2017年02月12日

ネットが減らす宗教の信者

宗教団体の信者の数が、近年になって減り続け、
近い将来消滅する可能性のある教団もある、というニュースです。

「新宗教の信者激減 10年後に消滅する教団も」
(はてなブックマーク)

 
文化庁「宗教年鑑」にその傾向ははっきり表れている。
江戸末期に成立した天理教は1990年に約180万人いた信者数が
2015年に約117万人と、25年間で3分の2に縮小している。

立正佼成会も同じ期間に約633万人から
約283万人と半分以下にまで落ち込んでいる。
注目すべきは、2014年から2015年の1年間だけで
実に26万人減少していることだ。
このペースで減り続けると約10年後には教団は消滅する計算になる

今後も同じペースで減り続けるかはともかく、
1年間で10%近い入信者の数を減らすのは、大きいことです。
今後残って行くのは、規模が大きく、信仰を超えた人間関係を
構築できている創価学会くらいになりそう、とのことです。


宗教団体が後退する原因は、人びとが宗教よりも情報を求め、
教団よりインターネットを利用するようになったことです。
宗教の後退は先進国に共通する現象で、
人は悩みや不安を解消するために宗教に頼るより、
ネットで情報を調べるようになったことによります。

この背景にあるのは先進国に共通する「宗教消滅の危機」と同じ理由による。
1990年代以降にインターネットが普及し、人は何か悩みを抱えても、
教会の門を叩くより、まずはネットで検索するようになった。

日本人の多くは欧米では日曜日に教会に行くものと誤解しているが、
ヨーロッパではミサに集まるのは高齢者ばかりで、
その数も年々減っている。アメリカでさえ無宗教が増えている。

一般に先進国は宗教が暮らしに大事とする人の割合が低く、
開発途上国は高い傾向があります。
アメリカ合衆国は先進国でありながら例外的に、
宗教のウエイトが大きい人の割合が高いのですが、
そのアメリカでも無宗教が増えている、というのは大きいです。

人と人とのつながりを求めるかたも、宗教団体ではなく、
ネットのコミュニティ、SNSを利用するようになっています。

日本の新宗教が信者を増やしたのは、高度成長期に地方から
都会に出てきた人を取り込めたことにある。
希薄になった人の繋がりを宗教に求めたからだ。
しかし、現代の若者は何か困ればスマホがあり、人間関係はSNSで築く。
それでは宗教の出る幕がない。


不安を解消する手段として、宗教という心理的な安心しか
与えないものよりも、情報という実証的で現実的なものを
求めるようになった人が多くなったわけです。
これはとりわけ宗教に対して否定的、批判的な
懐疑主義者にとっては、望ましい事態だろうと思います。

成員の多くが宗教を必要としない社会は、
どうやったら実現するかとは、わたしは思っていたのでした。
インターネットの発達すなわち情報への容易なアクセスが、
それを可能にしたことになります。

人びとが「心のよりどころ」として宗教を必要とせずに、
実証的なものだけを信用して、理性的、合理的に行動できる、
というのは、人類の「見果てぬ夢」かもしれないです。
21世紀になってようやくそれが実現しつつあることになります。


政治問題からの関心を言えば、宗教に頼る人が減って、
信者の数が減ることで、政党や政治家の支持基盤としての
宗教団体が弱体化することがあるでしょう。

宗教団体は抱えている多くの信者たちを動員した
「組織票」を投票させる力があります。
それだけでなく組織力をもって、大勢の人の力を必要とする
選挙活動を支えることにもなります。

日本における宗教団体の多くは、因習・反動的な
政治的立ち位置で、自民党をはじめ保守的・右翼的な議員の
支持基盤になっていることが多いです。
日本最大の右翼団体である日本会議も、宗教団体の関係者が多く、
各種宗教団体の共用組織のようになっています。

「家族思想は比喩ではなく信仰 > 日本会議」
「安倍政権を支える右翼組織「日本会議」の行動原理(上)」

日本会議を実際に運営しているのは、
「日本青年協議会」という右翼団体で、そもそもは70年安保の時代に活躍した
「生長の家学生会全国総連合」の闘士たちが源流です。
ただし現在は、宗教団体である「生長の家」は
日本会議とは一切の人的交流はありません。

一方で、神道系、仏教系、その他新興宗教の各種宗教団体の関係者が、
日本会議の役員の3分の1以上を占め、
極めて宗教色の強い団体となっています。

リベラル、左翼をはじめ、自民党に対峙する政治勢力の
支持者にとっては、社会の「脱宗教」化が進むことは、
望ましいことだろうと思います。


posted by たんぽぽ at 22:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 政治・社会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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