「男女共同参画社会に関する世論調査」
「夫は外で働き、妻は家庭を守るべきだ」という設問に
「反対」と答えた人の理由を見てみたいと思います。
「2.家庭生活等に関する意識について」
「イ 反対とする理由」
1.「固定的な夫と妻の役割分担の意識を押しつけるべきではないから」(52.8%)、
2.「妻が働いて能力を発揮した方が,個人や社会にとって良いと思うから」(46.8%),
3.「夫も妻も働いた方が,多くの収入が得られると思うから」(40.6%),
4.「男女平等に反すると思うから」(38.4%)
の順となっています。
1.と3.は女性、2.と4.は男性のほうが多くなっています。
女性は自分の問題と意識して、個人的、現実的な理由を
挙げるのに対し、男性はむしろ社会全体のことや
イデオロギーを意識するのではないかと思います。
性別に見ると,「固定的な夫と妻の役割分担の意識を
押しつけるべきではないから」,「夫も妻も働いた方が,
多くの収入が得られると思うから」を挙げた者の割合は女性で,
「妻が働いて能力を発揮した方が,個人や社会にとって良いと思うから」,
「男女平等に反すると思うから」を挙げた者の割合は男性で,
それぞれ高くなっている。
2.の選択肢は「個人や社会」となっていますが、
「社会」も入っているので、こちらをより意識して
回答したかたも多いのではないかと思います。
共働きは片働きより収入が多くなると答えたのは、
小都市で多いという傾向もあります。
男性の片働きのほうが収入が多くなると
答えたかたの多い中都市と対照的です。
都市規模別に見ると,「夫も妻も働いた方が,多くの収入を
得られると思うから」を挙げた者の割合は小都市で高くなっている。
小都市では男性の片働きで家計を支えられるような
高収入の仕事が少ないということでしょうか。
5.「家事・育児・介護と両立しながら、妻が働き続けることは
可能だと思うから」(32.8%)というのが、わたしはいささか気になります。
「夫は外で働き、妻は家庭を守るべきだ」に「賛成」の
選択肢の中に、「家事・育児・介護と両立しながら,
妻が働き続けることは大変だと思うから」があるからです。
家事、育児、介護は女性の仕事という前提があって、
両立可能なら妻も仕事を持てばいいし、両立不可能なら家庭に
入るべしという考えになっていると思われます。
回答者は並んでいる選択肢の中から選んだだけと思うので、
これはむしろ世論調査を作った側の問題になりそうです。