差別禁止法を野党が共同提出したという記事ですが、
公明党の態度について少し触れています。
差別解消の野党案ではなく、理解増進の自民党案に
賛成するというなんとも消極的な態度です。
「LGBT差別解消へ法案 野党4党提出、公明は慎重姿勢」
(はてなブックマーク)
公明党は同日、「社会の理解が進んでいるとはいえず
差別解消の立法化は時期尚早」として、自民党がまとめた
理解増進法案に賛成する内容の考え方を発表した。
公明党の考えかたは逆だと思います。
社会の理解が進んでいないから、積極的に法律を整備する
必要があるのであって、社会の理解が進んでいるなら、
法律の整備はむしろなくてもやっていけるでしょう。
公明党は「社会の理解が進んでいるとはいえず差別解消の立法化は時期尚早」って? 理解が進まないから差別されるんじゃ…/以前報道されたLGBTの経産省職員の職場状況は改善されたのだろうか… / “LGBT差別解消へ法案 野党4党提…” https://t.co/sRFyJ96rbt
— しましま (@31_min) 2016年5月28日
「社会の理解が進んでいるとはいえず〜時期尚早」って公明党は言うけど、逆だろ。「社会の理解が進んでいるとはいえ」ないからこそこの手の法は必要で、逆に、社会の理解が充分に進んでおれば要らないものだろうよ。 / “LGBT差別解消へ法…” https://t.co/r0AIPOATCq
— misora05.exe (@misora05) 2016年5月28日
性的少数者に対する公明党のスタンスはどうなのかと、
2014年12月になされたレインボープライド愛媛による
政党対象アンケートを見てみることにします。
「2014衆議院議員選挙・各党の回答結果」
①人権問題として同性愛者や性同一性障害者らの性的少数者について
取り組んでいくことをどう思われますか?(複数回答可)
●公明党【A】人権問題として積極的な取り組みが必要だ
②性的少数者の人権を守る施策の必要性についてお聞きします
●公明党【A】社会の理解が不足している課題なので積極的な啓発や施策が必要だ
1.と2.の回答を見ると性的少数者の施策に積極的なようです。
それでも2.の回答は、「社会の理解が進んでいるとはいえず
差別解消の立法化は時期尚早」という今回の態度と
矛盾しないと言いたいのかもしれないです。
現在は「差別解消の立法化」ではなく、「積極的な啓発」の段階で、
その「啓発」が自民党の「理解増進法」への
賛成だと言いたい、ということです。
④松山において、性同一性障害者が本来の性で生きようとしたら
解雇されるという事例がありました。
また、同僚からの差別を会社は放置し、差別を防止するどころか
差別を受けた当人だけを部署移動させるなども起きています。
どう思われますか?
●公明党【D】答えられない/分からない
⑤愛媛県警で同性愛者を特定する狙いのあった適性検査(MMIP検査)が
採用試験で長年実施されてきていることについて
人権侵害ではないか?と愛媛新聞が取り上げていました。
「異性より同性に魅力を感じるか」「女性に生まれたかったか」などの
質問が並んでいます。どう思われますか?
●公明党【D】答えられない/分からない
4.は回答のあった政党は、自民党も含めて「【A】性的マイノリティを
理由とする解雇や不当な人事は人権侵害である」と答えています。
公明党だけが【D】です。
5.は回答のあった政党は、自民と公明だけが【D】で、
それ以外はどこも「【A】問題のある検査方法だと思う」です。
これらの設問に対して、公明党はお茶を濁している感じです。
とくに4.に関しては自民党より遅れを取っているようです。
⑦性同一性障害との診断を受け、女性から男性に戸籍上の性別を
変更した夫が第三者の精子を使って妻との間に
人工授精でもうけた子を嫡出子として認めていないことについて、
2013年最高裁が違憲判決を出しました。
そのことについてどう思われますか?(複数回答可)
●公明党【E】答えられない/分からない
2013年12月の最高裁判決を踏まえた設問です。
「GIDの男性の子が嫡出子」
この設問も、公明党はお茶を濁しています。
回答のあった政党はどこも、男性の子どもと認めることに賛成です。
————
【A】子供が戸籍上の差別を受けないように嫡出子とすれば良い
【B】性別を変更した夫が認知するのならば夫の嫡出子として問題ないと思う。
【C】嫡出子・非嫡出子という区別自体が差別であると思う。
————
のどれかを回答しています。
⑧アメリカでは最高裁で同性婚を支持する判決が出されました。
先日もイギリスで同性婚の受付が開始されるなど
海外では同性婚や同性同士でも夫婦と同等の
社会保障を受けられる制度が広がっています。
性的少数者も愛するもの同士で人生を共に歩んでいきたいと考えますが
(相続、社会保障などで不安があります)、
日本ではどのようにしていくべきだと考えますか?(複数回答可)
●公明党【D】答えられない/分からない
2013年6月のアメリカ合衆国における結婚防衛法の違憲判決と、
2013年8月のイングランドとウェールズで同性結婚を認める
法律が成立したことを踏まえての設問です。
「同性結婚禁止が違憲」
「イギリスの同性結婚法案」
公明党は全般的に無回答が多いです。
自民党の回答は「【C】こうした制度は異性間のもので
あるべきで特に必要ない」と正直なので、
はっきり言わない公明党はまだましかもしれないです。
⑩同性同士のカップルが里親として子育てをすることはどう考えますか?
現在の要件では男女の夫婦と限定しています。(複数回答可)
●公明党【E】答えられない/分からない
公明党はこの設問も無回答です。
自民党と民主党も「【F】その他自由筆記」で、
お茶を濁したような記述になっています。
⑪男性同性愛者は実質的に「献血」が出来ないことになっています。
そのことについてどのように思われますか?(複数回答可)
●公明党【D】答えられない/分からない
この設問は民主党も「【D】答えられない/分からない」です。
自民党は「【C】日赤の判断を尊重したい」で、
「【E】その他自由筆記」でそれを補強するコメントをしています。
公明党の回答は「無回答」が多くなっています。
性的少数者に対する施策に、公明党はそれほど積極的ではない
ということかもしれないです。
回答が面倒になって、片っ端から「無回答」にしたことも
考えられなくもないですが、それはそれで積極性が
あまりないことの現われとも言えます。
自民党案の「理解増進法」に賛成するというのは、
公明党のスタンスとして、かなり近いということかもしれないです。
党としては積極的に推進したいが、自民党の反対派議員は
手の施しようがないとわかっているので、
あえて自民党案に賛成という、選択的夫婦別姓のときのような
態度ではないのかもしれないです。