2017年11月12日

大学教員と内科医の女性の割合

高等教育機関(大学など)の教員と内科医の
女性の割合を、2次元の図で表したものがあります。
教員の女性比率はOECD「Education at a Glance 2017」
内科医の女性比率はOECD「Health Statistic 2017」が出典です。



 
高等教育機関の教員の女性の割合は、
ほとんどのOECD加盟国は35-50%の領域に分布しています。
ジェンダー格差は解消されつつあると言えるでしょう。

内科医の女性の割合は40-60%の領域に集まっています。
こちらもほとんどOECD加盟国のあいだでは、
ジェンダー格差は解消されていると言えます。


プロットが他国の中から孤立して割合の低いところに
位置しているのは、いつものように日本と韓国です。
(「仲良し」と言えるほど近くはないですが。)
これらの国では高等教育機関の教員と内科医の
ジェンダー格差は、依然として存在することになります。

高等教育機関の教員の女性比率は、
日本は27%程度で、調査対象国の中で群を抜いて最下位です。
韓国は35%程度なので、他国の末席にどうにか届きそうな
ところに位置しているとは言えそうです。

内科医の女性比率は日本は20%程度で、
こちらも調査対象国の中では群を抜いて最下位です。
韓国は22%程度で、こちらは他国からは外れて
低い数値であり、日本とほぼ同じくらいです。


高等教育機関の教員と内科医の女性比率は相関があります。
教員の割合が高いほど、内科医の割合も高いです。
これはどちらも大学、大学院を卒業して
専門知識を身につける必要があるので、
女子の大学進学率が寄与するからだと思います。

「大学進学率のジェンダー比較」

日本は世界の中で、男子の大学進学率が
女子の大学進学率より高いほとんど唯一の国です。
男子と比べたときの女子が大学教育を受ける機会は、
他国と比べて少ないということなので、
教員や医師の女性の割合も低くなるのでしょう。



女性議員の割合と教育費の公的支出の割合に
関係があるのと、同じような理由と考えられます。
教育の公的支出がふじゅうぶんだと、経済的理由で女子の
大学進学の道が狭くなるので、専門知識を必要とする
職種の女性の割合が低くなるということです。

「女性議員の比率と教育費の割合」

慶応大の小林良彰教授(政治学)が
125カ国について調べたところ、女性議員比率が高い国ほど、
民主主義の度合いやGDPに占める教育費の割合が高く、
軍事費の割合が低い傾向がみられたという。



付記1:

医師の女性の割合は科によって差がありそうです。
内科以外の科はどうなるかも気になるところです。


付記2:

日本の大学教員の女性の割合は2007年は18.2%でした。
最初に示した日本の割合27%は2014年のデータなので、
7年間でそれなりに女性教員は増加したとは言えます。
(「高等教育機関」なので大学以外も入っていると思いますが。)

「大学教員の女性の比率」
「各国の女性研究者の割合」

本務教員に占める女性比率の推移


付記3:

韓国は女子の大学進学率は男子より高いです。
全体の大学進学率も調査対象国の中で最高となっています。
それなのになぜ高等教育機関の教員や内科医の女性比率は、
他国と比べてかなり低いのかという問題があります。

高等教育が女子に開かれていること以外の
要因があるということなのでしょう。


posted by たんぽぽ at 10:36| Comment(0) | 家族・ジェンダー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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