2016年10月29日

保育所不足で行政が所得補償

保育所が見つからず復職できないことで
親が得られなかった所得を、行政が補償しなければならない
という判決が、ドイツの最高裁で下されたのでした。
これはすごい判決だと思います。

「保育所不足で復職できない親の所得、行政に補償義務 ドイツ連邦裁」

記事はあまり長くないので全文引用します。

 
【10月21日 AFP】ドイツの刑事・民事分野の最高裁に相当する
連邦通常裁判所は20日、子どもを預ける保育所が見つからないため
仕事に復帰できない夫婦に対し、行政が休職による所得喪失を
補償しなければならないとする判決を下した。

ドイツでは低い出生率の改善を目指して手厚い政策が
導入されており、子どもが1歳を迎えた親の全てに
行政が託児先を保証する法律が2013年8月に制定された。

しかし、東部ライプチヒ(Leipzig)で子育て中の女性3人は、
わが子の託児先が見つからなかったとして地元政府を提訴。
保育所不足が原因で計1万5100ユーロ(約170万円)
相当の所得を喪失したと主張した。

州裁判所は母親らの請求を棄却したが、
このほど上告審で連邦通常裁が判決を覆した。

連邦通常裁は、地元行政が所得を補償する義務を免除されるのは、
入念な計画に基づいて整備したにもかかわらず
保育所不足が起きたと証明できた場合のみに限られると指摘。
法律には、市当局が「十分な数の保育所を提供する義務を負う」と
明記されているため、財政上の制約は保育所不足の
正当な理由とはならないと判断した。(c)AFP


ドイツの最高裁がこのような判決を下したのは、
行政が託児先を保証する2013年8月に定められた法律によります。

日本では同様の法律は成立しないだろうと思います。
子どもを預ける保育所が見つからなかったところで、
親の「自己責任」で片付ける論調が強いです。
行政の義務や責任なんて考えかたを、
受け入れないのではないかと思います。

ましてや保育所がないために復職できなかったぶんの
所得補償なんて、なおさら日本社会は受け入れないでしょう。
ただでさえ福祉を否定し家庭の責任に帰そうとする社会です。
福祉自体だけでなく、福祉がふじゅうぶんだったことに対して
税負担する法律に賛成するとは思えないです。


ドイツの法律では、行政が所得補償の義務を免除されるのは、
「入念な計画に基づいて整備したにもかかわらず
保育所不足が起きたと証明できた場合のみ」とされます。
この基準だと、日本の自治体のかなりの数が、
保育所提供の義務を守っていないことになって、
所得補償をすることになりそうです。

「財政上の制約は保育所不足の正当な理由とはならない」
となっているので、日本では福祉削減の殺し文句で
よく使われる「財源が足りない」を言いわけにすると、
保育所提供の義務を果たしたとされないことになります。

かくしてドイツと同じような法律を日本で定めようとしても、
守れない自治体も多く非現実的となるので、
その方面からも実現は無理ということになるでしょう。


posted by たんぽぽ at 11:39| Comment(0) | TrackBack(0) | 家族・ジェンダー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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