無修正ポルノや売買春や近親相姦や複婚などは
どこまで認められるのか」と言う人がいます。
「同性婚や夫婦別姓を「選択肢が増えただけ」と認めるなら
「近親姦/複婚」なども容認し得るか~法哲学者・大屋雄裕氏の考察」
(はてなブックマーク)
同性婚も夫婦別姓もオプションを増やすだけでその方がいい人間が選ぶだけなんだから否定する理由がわからないという意見があり、私も基本的にそのようには思うのだが、無修正ポルノ・ハードSM・売買春・他害を伴わないドラッグ使用・近親相姦・+妊娠出産のどこで顔が引きつるかは見てみたいところ。
— Takehiro OHYA (@takehiroohya) 2016年10月13日
よくある「ドミノ理論」「危険な坂道論法」の変形です。
「これを認めたら、あれもそれも認めろと言う人が出てくる」と
自分で直接主張するのではなく、「これを認めろと言う人は
あれやそれを認めろと言ったらどうなる?」という、
仮定のお話にしているところが巧妙だと思います。
「結婚制度がなし崩しになる?」
「●詭弁・誤謬【一度○○を許せば、たちまち××になるであろう (ドミノ理論)】」
このような問題を考えるときは、法的公平性や平等、
権利の尊重に合致するかが大事になります。
法律で定める場合は、なおさらこれらが重要ということです。
「選択肢を増やすだけ」「そうしたい人がするだけ」という
理屈で認められるのは、こうした公平性や権利尊重
という条件を満たしている場合のお話です。
同性結婚や選択的夫婦別姓は、選択する人がいることによって
他者の権利が制限されないし、公平性や平等に反する事態も起きないです。
それどころかこれらを認めないほうが、
性的指向や非改姓の主張によって結婚する権利が制限され、
公平性や平等に反することになります。
よって同性結婚や選択的夫婦別姓は、
「選択肢を増やすだけ」「そうしたい人がするだけ」という
理屈で認めることは、なんら問題ないどころか、
積極的にそうするべきということになります。
ツイートのかたが並べている無修正ポルノ、ハードSM、売買春は
性的搾取ですから、そこに人権侵害があります。
複婚は法的な公平性や平等を保証できなくなります。
一夫多妻なら自分以外の配偶者がいる妻にとって不公平だからです。
「夫婦別姓と一夫多妻の関係」
「一夫多妻と「結婚の平等」」
これらは公平性、平等や権利の保障という条件に反するので、
「選択肢を増やすだけ」「そうしたい人がするだけ」という
理屈で認めることができず、同性結婚や選択的夫婦別姓とは
同列に扱えないことになります。
「無修正ポルノ・ハードSM・売買春」といった性的搾取を
同性結婚や選択的夫婦別姓と同列に並べるところに、
最初のツイートのかたの家族観が現れていると思います。
ようは「戦後民法によって規定された家族が正しい家族」という
例の「家族思想」に対する「信仰」が強いということです。
「家族思想という信仰」
この「信仰」のもとでは、同性結婚や選択的夫婦別姓は「異教徒」です。
「異教徒」はすべて「不浄」なので一様に
性的搾取のたぐいと同じカテゴリということなのでしょう。
「どこで顔が引きつるかは」というもの言いをするのは、
これを好き嫌いや道徳の問題だと考えているのかもしれないです。
「信仰」なら「道徳」で理解することになるのでしょう。
実際には前述のように、法的公平性、平等や、権利の尊重、
他者の権利侵害があるか、という問題なのですが、
このような主張をする人にありがちなこととして、
それは理解できないもののようです。
最初のツイートのかたのように、「ドミノ理論」を振り回す人に、
公平性、平等や権利尊重に対する無神経や無理解を感じ取ったら、
そこに「顔が引きつる」ことはあると思います。
最初のツイートのかたは大屋雄裕氏。
慶應大学法学部の法哲学の教授です。
ご立派な肩書きのわりには、お粗末な認識だと思います。