国際比較があります。
これを見てみたいともいます。
出典は内閣府の『わが国と諸外国の若者の意識に関する調査』(2013年)です。
国際比較はこうだけどね。 pic.twitter.com/9tafqiZBA7
— 舞田敏彦 (@tmaita77) 2017年6月19日
これを見ていると、諸外国ではこんなに
学生結婚があるのかと思ってきます。
日本では学生結婚はかなり珍しいし、
実際、この調査でも割合は0.0でほとんど皆無です。
ここにも「日本だけが異質」という世界があったのでした。
ヨーロッパの民主主義国は3割程度、
図中の国ではスウェーデンがもっとも多く36.9%です。
結婚している学生は3人にひとりより多いということです。
アメリカ合衆国はヨーロッパと比べると少なめで
約半分程度ですが、それでも13.8%あります。
韓国はさらに少ないですが4.2%で、
図に棒グラフが現れる程度の割合はあります。
諸外国でなぜ学生結婚が多いかですが、
おそらく結婚と出産とで「ひと続き」に
なっていないからではないかと思います。
結婚してもかならずしも子どもを持つとは、
決まってはいない、ということです。
それで学生同士で結婚しても、結婚前と生活が
それほど変わらないので、学業への影響は
ほとんどないのだろうと思います。
学生同士でいっしょに暮らすことで、生活費が節約できて、
生活が楽になることもあるのかもしれないです。
日本は多少薄れつつあるとはいえ、結婚と出産とで
「ひと続き」と考える人は、まだまだ多いです。
それで結婚をするのは子どもを持つため
というかたが多いし、子どもを持てる状況に
ないかたは、結婚しないことが多いのでしょう。
学生で子どもが持てるだけの経済的余裕が
ある人はめったにいないと思います。
単身で暮らしていても、高い授業料や貧しい
奨学金のせいで、生活が苦しいことが多いです。
それゆえ学生結婚する人がだれもいないのでしょう。
「大学生のバイト目的の変化」
日本の場合、学生にかぎらず、若年層の結婚願望が
減っているという問題もあるでしょう。
社会人になっても、雇用や収入が不安定なので、
若年層は結婚したい人が少ないことによります。
「若年層の結婚願望の低下」
「若年層の子ども願望の低下」
他の先進国と比べて日本の大学生の結婚が極めて少ない理由としては、
主に以下の二点があげられそうですね。
1.
非嫡出子の相続分は嫡出子の半分とするなどの婚外子差別のために
結婚しないと出産できないという、たんぽぽさんが本文中に指摘されたとおり、
結婚と出産を一致させるように圧力をかける社会システムとなっていること
2.子供の存在による経済的負担と生活上の負担が重なり、
欧米と違って日本ではこれらの負担をほとんどアウトソーシングできない
→アメリカでは学内、企業内、近所に比較的安価な託児施設があるため
経済的負担や時間的負担は少なく、学生出産がかなり多い
仏瑞は産めば産むほど経済的に有利、託児施設やベビーシッターも
利用しやすいため、そもそも経済的理由で出産を躊躇うという発想がなく
育児の手間やキャリア断絶懸念による出産抑制要因もかなり低減できている
子育てのかなりの部分で国や社会が責任を持つ仏瑞と
子育ては専ら自己責任の日本との差は大きいですね。
また、大学生のバイトが生活費、学費を稼ぐ目的が増えていることの他、
バイトする学生の割合が高い、バイト時間が長く、さらには
就活で学業が疎かになっているのも問題ですね。
データエッセイ:大学生のバイトの国際比較
http://tmaita77.blogspot.jp/2014/07/blog-post_10.html
日米アルバイト比較(平均時間は日本4.6h、アメリカは2.4h)
https://gakumado.mynavi.jp/gmd/articles/40016
新卒一括採用は日韓特有の慣行で欧米にはないため、
大学生はバイトや就活で学業が疎かになることがあまりないです。
在学中にインターンシップを通じての就活もそれなりにありますが、
卒後に本格的に就活に取り組む場合が多く、欧州では社会保障も充実しているので
欧州の高い若年失業率から受ける印象ほど悲劇的ではないです。
日本でも学生の事実婚(同棲)なら珍しくないので、婚外子差別をやめれば
学生結婚割合はそれなりの数値にはなりそうですね。
こちらにもコメント、まことにありがとうございます。
>たんぽぽさんが本文中に指摘されたとおり、
>結婚と出産を一致させるように圧力をかける社会システム
日本ではなぜか結婚と出産が「ひと続き」で、
「結婚したら出産しなければならない」とか、
「出産しなければ結婚もしない」という感覚のかたが多いですね。
これも高度経済成長期以来定着した、
家族イデオロギーの影響なのかもしれないです。
結婚と出産をべつに考えて、結婚してもこどもを
持つ必要はない、という考えが増えないと
学生結婚も増えないだろうと思います。
婚外子の相続差別は2013年12月に撤廃されてはいます。
https://storify.com/pissenlit16/2013nian-12yue-hun-wai-zi-chai-bie-che-fei-min-fa-
それでも婚外子に対する差別はまだまだ残っていて、
「婚外子差別がなくなった」とは言えない状況ですね。
国連女子差別撤廃員会から、勧告も受けています。
http://taraxacum.seesaa.net/article/434851061.html
>子育てのかなりの部分で国や社会が責任を持つ仏瑞と
>子育ては専ら自己責任の日本との差は大きいですね。
経済的負担、時間的負担が、欧米の民主主義国と比べて
日本はずっと大きいというのは、いかんともしがたいですね。
学生で結婚しようと考える人がいなくなるのも、
無理もないことだと思います。
このほかに日本の場合、「学生の本分は学業、
結婚なんてしている立場ではない」という社会通念も、
結構効いているのではないかと思います。
>データエッセイ:大学生のバイトの国際比較
>http://tmaita77.blogspot.jp/2014/07/blog-post_10.html
>日米アルバイト比較(平均時間は日本4.6h、アメリカは2.4h)
>https://gakumado.mynavi.jp/gmd/articles/40016
ご紹介ありがとうございます。
日本の大学生のアルバイト時間は、どんどん長くなって、
しかも生活費のためという理由が多くなっていますね。
これはとりもなおさず、高い授業料と貧しい奨学金が
もたらした結果にほかならないです。
学生がひとりで生活するだけでも、これだけ経済的負担と
時間的負担がかかるのであれば、結婚しようなんて
考える人は、なおさら出てこないだろうと思います。
「衣食足りて恋愛を知る」ではないけれど、
結婚を考える心理的余裕さえない人も
多いのではないかと思います。
>大学生はバイトや就活で学業が疎かになることがあまりないです。
いろいろとお詳しいですね。
新卒一括採用は欧米の民主主義国にはないとは
知っていましたが、日本以外に韓国にもある
というのは、寡聞にして初耳でした。
企業文化や雇用環境も、日本と韓国は
似ているところが、結構ありそうですね。
>在学中にインターンシップを通じての就活もそれなりにありますが、
>卒後に本格的に就活に取り組む場合が多く、欧州では社会保障も充実しているので
>欧州の高い若年失業率から受ける印象ほど悲劇的ではないです。
べつのエントリで、年齢階層別の貧困率のデータを
示したのですが、18-25歳の貧困率が北ヨーロッパの国では
とても高いというのが眼についたのでした。
「日本の子どもの貧困率」
http://pissenlit16.seesaa.net/article/450131010.html
https://flic.kr/p/TEcAN2
これはおそらく、大学卒業後に就職活動をしていて、
社会保障を受けている人が多いからではないかと、
お話を伺って思ったです。
>日米アルバイト比較(平均時間は日本4.6h、アメリカは2.4h)
>https://gakumado.mynavi.jp/gmd/articles/40016
ご紹介いただいた記事ですが、アメリカ合衆国の企業は
即戦力を求めるとありますが、新卒一括採用という
習慣がないし、インターンシップが普及しているので、
よそで学習する機会があるということなのですね。
日本の企業のあいだでも「即戦力」が
一時期はやったけれど(いまもはやっている?)、
もしかしてアメリカ合衆国の企業の影響を
受けたのかなとちょっと思ったです。
日本の場合、新卒一括採用という慣行が
がっちり根を張っているし、インターンシップも
普及していないですから、アメリカ合衆国と
同じようにするのは無理ですね。