2016年10月16日

高い大学授業料と貧困の連鎖

メインブログの10月15日エントリの続き。
日本の貧困率が高いこととその理由について述べた記事です。

「子供の「6人に1人が貧困」 40兆円の社会的損失」

この記事では、貧困家庭は大学進学率が低いこと、
それが貧困の連鎖をもたらすことに触れています。

 
貧困家庭ほど大学進学率が低いことは一目瞭然です。
4年制大学への進学率は年収が1200万円以上では62.8%ですが、
年収200万円以下では28.2%にとどまります。

保護者の年収と進路


これは日本は大学の授業料が高く、奨学金が貧しいカテゴリに入る、
OECD加盟国唯一の国ということによります。

「学費は高いわ援助はないわ・・・日本の高等教育@OECD」

Average tuition fees (USD) vs. the percentage of students receiving public subsidies for higher education, 2008-09

1970年代以降の、日本の大学の授業料の高騰は、
よくご存知のことだと思います。


メインブログの10月10日エントリで、
子どもふたりを育てるシミュレーションを見ましたが、
ふたりを私立大学に入れると、30歳で年収550万円でも
大学の学費負担で大きく赤字になります。
これは貧困家庭にとって、進学の大きな壁になることは容易に予想できます。

「子どもふたりの適正年収」
「日本という国で、子供2人を育てる適正年収をレポート」

【分析その1】30歳で年収550万円のケース

【分析その1】30歳で年収550万円のケース


記事では東大に入学した人の世帯の年収に触れています。
東大入学者の世帯収入は年平均で1000万円とされています。
つまり、一般世帯より300万円以上、母子家庭の非正規雇用者に
比べると800万円以上も高い計算となります。

年収階層別の内訳をみると、年収950万円以上の家庭が半数以上です。
大学生の子がいる一般的な世帯は22.6%で、
これと比べると東大生の家庭は2倍以上となります。


母子家庭の平均年収は200万円以下ですから、
こうした家庭の子には手の届かない世界だと言えます。



貧困層で進学が困難で諦めざるを得ないかたが
多くなることで、「貧困の連鎖」が起きることになります。
一般に高収入の職種は専門的な知識や技術が必要で
大学や大学院卒でないと就くことが困難です。

それゆえ大学に進学できなかった貧困層の子は、
低収入の職種にしか就けないことになります。
彼らが親世代になっても、その子どもも貧困層となるので、
やはり大学への進学が困難となり、
貧困が世代を超えて繰り返されることになります。

親の経済的格差が、子供の教育格差を生み、就学の格差をもたらし、
さらなる「経済的格差」につながっていく。
文字通り貧困が貧困を呼ぶ「貧困の連鎖」がそこにはあります。
身も蓋もない話ですが、事実です。

貧しい家庭と、そうでない家庭の格差はどんどん拡大します。
どこかで、貧困の連鎖を断ち切らなければ、
経済的損失が膨らむばかりです。


posted by たんぽぽ at 21:49| Comment(0) | TrackBack(0) | 教育 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
コチラをクリックしてください

この記事へのトラックバック