2016年06月14日

子どもの貧困を救う八つの提案

メインブログの6月5日エントリで、子どもの貧困を
社会に周知させる方法としての「ショック療法」と
その限界についてお話したのでした。

ここでは記事のメインの話題である、子どもの貧困を解消する
8つの政策について、なにを挙げているかを見ていきたいと思います。

「駒崎弘樹 子どもの貧困を救う八つの提案
阿部彩教授×駒崎弘樹(下)子どものための投資は誰が負担する?」




以下のようです。

【子どもの貧困八策(案)】
1. 子どもベーシックインカム(多子に配慮) 
※子どもがいる世帯に一定程度の所得保障
2. 児童扶養手当の改革(毎月払い・20歳まで)
3. 同一労働同一賃金 or 最低賃金引き上げ
4. 妊娠退学を止めさせる/若年ママの学び直し
5. 生活保護世帯も大学に行けるように(生活保護法の改正)
6. 給付型奨学金(所得連動型奨学金)
7. 完全給食の実施
8. 教育のナショナルミニマム化の達成
(就学援助18歳まで・教材/制服フリー)

1.と3.は直接的な経済的支援であり、
その必要性と効果については言わずもがなだと思います。

1. に関しては日本社会は子ども手当てをつぶした実績があります。
子育て給付金も廃止になる可能性があります。
もともと子ども向けの公的支出に理解がないですし、
どのくらい実現するだろうかと思います。

3.に関しては、賃金体系がいまだ既婚の中高年男性中心であり、
安い労働力として女性や若年層を非正規雇用に回すことを
当然とする労働環境が根を張っていて、
導入はなかなか進まないことになります。

「男は結婚で年収が増える」
「賃金格差と低い労働生産性」
「日本の非正規雇用はひどい」



予算を投入しないでも可能なのが2. と4.です。
お金がかからないのですから、すぐに実行することでしょう。

児童扶養手当は現在4か月に1回の支給になっています。
なぜこんなことにしているのかわからないのですが、
これを毎月の支給にするということです。
支給を毎月にして、頻繁にお金が入るようにしたほうが、
受給する側が経済的に負担が減ることはもちろんです。

4.の妊娠退学は、ネットで検索をかけると、
相談しているかたが結構たくさんいて、深刻な問題となっているようです。
妊娠退学に法的根拠はないし、生徒風情が妊娠するなんて
とんでもないといった偏見にもとづくものでしょうから、
このような慣習はなくしてしかるべきです。


5.と6.は教育への直接的投資です。
貧困の連鎖を防ぎ、格差を広げないためには、
教育への公的支援を充実させることだという
OECDの指摘がありますから、ここも力を入れたいところです。

「格差が経済成長を阻害」
「格差是正のための対策」

5.については生活保護世帯は高校卒業で就職するという
コンセプトで制度が作られている問題があります。
生活保護世帯だからこそ、大学進学への支援が必要というものです。
具体的には生活保護世帯が世帯分離をしなくても、
大学進学できるようにするということになります。

阿部 「生活保護世帯も大学に行けるようにする」。
生活保護世帯の子どもは高校卒業したら就職をする
原則になっているのを変えるということですね。

駒崎 はい。世帯分離をしたら進学はできるのですが、
それだと生活保護の給付が3~4万円減ってしまうということで
進学を断念しているケースが少なくないそうです。
だから、世帯分離をしなくても生活保護費をキープしたまま
大学進学できるようになればいいのではないかと。


6.は日本は給付型の奨学金がほとんどない異例の国です。
それに加えて大学の授業料が高いOECD唯一の国になっています。
返済が必要なものは諸外国では「学生ローン」と
言うのであって「奨学金」とは言わないです。

「学費は高いわ援助はないわ・・・日本の高等教育@OECD」


日本の返済必要な「学生ローン」のことを、
日本国内の感覚で「奨学金」と言っていると、外国人と会話するとき
お話が合わなかったり、怪訝な顔をされることがあります。

「私の社会保障論 奨学金という名のローン=中央大教授・山田昌弘」


7.と8.は義務教育の無償化に関することです。
義務教育は無償としておきながら、実際には
給食や教材や制服にお金がたくさんかかるのであれば、
「無償」とは名ばかりと言わざるをえないです。

この中に、「学校の完全給食化」という項目も入れています。
確かに義務教育なのに、なんで給食だけタダじゃないの…?
と素朴に思いますね。


8.についてはパソコンがとくに大きいようです。
いまの学校では授業でパソコンを使うことも多いです。
家庭にパソコンがあるかどうかで、
授業についていけるかどうかの差が出ることになります。
そしてちょっと上の世代の人は、授業でパソコンを使うことは
気が付きにくいことで、配慮が回らなかったりします。

さっき言ったような学科教材のほか、
児童・生徒が自由に使えるパソコンも全学校に設置したほうがいいですね。
中学校はだいぶ進んでいるかもしれませんが、
小学校ではまだないところが結構ありますよね。
でも、「パソコンで調べてきなさい」っていう宿題が出たときに、
パソコンがない家庭の子は置き去りにされてしまうんです。

日本ではパソコンのない小中学生はかなり多いです。
各家庭にはパソコンを必ずしも置かない方針や
経済的事情があるでしょうから、パソコンの所持を
家庭に義務付けるわけにはいかないです。
となると、学校側で生徒や児童が自由に使える
パソコンを準備する必要が出てくることになります。

「パソコンを持たない若者」
「はっきり言います。スマホは何も生み出さない!
お子様にはiPadやスマホではなくパソコンを与えましょう!」


デスクトップパソコンもノートパソコンも持ってない(%)


関連エントリ:

「子どもの貧困・ショック療法」



posted by たんぽぽ at 23:45| Comment(0) | 教育 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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