2017年09月15日

国家公務員の旧姓使用

安倍政権が9月1日に、国家公務員の旧姓使用を
対外的な文書を含めて、すべての省庁で原則として
認めることを発表しました。

「国家公務員の旧姓使用、原則認める 政府が発表」

記事はあまり長くないので、全文引用します。

 
政府は1日、国家公務員の旧姓使用について、
対外的な行為を含め全省庁で原則として認めると発表した。
各省庁で今後運用に向けた準備を進める。
菅義偉官房長官は同日の閣議後の記者会見で
「旧姓使用者の大半を占める女性職員の
意欲向上につながる」と期待を示した。
結婚後も働きやすい環境づくりをめざす。

各省庁が行政処分など対外的な文書も含めて
旧姓使用を認める方針を申し合わせた。
職員からの申し出があれば、原則として使用を認める。
記載の違いで混乱を招かないよう、
旧姓使用者については人事記録や身分証への
記載などについても一貫して旧姓を記載する。

国家公務員の旧姓については2001年以降、
職員録などで使用が認められている。
ただ、対外的に示す書類に旧姓での記名を認めるかどうかなど、
各省庁ごとに基準は異なっていた。
官房長官は「省庁がバラバラというのはおかしい。
統一的な方向性を政府として出した」と説明した。

各省庁に先立ち、特許庁は1日から、
職員に行政処分など庁外に出す公的文書への記名も含む
全ての業務で結婚前の旧姓の使用を認めている。
給与明細など戸籍との整合性が求められるものは例外としている。
最高裁判所も1日から、裁判官や書記官が
判決文や令状に旧姓で記名することを認めている。

やっとこういう動きが出てきたかという感じです。
選択的夫婦別姓制度を認めることも大事ですが、
部分的にせよ通称使用を認める範囲を
拡大していくことも必要だと思います。


自民党はずっと選択的夫婦別姓に反対して、
「通称使用を制度化する」と言っていたのでした。
それにもかかわらず、実際に旧姓を使うことの
制度化をぜんぜんして来なかったのでした。
本来ならもっと推進してよかったはずのことです。

国家公務員の旧姓使用は2001年から
認められるところがあったのでした。
それにもかかわらず省庁によって基準が違っていたり、
認められる範囲が違っていたのでした。

通称使用はその職場ごとの裁量によるものであり、
制度化されたものではないこと、そして制度化することは
困難だということを示していると言えます。


今回通称使用が認められるのは国家公務員です。
希望すればだれでも通称使用をすることができて、
扱いもすべての省庁で統一的になります。

国家公務員以外には関係のないことですが、
国家公務員だけでも、旧姓を通称として自由に
名乗れるようになるのは、一定の進展だと言えます。

通称使用はどこまで認められるのか、
その適用範囲の限界が気になるところです。
「原則として使用を認める」「人事記録や身分証への記載」も
「一貫して旧姓を記載する」とあるので、
従来よりは拡大されるようです。


特許庁は9月1日にすでに、すべての業務で
結婚前の旧姓の使用を認めているとあります。
それでも「給与明細など戸籍との整合性が
求められるものは例外」としています。
どこかに「例外」があって範囲に限界があるのが
通称使用にはよくあることです。

従来より認められる範囲が広がるとしても
このように「例外」があちこちにあるのか、
あるいはこのような「例外」もほとんどなくなるのか、
それはなんとも言えないです。


菅義偉官房長官は記者会見で、
「旧姓使用者の大半を占める女性職員の意欲向上に
つながる」なんてご満悦そうにコメントしているし、
記事でも「結婚後も働きやすい
環境づくりをめざす」と書いています。

旧姓の使用が大幅に認められるようになれば、
それは結婚後も生来の苗字を使う必要のある女性にとって、
環境の大きな改善にはなるでしょう。

本質的な解決は、自民党のお歴々が絶対に認めたくない
選択的夫婦別姓の導入であることは言うまでもないです。
省庁ごとにばらばらになることもないし、
旧姓使用が認められない「例外」もないです。
そもそも国家公務員にかぎらず、
すべての既婚者に一律に適用することができます。


いくら旧姓の通称使用が使いやすくても、
戸籍の苗字と生来の苗字のふたつを使いわける
煩雑さを防ぎたいかたには解決にならないです。


posted by たんぽぽ at 06:55| 民法改正一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする