女性の割合を、2次元の図で表したものがあります。
教員の女性比率はOECD「Education at a Glance 2017」、
内科医の女性比率はOECD「Health Statistic 2017」が出典です。
高等教育機関教員と医師の女性比率。 pic.twitter.com/0RZiS6wFqe
— 舞田敏彦 (@tmaita77) 2017年11月8日
高等教育機関の教員の女性の割合は、
ほとんどのOECD加盟国は35-50%の領域に分布しています。
ジェンダー格差は解消されつつあると言えるでしょう。
内科医の女性の割合は40-60%の領域に集まっています。
こちらもほとんどOECD加盟国のあいだでは、
ジェンダー格差は解消されていると言えます。
プロットが他国の中から孤立して割合の低いところに
位置しているのは、いつものように日本と韓国です。
(「仲良し」と言えるほど近くはないですが。)
これらの国では高等教育機関の教員と内科医の
ジェンダー格差は、依然として存在することになります。
高等教育機関の教員の女性比率は、
日本は27%程度で、調査対象国の中で群を抜いて最下位です。
韓国は35%程度なので、他国の末席にどうにか届きそうな
ところに位置しているとは言えそうです。
内科医の女性比率は日本は20%程度で、
こちらも調査対象国の中では群を抜いて最下位です。
韓国は22%程度で、こちらは他国からは外れて
低い数値であり、日本とほぼ同じくらいです。
高等教育機関の教員と内科医の女性比率は相関があります。
教員の割合が高いほど、内科医の割合も高いです。
これはどちらも大学、大学院を卒業して
専門知識を身につける必要があるので、
女子の大学進学率が寄与するからだと思います。
「大学進学率のジェンダー比較」
日本は世界の中で、男子の大学進学率が
女子の大学進学率より高いほとんど唯一の国です。
男子と比べたときの女子が大学教育を受ける機会は、
他国と比べて少ないということなので、
教員や医師の女性の割合も低くなるのでしょう。
こちらも国際女性の日にちなんでOECDが出していた、高等教育における男女別の就学率。目に見えて男性の方が女性よりも大学に行っているのは日本ぐらい。もっと国際女性の日が日本国内でも盛り上がってほしいよね。 pic.twitter.com/7ifr0neyBu
— 畠山勝太/サルタック (@ShotaHatakeyama) 2016年3月8日
女性議員の割合と教育費の公的支出の割合に
関係があるのと、同じような理由と考えられます。
教育の公的支出がふじゅうぶんだと、経済的理由で女子の
大学進学の道が狭くなるので、専門知識を必要とする
職種の女性の割合が低くなるということです。
「女性議員の比率と教育費の割合」
慶応大の小林良彰教授(政治学)が
125カ国について調べたところ、女性議員比率が高い国ほど、
民主主義の度合いやGDPに占める教育費の割合が高く、
軍事費の割合が低い傾向がみられたという。
付記1:
医師の女性の割合は科によって差がありそうです。
内科以外の科はどうなるかも気になるところです。
付記2:
日本の大学教員の女性の割合は2007年は18.2%でした。
最初に示した日本の割合27%は2014年のデータなので、
7年間でそれなりに女性教員は増加したとは言えます。
(「高等教育機関」なので大学以外も入っていると思いますが。)
「大学教員の女性の比率」
「各国の女性研究者の割合」
付記3:
韓国は女子の大学進学率は男子より高いです。
全体の大学進学率も調査対象国の中で最高となっています。
それなのになぜ高等教育機関の教員や内科医の女性比率は、
他国と比べてかなり低いのかという問題があります。
高等教育が女子に開かれていること以外の
要因があるということなのでしょう。