とくに経済政策がこのままではよくないからだと考えて、
自主的に政策を考えるかたもいらっしゃります。
メインブログの7月18日エントリでも触れましたが、
松尾匡氏の『この経済政策が民主主義を救う』(大月書店)は、
そうした著作のひとつです。
副題には「安倍政権に勝てる対案」とついていて
まさに安倍政権に対抗するための、野党のための対案の提示となっています。
松尾匡氏はシノドスでも、自分の著作を紹介する記事を書いています。
「この経済政策が民主主義を救う―― 安倍政権に勝てる対案 松尾匡 / 経済学」
2015年2月に朝日新聞が松尾匡氏へのインタビュー記事を載せています。
「左派こそ金融緩和を重視するべき 松尾匡・立命館大教授」
民進党を支援するシンクタンク「日本再建イニシアチブ」の
主任研究員、マーティン・ファクラー氏も、
経済政策についての提言をしていました。
「「日本の非正規雇用はアメリカから見てもヒドイ!」
アベノミクス失速でも安倍首相は捨て身で憲法改正に挑むはず」
民進党の押しかけシンクタンクと称する
「リベラル懇話会」も、経済の分科会があります。
経済政策についてなんらかの提言をしていることと思います。
「リベラル懇話会設立のお知らせ ~民主党幹部を交えた政策研究会の実施と意見書作成~」
「民主党への政策提言を行う「押しかけシンクタンク」が発足〜学者たちが記者会見」
飯田泰之氏も民主党政権の失敗についての対談記事に
出演しているので、民進党、野党によくなってほしいという
観点に立っているのではないかと思います。
「落選議員が語る【民主党崩壊】の理由」
「政治と経済の失われた20年 ―― データから語る日本の未来
片岡剛士×菅原琢×荻上チキ&飯田泰之」
森永卓郎氏も「リベラル勢力のなかにインフレターゲットを
支持するところが出てきてほしいと切に願っている」と
言っていたことがあります。
やはり民進党、野党によくなってほしいという
観点に立っているものと思います。
「金融緩和をどう考えるのか」
高橋洋一氏でさえ、民進党・野党やリベラル・左派が
今後どうしたらよいかという観点で記事を書いたことがあります。
「自民圧勝後の野党は、どう対抗軸を立てれば生き残れるか?」
「各党の金融政策を比較すれば明らか 「自民党圧勝」予測は覆らないだろう」
こうして見ると、結構たくさんの経済学者のかたが、
民進党・野党やリベラル・左派がよりよくなるにはどうしたらいいか、
という観点に立って、かなり具体的に政策を提言したり、
直接民進党に働きかけたりしていると言えます。
(経済学者の中には、民進党・野党やリベラル・左派を
よりよくするという観点ではなく、民進党・野党やリベラル・左派が
気に入らないので叩きたいとか、叩いて悦に入りたい
という動機でやっているであろうかたもいるようですが。)
これだけ多くのかたたちが民進党や野党のために、
いろいろと考えて行動するということは、
かつてなかったのではないかと思います。
それだけ現状が危機的であり日本の将来を懸念していること、
そしてかつ期待できるのは民進党・野党やリベラル・左派しかない
という状況の反映なのだと思います。
当の民進党・野党やリベラル・左派は、
いまひとつこうした働きかけを受け止めていない感じです。
金融安定化政策に対する理解があまりなく、
経済政策で安倍政権に遅れをとったままです。
一流の経済学者がこれだけ何人も協力的なのに、
とてももったいないことをしていると思います。
安倍首相はクルーグマンや、スティグリッツといった
外国の著名な経済学者とよく会談しています。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/49146?page=2
安倍首相は野党党首とは異なり、海外の著名な学者の意見をよく聞き、
それを経済政策にうまく生かしている。
今週も、バーナンキ氏が来日する予定である。
同氏は、筆者のプリンストン大時代の恩師であるが、
ヘリコプターマネーの理論化などを、象牙の塔にこもらずに
実践的な経済政策として打ち出してきた。
先日7月12日もベン・バーナンキと会談を開いていました。
「安倍首相、バーナンキ前FRB議長と会談 金融・財政政策で意見交換」
民進党や野党各党やリベラル・左派の諸氏は、
こういうところで差がつくと思わないのかと思います。
(ライバルが外国の識者を招いてお勉強していたら、
ふつうはあせりませんか?)
外国人を招いて会談しなくても、民進党には上述のように
すでに協力的になっている識者が、国内にたくさんいます。
日本国内の研究者ですから、外国人より日本特有の事情に詳しいでしょう。
ちょっと理解する気になれば、安倍政権以上の経済政策を
打ち出すポテンシャルはいくらでもあるのだと思います。