警視庁の『犯罪統計書』(2014年)によります。
家族は怖い。こんな集団に保育や福祉を委ねるのは,恐ろしいぜ。pic.twitter.com/idEw4j5NTU
— 舞田敏彦 (@tmaita77) 2016年8月22日
殺人の被害者は(家族以外も含めた)全体の
16.8%が配偶者で、家族の中では最も多いです。
夫と妻のどちらが被害者のケースが多いかも気になるところです。
父母と子はそれぞれ12.3%と11.8%で同じくらいです。
親も子も同じ割合で、殺人の被害者になりうるということです。
「父母」「配偶者」「子」「兄弟姉妹」の家族の合計は45.1%です。
殺人の被害者は全体の半分近くは家族ということです。
殺人は身内で起きる犯罪ということだと言えます。
殺人事件の加害者は親族で半分以上となっています。
加害者だけでなく被害者も半分くらいいるということです。
(加害者が身内であれば、被害者も身内なのは、必然ではありますが。)
やはり「家庭はいちばん恐ろしい」ことになりそうです。
「家庭がいちばん恐ろしい」
「第2章 殺人事件の動向」

(不謹慎な言い方ではありますが)
下記のブログ主が上手く説明しています。
http://blog.livedoor.jp/panpanpanpad/archives/2423406.html
赤の他人による殺人は、警察の強化や公衆道徳の向上、福祉による格差是正などで大きく減らすことができますが、家族間の殺人は警察の力が及びにくく、また怨恨が理由のものが多いため、減らすことが難しいのでしょう。
もちろん、女性や子どもの人権保護という面ではここ20年ほどで警察の対応などに進歩が見られます。ただ、やはり面識のない相手による事件を防ぐよりは容易ではないのかもしれません。
家庭内殺人を減らせば(もちろん、赤の他人や知人による殺人ももっと減らせば)、さらに治安の良い日本になるでしょう。
>http://blog.livedoor.jp/panpanpanpad/archives/2423406.html
そのエントリの要点は、
1. 日本の家庭内殺人の件数は、最近になって増えたのではない
2. 他国は家庭以外の殺人が多いから、相対的に家庭内殺人の比率が下がる
ということのようですね。
1.についてですが、「最近になって増えた」なんて、
わたしは言っていないですよ。
エントリに載せている図を見れば、
1980-90年代にも加害者が親族の割合は40-50%程度あります。
家庭内殺人は「むかしから割合が高かった」ということです。
2.については、あなたとご紹介のエントリは、
「それだけ日本は治安がいい=好ましい」と考えていますね。
わたしは違ったことを考えています。
日本は殺人が少ないわりに、自殺が多いことはご存知だろうと思います。
日本人は内向的で、追い詰められたときに外への攻撃に向かわず、
自分の中に溜め込む傾向があることの表れということです。
「殺人率と自殺率の国際比較図」
http://tmaita77.blogspot.jp/2014/02/blog-post_3.html
もっとあからさまに言えば、自己責任論が蔓延して
「他人に助けを求めるのは悪いこと」という意識が強いということです。
日本で他人による殺人が少ないのは、「内向的で自己責任論が
大好きな社会だから」、ということになるわけです。
日本で家庭内殺人の割合が高いのは、他人に対して殺意を向けない国でも、
家族や身内にだけは遠慮がないことになるでしょう。
他人は「外」だけど、家族は「内」なので、
内向的な国民性でも牙を向けられるということかもしれないです。
>家族間の殺人は警察の力が及びにくく、
>また怨恨が理由のものが多いため、減らすことが難しいのでしょう
日本の場合「家庭内のことに公権力は関わらない」という意識が強く、
刑法で扱える範囲が狭いこともあるのでしょう。
殺人は被害者も加害者も家族が多いという図を示したのは、
「家庭のぬくもり」「家庭のだんらん」を信じていて、
家庭での殺人はとくに少ないかのように
錯覚している人が多そう、ということがあります。
また社会保障を削って家庭内のケアで負担させようという
「日本的福祉」が危険であるという、
ひとつの理由として提示していることもあります。
家族と顔を付き合わせる機会が増えるし、
自分の貴重なリソースを家族に取られる上、
お金が絡みますから、殺人の発生率をいよいよ高めると
危惧するのは、当然のことだと言えます。
上記のブログ主は日本の自殺問題についても言及しています。
http://blog.livedoor.jp/panpanpanpad/archives/2423453.html
(もっとも、生活保護に関する記述には少々疑問がありますが)
実際、自殺率が日本と同等以上なのは、旧共産圏と韓国くらいです。
日本の場合、攻撃性が内に向かってしまうからか、殺人をするくらいなら自ら死を選ぶ方向に走る傾向があるのでしょう。
たんぽぽさんのおっしゃる通り、「内向的で自己責任論が大好きな社会だから」ということも当然関係あると思います。
また、一度失敗すると再チャレンジが難しい社会だからというのもあるかもしれません。(例えば大学生の就活問題など)
ただ、自殺率が低い国=幸福な国とは限りません。
多くのイスラム諸国は自殺率が非常に低いですが、これは宗教で自殺が厳しく禁じられているためであり、イスラム圏の人々が幸福だからという証拠にはならないです。
自殺と幸福度について、下記のブログが興味深いことを書いています。
http://mezaki.blogspot.jp/2010/08/blog-post.html?m=1
このサイトもおもしろいですよ。
>上記のブログ主は日本の自殺問題についても言及しています。
>http://blog.livedoor.jp/panpanpanpad/archives/2423453.html
ご紹介ありがとうございます。
日本はなぜ殺人が少ないわりに自殺が多いのか、
事実だけ言及して、詳しい考察はないので残念ですね。
>(もっとも、生活保護に関する記述には少々疑問がありますが)
生活保護については、けしからんことを書いていますね。
>日本の場合、攻撃性が内に向かってしまうからか、
>殺人をするくらいなら自ら死を選ぶ方向に走る傾向があるのでしょう
他人に対して不満があるとき、外国人は本人と面と向かって言うが、
日本人は本人の前ではなにもせず、本人のいないところで陰口を言う、
と言われますよね。
こんなのも内向的な国民性の現れではないかと思います。
一般に、外に現さず内に溜め込む人が多いのは、不健全な社会とされますよね。
外に現われてくれれば、他人からも見えて対処のしようがあって
いずれ解決する可能性があるけれど、内に溜め込む人が多いと
他人から見えないので、問題の対処どころか存在の認識さえできず、
いつまでも解決しないことになるからです。
>自殺と幸福度について、下記のブログが興味深いことを書いています。
>http://mezaki.blogspot.jp/2010/08/blog-post.html?m=1
ご紹介ありがとうございます。
こちらはくわしい考察をしていますね。
自殺率が高い国は、権威主義的、全体主義的で
個人の自由が制約される傾向が強いということですね。
日本はこれに当てはまるので自殺率が高いことはありそうです。
権威主義が自殺を強く禁止すると、宗教的戒律の強い
イスラム圏やラテンアメリカのように、
かえって自殺率は低くなるということですね。
この手の調査は自殺に対する抑圧が同程度の社会どうしで
比較する必要がある、ということだと思います。
日本に関してはほかに「死んで責任を果たす」という
固有の文化も影響していることになりそうですね。
自殺に対する宗教的タブーがないどころか、
自殺を要求する社会通念があるということです。
最後のくだりは示唆的です。
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自殺率が低くても幸福な国とは限らないが、
自殺率が高い国に、幸福な国はないということだ。
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