2017年09月17日

選択的夫婦別姓に関する「進展」

9月8日エントリでお話した「理解責任」を
「説明責任」に転嫁するツイートの続き。

このかたは選択的夫婦別姓に「進展」がないと言っています。
さらに同性結婚に関して自治体のパートナーシップ証明書を
発行できるようになったことを「進展」の例としています。

その程度で「進展」としていいなら、
選択的夫婦別姓はもっとたくさん「進展」していますよ。
あなたが知らないだけです。

 


夫婦別姓で事実婚の場合、住民票の配偶者の続き柄を
「未届け」にすることができます。
これは住民基本台帳事務処理要項の改正で
2002年から記載できるようになっています。
全国どこの自治体でも認められるものです。

「住民基本台帳事務処理要領 改正「2002年7月12日総行市第136号」」


古典的なところでは、通称使用の権利を求めた訴訟があります。
1988年に提訴、1998年の二審で一定の条件付きながら、
通称使用が認められることになりました。

「1988(昭和63)年 仕事での「旧姓使用」を求める
女性教員が戸籍名を強制する大学を提訴」


これ以降、まがりなりにも旧姓使用を認める
職場が増えていくことになります。
国家公務員は2001年から、旧姓を通称として
使えるケースが増えています。

世紀の変わり目ごろから、研究職でも通称使用できる
ケースも増えていきます。
以下のサイトにある「いままでの多くの人々の努力で、
いろんな前例ができています」というのは重要です。
先人たちが働きかけ続けて、少しずつ権利を
獲得してきたということだからです。

「科学研究者の別姓使用の<現状と対策>」

また2006年にはパスポートに旧姓併記できる職種が、
大幅に広がることになります。
それまでは旧姓併記を認められる職種が、
かなりかぎられていたのでした。

「パスポートの旧姓併記」


事実婚に関しては、2006年に事実婚カップルでも
不妊治療を受けられるよう、産婦人科学会が指針を変更しています。

「事実婚にも体外受精」

さらに2014年には、未婚親であっても、
不妊治療が受けられるよう指針が変更されています。

「未婚親の体外受精容認」


選択的夫婦別姓に関係する「進展」でしたら
これくらいはあるし、探せばまだまだあるでしょう。
最初のツイートの人がこれらのことを知らないのは、
本人の「理解責任」の問題だと思います。

この程度の「理解責任」さえ果たさない人に
理解してもらう自信は、わたしにはあまりないです。
また理解してもらおうとして、結局理解してくれなかったとしても、
それは本人の「理解責任」になるだろうと思います。
わたしの「説明責任」ではないでしょう。


posted by たんぽぽ at 10:50| Comment(0) | 民法改正一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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