国が実体調査をすることになりそうです。
6月2日に被害実態の把握をつとめる答弁書を閣議決定しました。
(閣議決定だけで、調査を開始したのではないですが。)
「AV出演強要問題、国が被害実態調査へ…答弁書を閣議決定」
(はてなブックマーク)
弁護士ドットコムの記事はあまり長くないので、全文引用します。
若い女性が本人の意思に反してアダルトビデオに出演させられている
被害について、政府が実態調査に乗り出すことがわかった。
政府は6月2日、内閣府が民間団体から被害状況を聴くなどして、
実態の把握につとめたいとする答弁書を閣議決定した。
アダルトビデオへの出演強要をめぐっては、NPOヒューマンライツ・ナウが
今年3月、被害実態をまとめた報告書を発表した。
モデルやタレントとして勧誘された女性が、本人の意思に反して
アダルトビデオへの出演を強要されるケースが相次いでいると報告された。
こうした状況を踏まえて、山本太郎参議院議員が5月26日、
アダルトビデオへの出演強要被害に関する質問主意書を提出した。
「アダルトビデオへの出演強要は女性に対する深刻な暴力だ」として、
政府としての取り組みや、実態調査・法整備などについて問うものだった。
答弁書は、女性に対して本人の意に反してアダルトビデオに
出演を強要することは、第4次男女共同参画基本計画で、
防止と根絶に取り組むとしている「女性に対する暴力」にあたると指摘した。
そのうえで、教育・啓発の推進や、被害者が相談しやすい体制づくりを通じて、
効果的な支援の拡充を図っていくとした。
内閣府暴力対策推進室は、弁護士ドットコムニュースの取材に
「まずは、民間団体からアダルトビデオ出演強要の被害を
ヒアリングして実態について把握する」と回答した。
現段階で、調査の時期などは決まっていないが、
業界団体を含めて幅広い対象からヒアリングしたいとしている。
記事中にあるヒューマンライツ・ナウの報告書は以下です。
「ポルノ・アダルトビデオ産業が生み出す、女性・少女に対する人権侵害調査報告書」
最近話題になっているアダルトビデオの出演強要被害は、
大手AVプロダクションの元社長らが
労働者派遣法違反の容疑で逮捕されたことでしょう。
これは大手メディアでも記事になっています。
「皆様へのお願い・AVプロダクション関連逮捕報道とその余波を受けて」
「大手AVプロダクション元社長ら逮捕 女性「出演強要された」 労働者派遣法違反容疑」
「AV撮影と知りながら派遣か 元社長ら逮捕」
最近はアダルトビデオへの出演を強要される被害について
関心が高まっているようで調査や報道が進んでいます。
モデルになれるとかテレビ出演の仕事だといつわってスカウトする、
危険なプレイをさせたり、無謀なダイエットをさせる、
やめようとする人に法外な違約金を請求する、
ということがよく使われる手口となっています。
被害女性の中には自殺したかたもいます。
「被害続く・AV出演を断った20歳の女性に
芸能プロダクションが2460万円の違約金支払いを求め提訴。」
「AV出演、モデル契約が… 相次ぐ強要被害、自殺女性も」
「麻美ゆまや穂花も?無理やりAV出演させられた女優たちの生々しい証言」
「AV出演強要被害 テレビ出演を偽装しての撮影、出演者が自殺したケースも」
「<AV出演強要>「奴隷のような状況」「刑事罰が必要」NPOが深刻な被害訴える」
「AV出演拒否で2460万円請求裁判の女性勝訴 「契約してしまっても諦めないで」」
以下のエントリで、わたしもいくつかとりあげたことがあります。
女性にとって性を売ることはとても抵抗がある例として、
アダルトビデオ業界の実態をあげたのでした。
「女性にとって性を売ること」
「「大人の男性を敵に回すのはとても怖かった」AV違約金訴訟・女性の手記(全文)」
「「契約書にサインするまで帰さない」と監禁されることも――AV出演強要の実態(上)」
「現役女優から「死にたい」というメールが届く――AV出演強要の実態(下)」
AV業界はかなりえげつないことがまかり通っているようです。
業界内部で健全化がなされなければ、警察や司法の介入も当然だし、
ひいては罰則の強化も必要だと思います。
今回、国による被害実態の調査を閣議決定しましたが、
法律の整備までこぎつけたいところだと思います。
前にも書いたけど業界内部での健全化がなされないなら警察や司法が乗り出してくるしかないんですよね。 / “大手AVプロダクション元社長ら逮捕 女性「出演強要された」 労働者派遣法違反容疑 - 産経ニュース” https://t.co/Q69M1NUB7H
— 董卓(不燃ごみ) (@inumash) 2016年6月12日
謝辞:
メインブログの5月19日エントリで、ヒューマンライツ・ナウの報告書を
紹介してくださったaka21さま、ありがとうございます。