2016年09月20日

一部の特例をもって全否定

9月11日エントリで、フィリピンについて熱弁を
ふるっている「ヒラリー」が、階級問題をジェンダー問題に
すり替えているということをお話したのでした。

http://tamagodon.livedoor.biz/archives/51930548.html
私から述べさせて頂くと、
・フィリピンは女性専門職・管理職が多いという
大学教授の言及を引用してますが、フィリピンなど東南アジアは
華僑が圧倒的に強い、という男女以前の現実があります。

(1. ヒラリー 2016年06月22日 08:47)

 
「ヒラリー」がなにを見たのかは予想がつきます。
専門職と管理職の女性の割合の国際比較の図だと思います。

「専門職と管理職の女性比率」


「大学教授」というのは教育学者の舞田敏彦氏のことでしょう。
「フィリピンはスゴイな。双系社会だからか」と、
このツイートでひとこと書き添えてあるので、
「ヒラリー」はここに反応したということだと思います。


「ヒラリー」は次のエントリでもコメントしていて、
上述の専門職と管理職の女性の割合を示す国際比較の調査が
信用できない、という意味のことを言っています。

「少々疲れています」

たんぽぽさんのところは相変わらず女性管理職は日韓が少ないけど
フィリピンは多いとかの使い回しですから意味ないでしょうね。

(2. ヒラリー 2016年07月25日 10:18)

「ヒラリー」の言いたいことは、おそらくこうだろうと思います

1. フィリピンのジェンダー平等は、階級格差のせいだから
本質的に社会が公平とは言えない。
2. よって調査に出ているほかの国も本質的に社会が
公平だからジェンダー平等というわけではない。


1.について

階級問題をジェンダー問題にすり替えている「ヒラリー」の論理が
おかしいことは、9月11日エントリですでにお話しています。

「階級とジェンダーのすり替え」


2.について

1.がおかしいので前提が成り立たないですが、
1.が成り立ったとしても、そこから2.は導けないです。
図中にある欧米の民主主義国のジェンダー平等は、
階級社会が顕著だからというわけではないからです。

「ヒラリー」が調査そのものを否定したいなら、
欧米の民主主義国のジェンダー平等も、
フィリピンと同じ事情によることを証明する必要があります。


欧米の民主主義国のジェンダー平等は、
本質的な社会の公平と平等を達成するべく努めた結果であり、
階級格差が顕著であることによるのでないことは明らかです。
とくにジェンダー平等が進んでいる北ヨーロッパの
国ぐににおいては、ジニ係数が国際的に見ても低く、
格差の小さい社会が達成されています。

「所得格差の国際比較(2009~2012年、OECD諸国+ロシア)」

所得格差の国債比較(OECD諸国)

欧米の民主主義国におけるジェンダー平等は、
フィリピンとは事情が異なるということです。
それゆえフィリピンの事情をもって、他国のデータの信頼性まで
失われるものではないことになります。


「ヒラリー」がやっているのは一部の例外や特例を楯にして、
全部を否定するということです。
言ってみれば、気に入らないのであら探しをして
難癖をつけるのと同じようなものだと思います。
とても実証的とは言えないしろものです。


posted by たんぽぽ at 22:35| Comment(8) | TrackBack(0) | 家族・ジェンダー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
たんぽぽさま
エントリをあげて下さってありがとうございます。
私も少し調べてみたのですが、結局女性の社会進出と華僑との関係ははっきりとはわかりませんでした。
国民性に由来する自然発生的なものなのか、政府主導のテコ入れによるものなのか、
構築されたものなのか偶然の現象なのかも…
ともかくグラフを見てわかることは、フィリピンという国はとても特殊な
社会構造になっているらしいということですね。
階級(≒経済)格差が顕著でありながら、上層の男女格差は少ないという、
とても珍しいケースだと思います。
これがもし華僑によるものだと仮定するならば、華僑出身者は社会で成功を収めることが
第一義であって、その前には性差別感情は消え去ってしまう。優秀なコマならたとえ女でも
使えるだけ使う!という中国独自の価値観と合理性によるものではないかな?と想像します。
(中国は伝統的に経済第一の価値観を持っているようです。お正月の挨拶も「今年もたくさんお金を儲けましょう!」とか。)

ps.”ヒラリー氏が「たまごどん式グラフ読解法」を身につけた”という分析にも感じられます。
Posted by あやめ at 2016年09月21日 00:29
あやめさま、いらっしゃいませ。
こちらにコメントありがとうございます。

ブログ移転以降、最初のコメントですね。
(厳密には最初ではないけれど、あれは「無効」なので。)


>私も少し調べてみたのですが、
>結局女性の社会進出と華僑との関係ははっきりとはわかりませんでした

いろいろと調べていらしたのですね、お疲れさまです。
わたしは華僑のことは知識がないので、
なにも言えないのが残念です。


>ともかくグラフを見てわかることは、フィリピンという国はとても特殊な
>社会構造になっているらしいということですね。
>階級(≒経済)格差が顕著でありながら、上層の男女格差は少ないという、
>とても珍しいケースだと思います。

階級格差があって、上流階級はお手伝いさんを雇うから、
女性が家事をしないですむというのは、
フィリピンに詳しいかたがよく指摘するし、
それは確かにあるのだろうと思います。

ジェンダーギャップ指数は、同一労働同一賃金とか、
教育の格差とか国民全体の動向が影響するのもあるので、
単に社会の上層部だけジェンダー平等でも、
順位が高くなることはないと思うのですよね。
(社会の上層部なんて、人口比は少ないでしょうし。)

前のコメントでも言ったけれど、
上流階級がお手伝いさんを雇うのはフィリピンに限らず、
周辺のアジア諸国では一般的だけど、これらの国ぐにの
ジェンダーギャップ指数はぜんぜん高くないですし。


>「たまごどん式グラフ読解法」を身につけた”という分析にも

都合のいい反例や特例を持ち出して、全体を否定するのは、
あのかたのよくやることのようです。
Posted by たんぽぽ at 2016年09月21日 23:06
お返事ありがとうございます。

あら、私がお引っ越し後初コメントとは光栄です^^
(繰り上げ当選?ですけど)

>ジェンダーギャップ指数

なるほど、上層部だけがポイントを稼いでいる訳じゃないんですね。
専門職・管理職=上層という意識でした。
ということはやはり、華僑の存在はあまり関係が無く、フィリピンは
伝統的に男女格差の少ない社会と言えそうですね。
双系社会というところで、たぶん意識からして違うのだと思います。

華僑については今や昔の香港返還時にメディアが取り上げたのを
見聞した程度で、私も取り立てて詳しい訳ではないですが^^;
「華僑」の存在は世界各国に溶け込んで久しいですし、
(日本では今何かと話題の蓮舫さんも”私は華僑の出身”と仰ってますね)
「お手伝いさん」の存在も、海外では比較的ポピュラーと聞きます。
仕事が忙しければ家事を外注するのは当たり前、という意識が当たり前に
根付いているんですよね。これは日本と大きく違うところだと思います。
(一家の主婦が家政に手を抜くことに異常なまでに厳しい。)

フィリピンではこんな感じらしいです。
http://souspeak.com/cebu/philippine-woman/
”なお、彼女の生活はマネージャークラスのフィリピン人であれば、
それほど特別な生活ではありません。”

ただ、確認しておかなければならないのは、お手伝いさんの存在が
=「女性による女性差別」ではないというところ。
問題は経済格差であって、お手伝いさんが廉価で雇い入れられている
ことと切り離して考えなければならない。
これは大企業と下請けの中小企業の関係と同様で、=「大企業による
下請け差別」ではないのと同様。

ps.日本では廃れて久しいですが、少し前までは当たり前だったんですけどね
「ねえや」やら「子守」やら「書生」やら
Posted by あやめ at 2016年09月24日 20:28
あやめさま、またまたコメントありがとうございます。

>あら、私がお引っ越し後初コメントとは光栄です^^

いつもたくさんコメントをくださるからですね。
つたないブログの初投稿を光栄に思ってくださり、
こちらこそ恐縮です。

>(繰り上げ当選?ですけど)

繰り上げ当選、そうですね。


>フィリピンではこんな感じらしいです。
>http://souspeak.com/cebu/philippine-woman/
>”なお、彼女の生活はマネージャークラスのフィリピン人であれば、
>それほど特別な生活ではありません。”

こちらはご紹介ありがとうございます。
いろいろと調べてくださり恐縮です。

「メイドを雇っているから、女性は家事をしないで済む」
というのが、はっきりわかるように書いてありますね。
取材されているかたも、一般的な市民という感じで、
取り立てて上流階級というわけではなさそうです。


>確認しておかなければならないのは、お手伝いさんの存在が
>=「女性による女性差別」ではないというところ。
>問題は経済格差であって、お手伝いさんが廉価で雇い入れられている
>ことと切り離して考えなければならない

ジェンダー問題ではなく階級問題であるということは、
確認しておく必要がありますね。
Posted by たんぽぽ at 2016年09月25日 07:55
たんぽぽさま

>ジェンダー問題ではなく階級問題であるということは、
>確認しておく必要がありますね。

あちらのご一行が嬉ションで気に入ったのがそこなんでしょうね。

「わーい、女が女を虐げてるー。サベツだー(嘲笑)」

ps.それにしてもしつこいな。
Posted by あやめ at 2016年09月25日 08:42
コメントありがとうございます。

>あちらのご一行が嬉ションで気に入ったのがそこなんでしょうね

あのしつこいかたが考えているのは、
「ジェンダー平等は階級社会があって初めて実現する
不健全な状況である」
あたりではないかと想像します。

それで自分がフィリピンを強調するだけでなく、
わたしまで強調していることにするのだと思います。


某所で話題になった
========
排外的思想が強い人の特徴として
・見聞を広げつつ学の蘊奥を究めることより、
 自己利益追求のために相手をやり込めることに重点を置く
・↑の理由により基礎知識・基礎理解を蔑ろにしがちで、揚げ足取りに使えそうな知識は豊富
・相手への好き嫌いや分野ごとの知識の濃淡が激しい
・物事を包括的に捉えようとはせず、重箱の隅をつつくような細部にこだわりがち
といった点が見いだせると思います。
========
のうちとも言えるかもしれないです。
Posted by たんぽぽ at 2016年09月25日 19:59
たんぽぽさま

>あのしつこいかたが考えているのは、
>「ジェンダー平等は階級社会があって初めて実現する
>不健全な状況である」

あ、なるほど。
了解です。


工エエェェ(゚д゚ノ;)ノェェエエ工

イヤこんなの論証を待たずとも、曲論に決まってる
じゃないですかあァァァー!!

……orz……
って言うか、よくわかりましたね?
私、ぜんっぜん読み解けなかったですよ?!
いやー、一周回ってやっと何がオカシイのかわかりましたよー

…まだまだだなあ、私…
Posted by あやめ at 2016年09月28日 01:35
またまたコメントありがとうございます。

>って言うか、よくわかりましたね?
>私、ぜんっぜん読み解けなかったですよ?!

わたしも想像なので、はっきりと断定はできないですが。

あのしつこいかたなら考えかねないと、
わたしなりに思ってはいますが。
Posted by たんぽぽ at 2016年09月28日 21:17
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