2016年07月16日

参院選1人区・今後の展望

メインブログの7月12日エントリで、
1人区の野党共闘が功を奏したことについてお話しました。
自民党が圧倒的に優位という最悪のコンディションの中で、
32選挙区中11議席と、3分の1以上の議席を
野党が獲得したことは、快挙と言えるからです。

「参院選・1人区で野党健闘」

それでも32選挙区中11議席獲得というのは、
野党が自民党に勝つためには、まだまだふじゅうぶんな数です。
野党がふつうの意味で勝つためには、自民に勝ち越すか、
せめて自民とほぼ同数の議席を取る必要があるでしょう。



今回の参院選の1人区で、野党共闘に参加した立憲4党に
投票したかたは、立憲4党の支持層はいずれも9割近いのでした。
これは「完全に票を固めた」と言えるレベルです。
よって支持層を固めるだけでは限界があり、
これ以上の議席を得るにはふじゅうぶんということになります。

1人区・各党支持層の投票先は

ひとつの解決として、立憲4党各党が
それぞれの支持層をもっと厚くすることがあるでしょう。
立憲4党の組織や支持母体を考えるといくら厚くしたところで、
自民党や公明党にはとてもかなわないと言えます。
ここには限界があることになります。


つぎに考えられるのは無党派からの得票です。
無党派は特定の政党支持者と比べてずっと多いですから、
票田はきわめて広く、おおいなる可能性があるところだと思います。

1人区の投票先を見ると、野党統一候補に投票した人は56%
自民党候補に投票した人は34%で、かなり勝ち越しています。
無党派からはかなり票を取っていると言えます。
改憲の危機が伝わった無党派は、選挙に行って
野党統一候補に投票した問いうことなのでしょう。

全体の投票率は低く、54.70%で戦後4番目の低さでした。
それゆえまだまだ投票に行かない無党派が多かったことが考えられます。
無党派から票を取って野党が勝利するには、
もっと無党派を動かす必要があることになります。

「投票率54.70% 戦後4番目の低さ 朝日新聞集計」

無党派を動かして、彼らに野党に投票してもらうには、
改憲の危機を伝えることも大事ですが、
野党が期待感の持てる政策を提示することだと思います。
よく言われている経済政策はとくに重要でしょう。

「【参院選】改憲を封印した「リベラル」な自民 争点作れなかった民進」
「【第75回】「リベラルはどこがダメか」を検証する」


3つ目に考えられるのは他党支持層から票を奪うことです。
今回の参院選の1人区では、公明党の支持層で、
自民の候補に投票したかたは66%にとどまり、
野党統一候補に投票したかたは24%もいます。
支持がある程度崩れていると言えます。

「公明支持層24%、野党候補に 1人区出口調査」(全文)
自民にとって鉄板のような援軍だった公明支持層に変化があったのか。
支持母体である創価学会のある幹部はこう話す。
「公明には勝ってほしいけど、自民に勝ちすぎてほしくない、
そんな気持ちなんだと思います。

公明支持層の一部が野党統一候補に流れたのは、
「改憲の危機」であることは容易に想像できます。
改憲の危機を防ぐために、公明の候補者がいない選挙区では、
自民よりも野党の候補者を当選させたほうがよいと
考える支持者が出てきたということです。

公明の支持層にとって、公明党が議席を伸ばすのは
もちろん利益ですが、自民党が議席を伸ばしても
必ずしも彼らにとって利益ではないということなのでしょう。

公明党の支持層は、一般に党や創価学会には忠実で、
党の意向に反する投票はなかなかしないのが相場です。
立憲4党から積極的に働きかけて、公明支持層の票を割るのは困難でしょう。
公明支持層が立憲4党に投票するのは、自民に投票することに
よほどメリットがないという、「敵失」が頼りになると思います。


もうひとつの「他党」はおおさか維新です。
参院選の1人区では支持層の46%が、野党統一候補に投票しています。
自民に投票したのはおおさか維新の支持層の34%で、
ここでも野党は勝ち越していることになります。

「ポイント2 参院選 市民派と共産党は「おおさか維新への刺客」になる 」
おおさか維新の支持者とは、「ごりごりの既得権益が嫌い、
特に自治労とか電力労組が嫌い」な人で、案外護憲派や脱原発派は多いのです。

民進党に対しては、連合のイメージから嫌っている人が
特に大都市近郊のインテリには多い。
そういう層がおおさか維新に流れています。

「阪神地区が日本最強の「改憲派王国」に?!」
橋下さんの「自治労」「電力労組」からなる連合に断固たる姿勢で
対決する姿勢がリベラル派にも一定程度受けているのです。
その遺産を引き継ぎつつ、松井代表は橋下さんの2013年のようには
失言をせずに「身を切る改革」「大学学費無償化」などで
「昔の革新票」を手堅くまとめていったのです。

おおさか維新の支持層は、革新志向ではあるが、
連合とか自治労とか電力総研といった
民進党の支持層が嫌いというかたが多いです。
彼らは自民党を積極的に支持はしないので、
自党候補のいない選挙区では、政策や理念で近い
野党統一候補に投票するかたもいるのでしょう。

政治的立ち位置が近いぶん、政策の優位性を示して
おおさか維新支持層から票を割る可能性はあると言えます。
ここは立憲4党から積極的に働きかける余地はあるでしょう。



関連エントリ:

「参院選・1人区で野党健闘」



posted by たんぽぽ at 23:28| Comment(0) | 選挙 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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