2016年12月10日

LGBTの権利・国際社会の動き

12月4日エントリで見てきた、性的少数者の理解増進の
法案提出に、自民党がまったく消極的という朝日新聞の記事に、
性的少数者問題に関する略年表があります。

「外圧もあるが…LGBT理解への法案、自民が腰重い理由」
「LGBT 自民足踏み 参院選公約に「理解増進」法整備 
党内・保守派から異論 再び失速」
(全文)

ここでは海外のところを見てみたいと思います。
国連、アメリカ、ヨーロッパ、アジアとひとつずつ取り上げられています。

 
性的少数者をめぐる国内外の動き


>国際連合

2011年
国連人権理事会が、性的指向や性自認が理由の
差別と暴力を懸念する決議を初採択。日本も賛成。

これは2011年6月17日の決議です。
性的少数者に関する初の国連決議で、少し話題になったようです。

「国連人権理事会:性的指向に関する画期的決議を採択」
「性的指向と性同一性を理由とする差別との闘い」

国連人権理事会は、性的指向と性自認に基づく暴力や差別に対峙する
画期的な一歩を踏み出した、と本日ヒューマン・ライツ・ウォッチは述べた。

国連人権理事会は、世界人権宣言でうたわれている基本原則を確認しつつ、
性的指向や性自認ゆえに世界中の人びとが受けている
差別や暴力に"重大な懸念"を示す決議を採択。

決議の提案国は南アフリカ共和国です。
南アフリカ共和国は、性的指向による差別の禁止を
憲法で明言している国で、性的少数者の問題に詳しいかたは
ご存知のことだと思います。

今回の決議は南アフリカが提案、世界全地域の42ヶ国により
共同提案にまわり、賛成23反対19棄権3で採択された。

「1996年に南アフリカは自らの憲法に‘性的指向'という
文言を入れることにより、世界に範を示した。
現在南アフリカは、LGBTの人びとの人権が擁護される
世界的な環境作りに寄与するべく、国連をリードしている」と
前出のレイドは指摘する。


国連人権理事会は2014年と2016年にも、
性的少数者に関する決議を可決しています。
さらに内容を強化・充実させているということです。

「●国連人権理事会等の決議など」
2014年9月:第27回人権理事会、性的指向と
ジェンダー・アイデンティティなどについて決議
http://www.hurights.or.jp/archives/newsinbrief-ja/section3/2014/10/27-1.html

「国連:性的指向と性自認に関する歴史的な一歩」
国連人権理事会は2016年6月30日、
「性的指向と性自認を理由とする暴力と差別からの保護」に関する
決議を賛成多数で可決し、この問題を扱う独立専門家の任命を命じた。


>アメリカ合衆国

2015年
米連邦最高裁がすべての州で同性婚の権利を認める判断

6月26日、同性結婚を憲法が認める権利と判断しました。
この判決で事実上、すべての州で同性結婚が合法化となります。

「同性婚、全米で合法 最高裁「禁止の州法は違憲」
「「同性婚は合憲」アメリカ、全ての州で合法に ホワイトハウスもレインボーに染まる」

アメリカの連邦最高裁判所は6月26日、
同性婚を憲法上の権利として認めるとする判断を示した。
アメリカでは現在、13の州が同性婚を認めていないが、
この判決により全米で、同性婚が事実上、合法化されることになる。

アメリカ合衆国は2013年6月に、連邦最高裁判所から
同性結婚を禁止する「結婚防衛法」に違憲判決を下しています。
それに続く判決ということになります。

「同性結婚禁止が違憲」


>ヨーロッパ

2016年
イタリアで同性カップルに結婚に準じた権利を認める法律成立。
同性カップルの権利が法的に全く守られていないのは、
G7(主要7カ国)で日本だけに

2016年5月に、イタリアで同性結婚のパートナーシップを
認める法案が成立しました。
ヨーロッパでは最後の国となりました。

「イタリアで同性結婚法案成立」
「イタリアの同性結婚雑感」

イタリアは同性結婚の権利を認める法律がなにもないことで、
欧州人権裁判所から制裁を受けていました。
ヨーロッパは死刑と性的少数者に関しては、
人権意識のレベルが高いと思います。


>アジア

2016年
台湾立法院(国会)が同性婚合法化に向け、民法改正案の審議開始

これは11月17日に審議開始ですが、12月5日の時点でまだ審議中です。
ご他聞にもれず反対派の抵抗が猛烈で、成立するかどうかは微妙です。

「台湾、同性婚合法化の審議開始 反対派はデモ」
「台湾の同性婚合法化、土壇場で試練 アジア初法改正に反対論噴出」
台湾の立法院(国会)で17日、同性婚を合法化する
民法改正案の審議が本格的に始まった。
合法化が実現すればアジアで初めてとなる。
ただ同日は立法院周辺に反対する人々が1万人以上集まりデモを実施。
「伝統的な家庭の価値が崩れる」などと抗議した。

実現すればアジアで初の、同性結婚を法的に認めた国(地域)になります。
アジアで近い将来実現の可能性が高そうなのは、台湾、タイ、ベトナムです。


国際社会はちゃくちゃくと性的少数者の権利を認めるべく、
法整備を進めていることがわかります。
日本は性的少数者、同性結婚の法的整備でも、
国際社会から立ち遅れていくことになりそうです。

選択的夫婦別姓でさえ、法案が出てから20年経っても
実現の見通しがまったくないです。
最高裁判所でも同性強制に違憲判決が出ないし、
地裁では通称使用を認めない判決さえ出るくらいです。

自民党の様子を見ても、同性結婚の法的整備や、
性的少数者の権利なんて、まったくなにもしないまま、
国際社会の中で取り残されるのを意に介せず、
何年も過ぎていくのではないかという予感がしています。

「LGBT理解増進法案・自民で失速」


posted by たんぽぽ at 14:37| Comment(0) | TrackBack(0) | 民法改正一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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