2017年09月19日

理工系専攻の女子の割合

大学や高等教育機関で理工系に進む女子の割合を、
OECD加盟国で比較した図があります。
出典はOECD「Education at a Glance 2017」です。

横軸に理学、縦軸に工学を取っています。
どちらの女子の割合も日本は調査対象国中最低で、
プロットは他国から孤立しています。

 


日本は理学専攻の女子の割合は25%程度、工学専攻は13%程度です。
OECD平均は、理学専攻は50%程度、工学専攻は24%程度で、
いずれも日本はこれらの半分です。

他国はいずれもOECD平均のまわりに集まっています。
かくして日本は他国から飛び抜けて、
理工系の女子の割合が低いことになります。

韓国は理学が45%程度、工学は22%程度でOECD平均に近いです。
それゆえ他国のプロットが集まっている中にあります。
ジェンダー関係の調査は、日本と韓国だけが孤立して、
この2国で最下位争いをするのが相場ですが、
理工系の女子の割合はそうはなっていないです。


なぜ日本だけが飛び抜けて、理工系の女子の割合が
低いのかは、日本は大学教育への公的支出が少なく、
奨学金も貧しいことが原因だろうと、わたしは考えています。

「学費は高いわ援助はないわ・・・日本の高等教育@OECD」

Average tuition fees (USD) vs. the percentage of students receiving public subsidies for higher education, 2008-09

大学教育に対する家庭の経済的負担が大きいので、
教育に対するリソースを、男の子優先にして、
女の子を減らす家庭が多くなるのだと思います。

理工系は一般に文系科目より授業料が高いので、
経済的負担がさらに大きくなりますから、
なおさら娘を理工系に進ませようとする
家庭は少なくなることになるのでしょう。


日本は大学教育に対する公的支援が少なく、
家庭への負担が大きいゆえ、女の子の大学進学の
障害になっていることは、大学進学者全体の
ジェンダー比が示していると思います。

日本は女子より男子のほうが大学進学者が多い
世界でほとんど唯一の国です。
つまり教育のリソースを、娘より息子に回す
家庭が多いことの反映だろうと思います。


韓国は他国と同様、女子が男子より大学進学率が高いです。
(全体の大学進学率もトップクラスです。)
男子と比べて女子が大学に進学することが
障害となる社会的要因がない、ということだと思います。

それゆえ理工系に進む女子も、他国と同じくらい
いることになり、理工系専攻の女子の割合も、
OECD平均に近いところにいるのでしょう。


posted by たんぽぽ at 22:32| Comment(0) | 家族・ジェンダー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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