待遇改善を「経済政策」と位置付けてもいます。
「背水の民進 社会保障の財源、対立 前原氏「増税」/枝野氏「赤字国債」」
メインブログの8月30日エントリで触れましたが、
「公共事業を削って介護と保育に回す」ことに
経済効果があり景気対策にもなるということです。
枝野氏が最優先課題として訴えるのが介護職員と保育士の待遇改善。
社会保障政策ではなく「景気対策」と位置付けるのが特徴だ。
枝野氏は「人手不足は低賃金だからだ。
需要があって供給が不足していたら価格が上がるのが
経済の原理だが、政治が低く抑えている」と繰り返し、
「道路を造るより直接消費に結び付く賃上げの方が投資効果は大きい」と強調。
「手にした収入のほとんどが地域の消費に回る。
経済的にも財政的にも合理的だ」と述べ、
1兆円規模の赤字国債発行に言及している。
これは「アベノミクス」の3本の矢のうちの
「第二の矢」である「財政政策」をどうするかということです。
つまり「第一の矢」の金融緩和で得られた財源を
どこに投資するかという問題です。
「公共事業を削って介護と保育に回す」というのは、
「財政政策」として公共事業よりも、介護士や保育士の
待遇改善など、福祉に当てるということになります。
自民党・安倍政権は建設国債を発行し、
公共事業に投資することで景気対策を行なっています。
ところが公共事業によるデフレ脱却は、
あまり効果がなく難しいことが指摘されています。
「失われた20年と民主党」
「政治と経済の失われた20年 -- データから語る日本の未来」
わたしは自民党が掲げる金融政策はまっとうだと思う一方で、
デフレを脱却するために公共事業をすると
語られている点についてはあまり評価していません。
現在、インフラの整備などの公共事業には
高度な技術や資格が必要とされています。
昔のように頭数を集めて、体力勝負で行う事業はなかなかない。
つまり公共事業に予算を投じても、あまり雇用に結びつかないのですね。
そもそもこの20年を振り返れば、財政政策(公共事業)を
主軸にしたデフレ脱却は難しいことがわかるはずです。
とくに1990年代は、金融政策は十分ではなく、
財政政策が繰り返し行われてきました。
これはサイドブレーキを引いたまま、アクセルを踏み込んで、
高速道路を100キロで走ろうとしているようなものです。
公共事業よりも介護職員や保育士など、
福祉に関わる人たちの待遇改善に使うほうが
より経済効果があることも指摘されていることです。
「財政政策・福祉と公共事業」
「左派こそ金融緩和を重視するべき 松尾匡・立命館大教授」
「ひどい不況の時、金融緩和で作ったお金は、
直接には使われず銀行にため込まれてしまう。
だから、そのお金が世の中に回る仕組みをつくるために、
安倍政権は旧来型の公共事業を第2の矢として実行し、それが効いた。
質はともかく、景気が拡大する方向への力が働いているのだと思う。
本来は、公共事業よりも、介護や福祉の働き手を増やすために使うべきではあるが」
「財政政策」で財源をどこに投資するか、
公共事業より介護や福祉のほうが経済効果が大きいという
枝野幸男の主張は経済学者も主張するごもっともなことであり、
この点に関しては「経済を理解している」と言えるでしょう。
「前原氏と枝野氏、ミサイル・経済政策で論戦 民進代表選」
「ミサイル・経済政策で論戦 民進代表選 前原氏と枝野氏」
赤字国債で保育士や介護職員の賃金を引き上げ、
消費拡大を図ると訴えているのは枝野氏。
「民進党は経済政策が弱いとの間違ったイメージを持たれている。
(保育士らの賃金アップは)景気対策として有効だ」と主張した。