2017年08月07日

学歴社会よりジェンダー社会

40代前半のかたたちの最終学歴とジェンダー別に
労働時間と年収、そして労働者の人数を表した図があります。
これを見てみたいと思います。
出典は厚生労働省の『賃金構造基本統計』(2016年)です。



 
学歴が高いほうが労働時間が短く、年収が多くなっています。
「学歴社会だなあ」とコメントがありますが、
高い学歴を修めたかたが高収入の職種に就くのは
ある意味当然だと、わたしは思います。

高い学歴を修めたということは、
それだけ専門的な知識や技術を持っているということです。
よって高度な知識や技術を必要とする、
生産性の高い業務を行なうことができるからです。
そうした業務はより多く社会に貢献するということですから、
収入が多くなるのは当然と言えます。

(ちなみに日本の学歴社会は、同じ大学卒でも
大学のレベルによって差がつくということが、
むしろ問題なのではないかと思います。)


それよりわたしが思ったのは、日本は「学歴社会」以上に
「ジェンダー社会」ということです。
最終学歴よりも、男女のどちらに産まれたかのほうが
ものを言うということです。

男女とも高学歴ほど労働時間が短く、
年収が多いという傾向ははっきり出ています。
そして同じ学歴で比較すると、男性より女性のほうが、
圧倒的に労働時間が短く年収が少なくなっています。
年収に注目すると女性の大学・大学院卒と、
男性の高専・短大卒、高卒とが同程度です。

学歴が同じであれば、男女とも知識や技術は同じでしょう。
よって女性は学歴は同じでも、男性と同じだけの職種・業務につけず
キャリアを持つ機会も与えられないということです。

以前、すべての世代を対象に、ジェンダーと学歴別の
年収を比較した図を示したことがあります。
ここでは大学卒と大学院卒がわけてあるので、
女性の大学卒と男性の中学卒とであまり差がない
という状況になっています。

「学歴別年収のジェンダー差」



最初の図の円の大きさは労働者の人数を示しています。
男性は大学・大学院卒と高卒がほぼ同程度の大きさです。
女性は高卒と高専・短大卒がほぼ同程度で、
大学・大学院卒はこれらより小さいです。

これはとりもなおさず、日本は女性のほうが
男性より大学進学率が低いことの反映です。
大学院進学率も、女性のほうが男性より低いです。

日本は現在(2014年)でも、大学進学率は女子より
男子のほうが多い、世界中でほぼ唯一の国です。
現在の40代前半のかたが大学に進学したころは、
女子と男子の進学率の差はもっと大きかったですから、
このような円の大きさの差も、ごもっともと言えます。

「第1図 学校種類別進学率の推移」

学校種類別進学率の推移


全体的に見て、男性は円が大きく、女性は円が小さいです。
男性の合計のほうが、女性の合計より
円の面積は広いことは、眼で見てわかる程度です。

これは「短時間労働者を除く、一般労働者のデータ」だからでしょう。
女性はパート、アルバイトなど短時間労働者が多いので、
そうした人たちがデータに入ってこないので、
労働者の人数が少なくなるのだと思います。

posted by たんぽぽ at 23:05| Comment(2) | 家族・ジェンダー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
本日Twitterにもあげましたが。
本日関西に台風直撃。
夫の会社の規則で「警報が出たら女性社員を帰宅させる」らしいです。
理由は「女性社員は電話番と事務職だけだから」
・・つまり「いてもいなくてもいい」存在ですか・・
はい。数年前までは「結婚したら女性社員は必ず退職」が暗黙の了解だった会社です。
へたりこみたくなりました。
Posted by わんわん at 2017年08月08日 00:10
わんわんさま、こちらにコメントありがとうございます。

>夫の会社の規則で「警報が出たら女性社員を帰宅させる」らしいです。
>理由は「女性社員は電話番と事務職だけだから」
>・・つまり「いてもいなくてもいい」存在ですか・・

女性社員なんてまともな戦力とぜんぜん思ってないですね。
30年以上前、男女雇用均等法施行以前から
時間が進んでいないかのようです。
(大嵐でも男性社員を帰さないのも、別の意味で問題ありそうです。)


>数年前までは「結婚したら女性社員は必ず退職」が暗黙の了解だった会社

「いや〜〜〜〜」となりますね。
いくらジェンダー平等の遅れている会社でも、
そこまで前時代的というところはないだろうと、
わたしは思っていましたよ。
隔絶の感があります。

そんなことをしていて、男女雇用均等法に
引っかかることはないのかと思います。
Posted by たんぽぽ at 2017年08月08日 22:58
コメントを書く
コチラをクリックしてください