選択的夫婦別姓のことが出ています。
これを見てみたいと思います。
(結論を言うと、あまり感心する内容ではないです。)
「物議をかもす「夫婦別姓」制度。あなたは賛成?反対?」
はじめにこんなことが書いてあります。
「意見はまっぷたつ!」というほどでもないと思います。
「ママたち」に限れば、賛成のほうがずっと多いと思います。
近年「選択的夫婦別氏制度」という新しい制度の導入が検討され、
さまざまな物議をかもしています。
それに対して、ママたちのなかでも意見はまっぷたつ!
「ママたち」に近いものとして、2015年3月に行なわれた
日経の調査によると、選択的夫婦別姓に賛成は77%、
仕事で旧姓を使っているかたに限ると賛成は83%です。
「働く既婚女性に別姓の調査」
「働く既婚女性に別姓の調査(2)」
そのあと、賛成、反対、中立の意見がいくつか紹介され、
記事著者の考察が最後にあります。
選択的夫婦別姓が認められると、よからぬことが起きそうだと、
言わんばかりの書きかただと思います。
想像してみよう。夫婦別姓が認められる世の中になったら
実際に夫婦別姓が認められたら、世の中は何がどのように変わるのでしょうか。
性別、子どもの苗字、日本の伝統やしきたりなど、
今までとは大きく変わってくる可能性があります。
夫婦別姓に対するメリット、デメリットについて多角的な意見が集まりました。
「性別」が「今までとは大きく変わってくる可能性」
というのは、どういうことかと思います。
同性結婚や性同一性障害のことでしょうか?
これらは選択的夫婦別姓とは関係ないことです。
もしかすると「ジェンダー観」とでも書きたかったのかもしれないです。
「日本の伝統やしきたり」が、「今までとは大きく
変わってくる可能性」は言いたいことはわかりますが、
こちらも根拠がないと言わざるをえないです。
日本に現在のような夫婦同姓が導入されたのは、
明治の終わりのほうで、100数十年の歴史しかないです。
それもヨーロッパの制度にならって作ったものです。
「選択的夫婦別姓のまとめ(3)」
「伝統」が出てきたら疑うための3つのガイドラインによれば、
同姓強制は日本の伝統ではないし、結婚改姓を余儀なくされる
女性の犠牲の上に成り立つ差別的で不健全な制度になります。
「伝統回帰論への懐疑」
1. それは本当に伝統なのか?わりと新しめではないか?
2. その伝統なるものの利益は万人が享受できたのか?
誰かを犠牲にしていなかったか?
3. ほんとうに帰れるのか
1. ヨーロッパから導入したもので「日本の伝統」ではないし、
日本に定着したのも、明治以降でわりあい歴史が浅い。
2. 女性の非改姓権の犠牲の上に成り立っている。
3. いますぐ選択別姓を認めてもすでに遅いくらい、同姓強制は現状に合わない。
子どもの苗字を持ち出すのは、選択的夫婦別姓の反対派の定番です。
新たな問題につながる可能性
子どもが妻の姓を名乗って夫側の親戚にとやかく言われたり、
きょうだいで「どっちの姓がよかった!」ってケンカしたり...
問題は絶えないと思います。
私は別姓が選べても統一します。
自分の旧姓に思い入れもないし、苗字が変わるくらいで
血のつながりが消えるわけではないので、
どうせなら結婚後は"第3の新しい苗字"を名乗りたいなと思ったりします。
「子どもが妻の姓を名乗って夫側の親戚にとやかく言われたり」
というくだりに、子どもは夫の苗字を名乗るのが本来、
という男性本位的な発想が見られます。
これはとやかく言う「夫側の親戚」に
かかる因習・反動的な既得権意識があることが問題であって、
別姓夫婦の当人たちが責任を取ることではないです。
別姓家族の子どもどうしで苗字のことでトラブルになった、
なんてお話は聞いたことありませんよ?
どうしても心配なら、子どもの苗字が決まらなかった場合の
法的措置(例えば「一定日数以内に届けがなければ、
自動的に母の苗字にする」など)を決めておけばよいと思います。
「選択的夫婦別姓のまとめ(6)」
「夫婦別姓・子の姓の議論」
そんなことより現行の同姓強制で、夫婦の苗字が
決まらないときのトラブルを考える必要があると思います。
理不尽な改姓を強いることで、夫婦の不仲の原因になったり
離婚のもとになることもあるからです。
こちらは決まらない場合の法的取り決めはなにもないです。
よもや「必ず女性が改姓するからトラブルは起きない」
なんて思っているのではありますまいね?
次はもっと意味不明です。
「跡取りを残すために苗字が大事だ」という家に嫁いで、
非改姓結婚を希望するくらいなら、改姓を強制された上で、
跡取りを産まされることにも苦しむでしょう。
改姓の強制があるぶん苦しみはもっと大きいと思います。
「非改姓結婚が認められると苦しむことは、
改姓を強制しておけば苦しまない」と考える理由がわからないです。
同姓強制が原因でもとからあった問題が、
選択的夫婦別姓の導入で見えるようになっただけなのを、
「同姓強制なら問題なかったが、選択的夫婦別姓が認められて
問題が起きた」と錯覚しているのかもしれないです。
もっと苦しむ女性が出てくるかも
田舎では、姓を残すことに重点を置いているところがあります。
このため、男の赤ちゃんを産むのが必須。
夫婦別姓ができるようになってしまうと、お嫁さんが男の赤ちゃんを
産むまで姓を同じにしないという可能性が出てくるそうです。
地方で苗字を残すことに重点を置いている家が
直面することで、選択的夫婦別姓に関係がある問題は、
「跡取りが娘しかいない場合どうするか」です。
それで娘でも苗字が残せるように、選択的夫婦別姓を求める
というのが、一般的なことです。
「家名の継承」
次にいたっては何が問題かもわからないです。
「自立した2人が新しい家庭を築く」ことに反する概念としての
「嫁」や「婿」であれば、そんな因習的な家族の習慣は
なくなるに越したことはないことです。
あとに書いていることも、どれも「望ましいこと」だと思います。
「嫁」や「婿」の概念がなくなる
別姓を取り入れることで「嫁」「婿」といった概念が
なくなるのではないでしょうか。
自立した2人が新しい家庭を築くかたちを示すことができます。
そうすることで、両方の親を平等に扱うといった観念も
夫婦間で得られると思います。
また、日本の古来ゆかしき多くの苗字が、結婚や少子化などによって、
どんどん消えていく現状にも歯止めがきくかもしれません。
この項だけは、前のふたつと違って、選択的夫婦別姓の
導入によるメリットとして挙げたのかもしれないです。
そうだとすると論旨が不明瞭になっていると思います。
「選択的夫婦別姓が導入された場合の問題点」を
列挙する文脈と、読んだ人は考えるからです。
選択的夫婦別姓に反対したくて、さんざん議論され
言い古されたことを持ち出したり、反対のためにありそうもない
「選択的夫婦別姓が導入されたときの問題」を
あたまの中で作った、という感じだと思います。
男性専門誌の女性向け「~ウーマン」とかも同様の傾向がありますね。
>「意見はまっぷたつ!」
じゃ全然無いじゃん。
賛成反対はつけたりでほどんど「別姓のデメリット」の列挙で終わってる。
最近気がついたんですけど、こういう話題は得てして無関係な人ほど、
過剰に体制に従おうとしたり、頑迷なことが多いですね。
当事者の方がむしろ柔軟に対応していると思いますよ。
っていうのは、昔の「足入れ婚」ですよね。
夫婦別姓は関係無いです。
…っていうか、怖いですよね。
夫婦が望めば、という前提を度外視して、はやもう女性への刑罰として使用する手段になる…
って考える思想が。
>男性専門誌の女性向け「~ウーマン」とかも同様の傾向がありますね
記事を書いたのは、やはり男性なのかと思います。
選択的夫婦別姓をあまり快く思わない男性視点の記事、
ということなのでしょう。
>賛成反対はつけたりでほどんど「別姓のデメリット」の列挙で終わってる
記事の構成も反対に寄っていて、「まっぷたつ」でないですね。
>こういう話題は得てして無関係な人ほど、
>過剰に体制に従おうとしたり、頑迷なことが多いですね
自分と関係ないから、自分のあたまで考えたことがなく、
既成のカチカンべったりになるということかもしれないです。
自分の問題として直面すると、自分で考えることになるので、
その限りでなくなってくるのでしょう。
>昔の「足入れ婚」ですよね。
>夫婦別姓は関係無いです。
実は現在の夫婦同姓のもとで起きていることで、
選択的夫婦別姓は関係ないことなのですよね。
夫婦同姓のもとで起きていることを、
選択的夫婦別姓が認められると起きることのように言うのも、
反対派にありがちだと思います。
以前は家父長制の影響で子どもは父の姓を名乗るとされていたのですが、最近では、第一子が父の姓、第二子が母の姓というケースなどもあるそうです。
http://sp.recordchina.co.jp/news.php?id=43374
(中国では2015年まで一人っ子政策がとられていましたが、双子、両親ともに一人っ子など、一定の条件下で2人以上の子を持つことが認められていました。
そして2016年現在は、二人っ子政策なのだそうです)
ある遺伝学者は、男子は父方の姓、女子は母方の姓を名乗ることを提案しています。
http://sp.recordchina.co.jp/news.php?id=25111
私もこれに賛成です。
その上で、一定の年齢(例えば15歳か18歳)以上になれば、他方の親の姓に変更する権利を持つことができればベストです。
例えば、駐日大使であるキャロライン・ケネディ氏は夫と異なる姓ですが、長男はケネディ氏の夫の姓、つまり父の姓です。
http://spotlight-media.jp/article/215685096475922170
(長男以外の姓については不明です。複合姓の可能性もあります)
もちろん、母の姓を名乗るパターンもあります。
以下、おもしろい理由で母方の姓を名乗っている有名人やその家族をピックアップしていきます。
(厳密に言えば複合姓であり、主要な姓として母方を選んでいるのでしょう)
ジネディーヌ・ジダン氏の息子たち
(サッカー選手・フランス人 ※スペイン人でもある可能性)
メディアの注目を避けプレッシャーを軽減するため、父方のジダンでなく母方のフェルナンデスを名乗っている時期があります。
http://web.gekisaka.jp/news/detail/?118568-123112-fl
http://www.footballchannel.jp/2016/01/15/post132586/
ネルソン・ピケ氏
(元F1レーサー・ブラジル人)
本名はネルソン・ピケ・ソウト・マイオール。ピケは母の姓、ソウト・マイオールは父の姓です。
親に隠れてレース活動をするため、母の姓を名乗ることにしたそうです。
彼の父は、息子のレース活動に反対していたようです。
ホセ・ルイス・サパテロ氏
(元首相・スペイン人)
本名はホセ・ルイス・ロドリゲス・サパテロ。ロドリゲスは父の姓、サパテロは母の姓です。
スペインでは父母の姓をそれぞれ受け継ぎ、日常では父の姓を名乗ることが一般的ですが、ロドリゲスはスペインではありふれた姓なので、珍しい方のサパテロを名乗っているようです。
>最近では、第一子が父の姓、第二子が母の姓というケースなどもあるそうです。
>http://sp.recordchina.co.jp/news.php?id=43374
>ある遺伝学者は、男子は父方の姓、女子は母方の姓を名乗ることを提案しています。
>http://sp.recordchina.co.jp/news.php?id=25111
こちらはご紹介ありがとうございます。
むかしは子どもは父親の苗字を名乗ると決まっていたけれど、
男女平等の見地から、父母のいずれの苗字も
選択できるように法律が改正されたのでしたね。
それでも従来からの慣習で、父親の苗字を
選ぶことが多いのだろうと思います。
(遺伝学者の案が出てくる背景は、自由選択にすると
父親の苗字を選ぶことが多い、ということなのかな?)
長く続いた一人っ子政策は、子どもの苗字の問題を
深刻にしたみたいですね。
ふたりいれば、ひとりを父親の苗字にしたら、
もうひとりは母親の苗字、という選びかたもできるけれど、
ひとりではそのようなことはできないですからね。
>そして2016年現在は、二人っ子政策なのだそうです)
人口減少が問題になり始めたからですね。
「中国、1月1日から一人っ子政策廃止 育休も延長の方針」
ttp://www.asahi.com/articles/ASHDW5QY6HDWUHBI010.html
「中国の一人っ子政策廃止5つのポイント」
ttp://jp.wsj.com/articles/SB11656670854055994709504581324263738434234
それでも国家が家族を管理するという、
家族観・家族思想は相変わらずなんだけど。
以前、こんなおかしな記事を載せたことがあります。
「民主党の夫婦別姓政策、日本人と結婚する中国人女性に福音=
日本姓名乗る苦悩なくなる―華字紙」
http://sp.recordchina.co.jp/news.php?id=35713
わたしはメインサイトで取り上げたことがあります。
「国際結婚に関する反対派の認識」
http://lacrima09.web.fc2.com/teardrops/against/international.html
ご紹介のレコードチャイナの記事の「関連記事」に、
このとんちんかんな記事があったので、「おや?」と思ったのでした。
なのでレコードチャイナの苗字や夫婦別姓に関する記事は、
わたしは信憑性がちょっと心配だったりします。
今回ご紹介いただいた記事は、だいじょうぶだろうとは思いますが。
>第一子が父の姓、第二子が母の姓
これも一人っ子政策の影響の一つでしょうね。
それ以前なら、どこの家も兄弟が多かっただろうし、
またたくさん産んでもいたから、兄弟姉妹間で適宜養子に出したり、
もらったりしていたのではないかな?と想像します。
>ある遺伝学者は、男子は父方の姓、女子は母方の姓を名乗ることを提案
私が思うに、自由意思に任せると《女の子の数が減るから》ではないかな?と。
つまりどこの家でも「跡を継がせる子は男の子が良い」と言って、女の子を
欲しがらないから…
ところで、私が一人っ子政策と聞いて真っ先に思うのは、黒孩子(ブラックチルドレン)。
彼らへの対応策は未だ決まっていないようですが。
http://www.sankei.com/world/news/151125/wor1511250006-n3.html
私もそれを思っていました。
欧米の名前に対する感覚は、かなり自由な印象がありますね。
名前をいくつ持ってても良いとか(ミドルネーム)、複数の姓名を持つとか。
例えば、
『僕はおばあちゃんが大好きだから、おばあちゃんの姓”も”名乗るよ!』
みたいに。
結婚を機に、二つの名字を一つにつなげたりして、新しい姓名を創出する例
などもあるようですし。
例:Suzuki+Yamada=Suzuyama
日本も明治以前は武家を中心に、字(あざな),諱(いみな)の二つの名前を
持つ文化があったのですが、姓はずっと一つのみでした。
日本の夫婦別姓がなかなか進展しないのは、こうした文化と、
戸籍制度の問題が大きいのでは無いかなと思います。
※ちょっと真面目に調べてみました。
スペイン語圏の「氏名」。
http://baby.goo.ne.jp/member/topics_back/topics38/w_spain/14/02.html
ID登録の際に、第二姓まで命名することが『義務付けられている』。
なお、女性が婚姻によって姓名を変更する法的強制は無いが、第二姓を夫の姓名
を名乗る風習も一部に残っているそうです。
いずこも同じ道を通ってるのだと思ったことでした。
>子どもは父の姓を名乗るパターンが多いように思います。
>例えば、駐日大使であるキャロライン・ケネディ氏は夫と異なる姓ですが、
>長男はケネディ氏の夫の姓、つまり父の姓です。
>http://spotlight-media.jp/article/215685096475922170
こちらはご紹介ありがとうございます。
おそらくは父系主義の名残りでしょう。
選択的夫婦別姓が認められたのは、とっくのむかしと言っても、
前時代の習慣が尾を引いている部分は
まだまだあるということなのでしょう。
前時代の習慣といえば、選択的夫婦別姓認められた国でも、
実際に夫婦別姓を選択するのは比較的少数ですし。
>おもしろい理由で母方の姓を名乗っている有名人やその家族を
母の苗字を名乗るのは、それなりにわけありのようですね。
同一人物性をあえてわかりにくくするとか、
母の苗字のほうが珍しいので名乗りたいとか。
これらも子どもは父親の苗字を名乗るのが一般的
という背景があるということだと思います。
>黒孩子(ブラックチルドレン)。
>彼らへの対応策は未だ決まっていないようですが。
>http://www.sankei.com/world/news/151125/wor1511250006-n3.html
中国では一人っ子政策の時代でも法律に違反して
ふたり目、3人目の子を産んだ人もいるのですよね。
日本の無国籍児並みかそれ以上に、悲劇的だろうと思います。
>欧米の名前に対する感覚は、かなり自由な印象がありますね。
>名前をいくつ持ってても良いとか(ミドルネーム)、複数の姓名を持つとか
欧米はというか、外国は姓名の自由度が大きいですよね。
名前を変えたり、ペンネームを本名のようにしたりとか、
わりと簡単にできると思います。
戸籍によって名前が管理されていて、
自由度のとぼしい日本がむしろ特例なのでしょう。
>スペイン語圏の「氏名」。
>http://baby.goo.ne.jp/member/topics_back/topics38/w_spain/14/02.html
夫婦別姓の国スペイン。
正確には父の苗字と母の苗字を一つずつ採るのですよね。
少しだけ書いたことがあります。
「世界の夫婦別姓」
http://lacrima09.web.fc2.com/teardrops/fundament/world.html