2016年07月19日

野党共闘に否定的な人たち

参院選の1人区で野党統一候補を擁立するという
野党共闘はじゅうぶん効果を発揮したと思います。
自民党がほとんどすべて議席を取って当然だった参院の1人区で、
32選挙区中11議席を取る快挙となったからです。

「参院選・1人区で野党健闘」

野党共闘1人区の勝敗

ところがこの野党共闘に、みょうに否定的な見解を
示すかたたちがいるので、いくつか見てみたいと思います。


ひとつ目はこちらです。
共産党との連携がそもそも不満だというかたです。

「民進・長島昭久氏が「民共共闘」の批判炸裂! 
「独立独歩の政権準備政党に」 党代表選での候補擁立にも含み」

民進党の長島昭久元防衛副大臣は11日、
次期衆院選での同党と共産党との連携について
「共闘を本当にやるべきなのか、おおいに疑問を持つ」と
否定的な見解を示した。

長島昭久は民進党の議員と言っても、ご存知右翼です。
共産党とはおおよそ相容れない政治的スタンスですから、
それだけで共産党との連携は受け入れられないでしょう。

さらにはかかる政治的スタンスですから
野党共闘したところで、共産党が支援するはずもないでしょう。
自分にご利益がないのですから、野党共闘に否定的になるのは、
ある意味ごもっともということになるでしょう。


ほかの立場で、野党共闘は完全に誤りだったと、
はっきり言っているかたもいらっしゃります。


「共産党に引きずられて左に振りすぎる」と言っていて、
共産党のせいで民進党の政策が左傾したと言いたいようです。
野党共闘は基本的に無所属の候補者を立てて、
共闘に参加する各政党が相乗りするというかたちです。
民進党のマニフェストに影響が出たというお話はないように思います。

「中道左派として経済含めしっかり対案を出していく」
というのもなんのことかと思います。
財政再建主義がけしからんということでしたら、
野党共闘も共産党も関係なく、民進党はもとから主張していたことです。
野党共闘のせいで言い出したことではないです。


またこんなご意見もあります。
やはり共産党が原因だとしていて、こちらは共産党の失態が
共闘している他党に波及したと言いたいようです。

「参院選で民進党が犯した「二つの致命的なミス」」
これに加えて、今回はさらにミスをした。
それは野党共闘だ。共産は自衛隊が違憲という主張だ。
これは時代錯誤も甚だしい。今の若者に聞いたらわかるが、
自衛隊を違憲という意見はまったく少数意見である。
共産と共闘した野党も同類と見なされて困った。
共産は、与党から「自衛隊は違憲」姿勢をつかれて防戦一方だった。

それに、選挙戦の最中に、共産の藤野政策委員長が、
NHK全国放送で「防衛予算は人殺し予算」と失言してしまった。
その後、発言取り消しで政策委員長は更迭されたが、駟も舌に及ばずである。
共産が予想外に不振だったことの原因は、自衛隊違憲と選挙期間中の失言だろう。

自衛隊に関する見解で「共産と共闘した野党も同類と見なされ」た
ということは、どの程度あったのかと思います。
「人殺し予算」発言も、ご指摘のように共産党の票を減らす寄与は
あったと思いますが、共闘しているほかの野党の票を
顕著に減らしたとは、わたしには思えないです。


これらの人たちは、共産党に対する忌避感が先にあって、
自分の感覚をもとにして「ほかの有権者たちも共産党との
共闘をこころよく思わないだろう」と思っている、
ということではないかと思います。

自民党が依然として優位というコンディションのもとで、
参院の1人区で3分の1以上の議席を得たのは、野党共闘の成果です。
比例区で立憲4党すべてが、前回の参院選より得票を伸ばしたのも、
野党共闘が好感を持たれた可能性も考えられます。

「参院選・1人区で野党健闘」
「参院選・比例区の民進復調」

自民党の絶対得票率と議席占有率/各党の参院選比例得票率の推移


野党共闘が成功だったことはあきらかでしょう。
複数人区や比例区でも野党共闘したほうがよかった、
という意見もあるくらいです。


彼らの野党共闘否定論にたいした根拠があるとは思えないです。
1人区で32選挙区中11議席取った事実が眼に入らないあたり、
それだけ政局感がないということかもしれないです。

野党共闘は間違っていた、失敗だったとそこまで明言するなら、
野党共闘のせいで取れなかった選挙区をいくつか示すとか、
野党共闘しなければあとこれだけ票が取れたとか、
具体的な根拠を持って示すことだと思います。



関連エントリ:

「参院選・1人区で野党健闘」


posted by たんぽぽ at 22:51| Comment(0) | 選挙 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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