネット優越主義」だと思います。
最初のエントリのかたは「マルクス主義」や「日本赤軍」で、
現在のリベラルや左派に対する認識を作っている
ということにいたっては、いよいよ不可解です。
マルクス主義とはどういうもので、どのようにして
凋落したのかとか、日本赤軍が大衆の支持を失った経緯とか、
立憲民主党も、民進党や民主党も
マルクス主義や日本赤軍とはなんの関係ないです。
系譜でもないし、理念の共有や引き継ぎもしていないし、
活動方法や体質が似ているということもないです。
ネットを検索すると「SEALDsは日本赤軍の同類だ」
なんて主張するいかがわしいサイトをたくさん見つけますが、
エントリ作者のかたのリベラルや左派に対する認識も、
これらと同程度なのかもしれないです。
たまごどんこそ、ネットのせいで怪しげな情報に
かぶれているのではないかと、ご自分を一度振り返って
みたほうがいいかもしれないと、わたしは思います。